原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その156   2018年1月27日
新規制基準は「世界最高水準」でも「世界で最も厳しい基準」でも絶対にない
既存原発の稼働を認める為の「緩きに過ぎ合理性を欠く」 新規制基準に騙されるな
  世耕経産相は1月1日の年頭所感で「原子力規制委員会によって世界最高水準
の新規制基準に適合すると認められたものについて、地元の理解を得ながら再稼
動を進めてまいります」と述べた。
 電気事業連合会がパンフレットで「私どもは新規制基準への対応にとどまらず、
世界最高水準の安全性を目指し、自主的かつ継続的に安全性向上に取り組んでま
いります」と書いている。
 これらに騙されたからか、野党国会議員まで新規制基準は「世界最高水準」と
言う。
 しかし、これらは真っ赤な嘘である。
 このシリーズで縷々述べたように、また多くの専門家が語っているように「新
規制基準」は「世界最高水準」では絶対にない。
 既存原発を稼働させるための「新規制基準」は、東電福島第一原発事故検証も
せずに策定され、津波対策の為に「電源車とポンプとドリル」を買えばいいと揶
揄されるほど甘いもので、米国で対応済みの15個の規制項目が無視されているな
ど、まさに国内54基の既存原発を稼働させるための甘い甘い基準であり、「世界
最高水準」では全くない。

 例えば、耐震対策はあまりに緩く、基準地震動が小さすぎることを多くの地震
学者が早くから指摘してきた。
 さらに、2016年に熊本大地震が続く中で、何と基準を作成した島崎前委員長代
理でさえこの大地震を受けて基準地震動の見直しを進言し、岡村高知大教授・長
沢大阪府立大学名誉教授・政府の地震調査研究所などが揃って基準地震動の過小
評価を指摘しているにもかかわらず、基準地震動の推定方法を何ら見直しもせず
審査を続行している。
 さらに、複数基立地・同時稼働を容認し、ストレステストやコアキャッチャー
や受動的安全装置や放射能汚染水対策等を義務付けていない。
 また、立地指針を無視し、避難計画(IAEA深層防護第5層)が絵に描いた
餅で終わっていても稼働を容認している。

※原子力推進側に騙されている人たちの為に本シリーズで書いた文を
 以下に紹介する。参照・http://www.jca.apc.org/~kimum/
その111(2016年9月7日)「新規制基準」は絶対に「世界最高水準」ではない!
    民進党代表選候補者よ、規制委員会に騙されるな!
その107(2016年8月1日)「新規制基準」は世界最低水準?!
    もっかい事故調が「日本の原子力安全を評価する」と1.7点(その5)
その106(2016年7月29日)「新規制基準」は世界最低水準?!
    もっかい事故調が「日本の原子力安全を評価する」と1.7点(その4)
その105(2016年7月26日)「新規制基準」は世界最低水準?!
    もっかい事故調が「日本の原子力安全を評価する」と1.7点(その3)
その104(2016年7月23日)大飯原発地震動試算騒動が示す田中委員長の傲慢
    島崎−規制委・規制庁面会が明らかにする基準地震動計算の過小評価
その103(2016年7月19日)「新規制基準」は世界最低水準?!
    もっかい事故調が「日本の原子力安全を評価する」と1.7点(その2)
その102(2016年7月16日)「新規制基準」は世界最低水準?!
    もっかい事故調が「日本の原子力安全を評価する」と
    5点満点で1.7点(その1)
その65(2015年9月28日)電源車とポンプとドリルを買えばいいだけの「新規制基
準」?I
    現存の原発を再稼働させる為の世界最低水準
その58(2015年8月8日)「新規制基準」は既存原発を動かす為に世界最低水準!
    15項目にわたって福島原発事故前の世界水準に追いついていない「新規
制基準」
その56(2015年8月5日)福井地裁「決定」も「異議申立」も無視して
    再稼働を推進する原子力規制委員会
    世界最低水準の「新規制基準」で世界最低の審査を続ける
    原子力規制委員会
その11(2014年7月)バックフィット可能な時代遅れの「新規制基準」を撤回せよ
    規制委は設計段階に遡って原発の大改修や造り直しを
    求める規制を避けて「新規制基準」を作った
その10(2014年7月9日)設計段階に遡らない「新規制基準」の大問題
    既存の原発を稼働させるための甘すぎる基準だ