原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その167   4月23日
「火山ガイド」を骨抜きにして破局的噴火に目をつぶる原子力規制委員会
〜添田孝史<国際基準より10倍危険な世界で最も甘い基準」へ(週刊金曜日から)〜
田中前委員長が、カルデラ噴火が起こったら「九州全域の人はほとんど即死状
態になると言われています。そのような状況のときに一原発だけの問題として捉
えていいのか」と川内原発再稼働を推進した。

 これに対して、本シリーズ「その59 カルデラ噴火で九州の人が住めなくなっ
たら原発はどうなってもいい?」で「人類は、制御できない悲惨な被害をもたら
す技術を取得してしまった。
 だからこそ、予想されるどんな自然災害に対しても、地球上の総ての生き物に
説明できる備えをするべきである」と書いた。

 一方、広島高裁が2017年12月13日に伊方原発運転差止仮処分の抗告審で「火山
影響評価ガイド」に従って検討すると「立地不適」になると判断し、伊方3号機
は9月まで稼働を止められている。
 この状況を打破するために更田委員長率いる原子力規制委員会が<自ら定めた
「火山ガイド」を無効にしようとしている>のだ。

 以下は、添田孝史さんが週刊金曜日4月20日号に書いた明解な文章から。

<添田孝史さん(週刊金曜日)

○原子力規制庁は18年3月7日、とても不思議な文書を出した。「原子力発電所
の火山影響評価ガイドにおける『設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評
価』に関する基本的な考え方」(以下、基本的考え方)だ。

○河合弘之弁護士は批判:火山ガイドに素直に従えば広島高裁のような判断が続
くことになる。…、巨大噴火のリスクが大きい原発の運転に目をつぶるため、ガ
イドの改訂という手続きを経ずに、骨抜きにしようとしているのだ。

○火山災害だけは原発以外の分野で想定していないことを理由に、1万年に1回
の巨大噴火を無視しようとしている。

○「基本的考え方」によれば、1万年に1回の火山噴火による事故を容認するこ
とになるので、…、IAEAの大規模事故確率目標「10万年に1回」よりも10倍
危険度の高いものにしてしまい、「世界で最も甘い基準」になる。

○「基本的考え方」という根拠のよく分からない運用の抜け穴をつくってしまう
のは「いつか来た道」である。原子力安全・保安院や原子力安全委員会が福島第
一原発事故を引き起こしたのと同じ道をたどりつつある。

 あなたは、「基本的考え方」にある次の文を容認しますか?
<「原子力規制委員会「基本的考え方」から
○巨大噴火が差し迫った状態にあるかどうか、及び運用期間中に巨大噴火が発生
するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるかどうかを確認
○巨大噴火は、広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こすものである一方、
その発生の可能性は低頻度な事象。巨大噴火によるリスクは社会通念上容認され
る水準であると判断できる。
○運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠が
あるとはいえない場合は、少なくとも、運用期間中は、「巨大噴火の可能性が十
分に小さい」と判断できる。


 稼働を容認する為の余りに甘い考え方だ。他の多くの規制審査においてもこの
ような甘い考え方で審査しているとすれば、原子力規制委員会の審査は全く信用
できない。さすが再稼働推進委員会だ!