原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その180  8月24日
新潟県の議論に耳を傾けず東電の「適格性」にお墨付きを与える原子力規制委員会
〜田中三彦さん(新潟県技術委員会委員)が規制委の姿勢を問う〜
 前国会事故調の委員で今は新潟県技術委員会委員を務める科学ジャーナリスト
田中三彦さんが、岩波科学8月号で原子力規制委員会の姿勢を厳しく批判してい
るので紹介する。

 表題は<新潟県の検証継続は維持されたが…問われる規制委員会の姿勢、拭え
ない東京電力の「適格性」への疑念>で、概要は次のとおり。

○新知事の公約:再稼働への高いハードル維持
 花角新知事は米山前知事が設置した「福島原発事故に対する三つの検証体制」
なる高いハードルを取り除くのではなくあくまで維持する。
○なぜ新潟県の議論に耳を傾けないのか:問われる原子力規制庁の姿勢
 本年5月18日の技術委員会に原子力規制庁の調査官ら5人が出席し柏崎刈羽6,
7号機の適合性審査結果を説明。唐突感があり、<アリバイ作りのお手伝いだけ
はしたくない。>
○大いなる疑問:規制委員会がお墨付きを与えた東電の「適格性」
 規制委員会は東京電力に「原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足り
る技術的能力がないとする理由はないと判断」と二重否定文に疑問。
 同日に行われた「東京電力HD・新潟県合同検証委員会」による最終的な検証
結果が、次のように東京電力の不適格性を示している。
○払拭できない「事故時運転操作手順書不参照」の疑念
・メルトダウン通報が2カ月も遅れた。そればかりか、事故から5年目にようや
く「内部調査で炉心溶融を定義する内規が社内マニュアルに記載されている」こ
とが判明した。
・マニュアル不参照は未検証の重要問題
 原発が事故をおこしたときに運転員が遵守すべき「事故時運転操作手順書」が
事象ベース、微調ベース、シビアアクシデントの3種あった。しかしながら、吉
田昌郎発言は3.11事故におけるマニュアル不参照という重大問題を示唆して
いる。
 「手順書」というマニュアルが的確に参照されず、そのために事故が拡大した
可能性があり、合同検証委員会でも10項目について検証することになっていたが、
最終報告書は「事故時運転操作手順書の適用状況にはいっさい問題はなかったと
いう検証結果」であり、「3.11事故の初期の過程で実際に適用されたと東京
電力自身が公式に示している対応手順ではない!」記載があり看過できない。
 すなわち、<東京電力の姿勢は相変わらずで、…「適格性」が「ないとする理
由」が、立派にあるということだ。>

 東電の不適格は何度か論じてきた(例えばその150、その147など)が、長年新
潟県技術専門委員会委員を勤めてきた田中三彦さんも厳しく指摘している。
 さらに国会事故調の課題を放っておいて「新規制基準」を作り合理性を欠くい
い加減な審査を続けている原子力規制委員会が、不適格な事業者「適格性」お墨
付きを与えていることも許せない。
 ひどいことに規制委は、「適格性」がない東電に資金支援させて、日本原電の
「経理的基礎」と「適格性」をも認めようとしている。