原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その172   6月12日
IAEAや原子力マフィアの意向でトリチウム汚染水海洋放出を東電に迫る更田規制委員長
〜柏崎刈羽も東海第二も合理性を欠く甘い審査で再稼働推進しながら〜
5月30日の臨時会議で東電小早川社長にトリチウム汚染水海洋放出を主体的に
取り組めと恫喝した。当然、これについて6月6日の規制委員長記者会見で各社
の記者が質問し、更田委員長の本音が明らかになった。

1.トリチウム汚染水海洋放出はIAEAや世界の原子力マフィア対策!

 FACTA記者の「福島第一原発のタンク群というのは、世界的にはかなりグ
ロテスクなもの」の質問に答えて更田委員長は次の回答。
 <国際社会へ出たらどうかということに関して言えば、これはもう規制当局同
士のやりとりでも、批判と言うべきなのか、批判なのでしょうね。迷惑だという
言われ方をされることもあります。科学的には海洋への希釈放出というのは何ら
問題のないオプションであるのに、そんなことすら決められないのかというよう
な指摘を、例えばIAEAなどへ行ったときに随分言われるのは事実です。>
 要するに、世界の原子力マフィアの後押しであれだけ居丈高に東電社長に海洋
放出を叱ったのだ。要するにオリンピック開催時にタンク群が目障りなのだ、福
島第一原発は終わっているを演出したいのだ。
 なお、「海洋への希釈放出というのは何ら問題のない」も原子力マフィアのい
つもの発言だが、世界中でトリチウム汚染水による人や生物への影響が報告され
ている。

 この記者会見でも更田委員長はトリチウム汚染水を「処理済水」と呼ぶ。他の
核種を処理したけれどもトリチウムを除去できずに残っている水を「処理済水」
と呼んで、希釈海洋放出を推進したいのだ。
 一方、この会見で逆に福島第一原発対策の大変さも露呈した。
<これからもっと難しい話がでてくる、もっと高いレベルの汚染物が出てくるし、
核燃料物質だって出てくる。その時にどうするのだ、ずっとサイトにおいておく
ということではないですね。「処理済水」よりはるかに難しい問題がこれからあ
る。福島第一原発の廃炉作業というのはそれほど簡単なことではないだろうと思
っています>

 確かに福島第一原発は終わっていない。これから1世紀以上続く。と言っても、
弱いβ線を放射し多くの内部被ばく被害が報告されているトリチウムの半減期は
12.3年だ。数十年保管すれば放射能被害は無くなる。大量の汚染水を海に流すべ
きではない。

<資源エネルギー庁も年内目指して結論を出したいと言っていると聞いています
>、<社会的・経済的な要因があることも事実>と話しながら、<国会事故調が
厳しく突きつけている指摘というのは、やはり政府、事業者が一体となって問題
の先送りをしてきた…>と国会事故調を引用することにもあきれた。
 国会事故調の報告を無視して地震による配管破断を無きものとして地震に甘い
甘い基準を作ったくせに。
 昨年7月に田中前委員長が東電川村会長発言に対して田中委員長が「はらわた
が煮えくり返って」と怒った茶番(その142参照)を思い出そう。
 規制委は今回も東電を叱って点数を上げながら、原子力マフィアの要求どおり
に、再処理施設から沢山出てくるトリチウム汚染水の海洋放出を促進して、多く
の生き物に被曝を強要するのだ。

2.東海第二原発と柏崎刈羽原発の再稼働推進
 一方、この日は東海第二原発と柏崎刈羽原発の審査についても質問が出た。記
者の当然の質問に対してさすが「再稼働推進委員会」の回答。

(1)東海第二原発はもうすぐ合格か?
 記者の「金のない原子力事業者なんてこれまで存在しなかった。2年間1キロ
ワットアワーも稼がなかった、お金が全くない事業者、これは結構特殊な事例だ
と思う」にまともに答えず、小早川社長は再稼働が見えた段階とか<若干後退し
ているように見えますね>と認めながら、<設置変更許可の範囲内で問える経理
的基礎というものにはおのずと限界があるように思います>と答えて、経理的基
礎で審査不合格の可能性を否定し、
<ブローアウトパネルに関する試験が再来週行われる、おおよそその時点で工認
についても感触が持てる…一番早くて月内(6月)、下旬ぐらい>に設置変更許可
を認可するつもりだ。

3.柏崎刈羽原発6,7号機も再稼働推進
 先週の臨時会議を受けて東電への不信感を追及し、「保安規定の中でどのぐら
い主体性というものを問えるのか?」、「どうしてそんなところ(東海第二原発)
に、投資なんかしたくないよという意見も東電の中ですらある」など東電の「適
格性」を問うた記者に対して、更田委員長は<設置許可の中での事業者としての
適格性というのは、あくまで技術的能力というものであって、さらに言えば、道
義的な責任であるとかをどこまで規制当局が問えるのか。これは言いかえると問
うてはならないのだろうと思っています。…>と逃げる。
 規制委が発足以来主張していた「安全文化」の欠如ではないのか?

 この記者会見は、更田原子力規制委員会が、トリチウム汚染水の海洋放出と、
東海第二原発の運転延長・再稼働と、柏崎刈羽原発の再稼働とを促進するとんで
もない原子力マフィアの代弁者であることを証明している。