原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その125   2017年2月13日
高浜3号機の蒸気発生器伝熱管の損傷でも再稼働?
施栓率が増え偏在しているのに高浜原発の稼働を容認する原子力規制委員会

 2月8日の原子力規制委員会定例会議では、議題1で多くの反対意見にも拘らず川内原発の免震重要棟なし稼働を認めることを決定した。それとともに議題3で高浜3号機の蒸気発生器の損傷問題が論じられた。ここでは議題3について報告する。
 「原子力発電でやっていることは単にお湯を沸かすことだけです。その点を取れば火力発電と同じで、沸かした湯気でタービンという羽根車を回し、それにつながった発電機で電気を起こしているに過ぎません」(小出裕章)。
 すなわち、核分裂を起こして死の灰を生成しながら、遠くジェームス・ワットが発明した蒸気機関(熱エネルギーを機械エネルギーに変換)原理と発電機を使っているだけ。
 蒸気発生器は、原子炉から取り出した熱を外部へ伝えるための熱交換器で、加圧水型原子炉(PWR)の弱点。伝熱細管(直径約2cm、厚さ約1.3mm)が管板を介して約3300本溶接されている。
 1991年2月9日の美浜2号炉で伝熱細管がギロチン破断して一次冷却水が漏洩した。また、フランスで運転中の原発の18基の蒸気発生器の強度も昨年問題視された。
 そんな中で、原子力規制委で「高浜発電所3号機における蒸気発生器伝熱管の損傷に係る関西電力からの報告に対する評価及び今後の対応について」が議論された。同機で伝熱管1本で「非貫通のきずの特徴」異常が見つかったから。関電報告では、3つの蒸気発生器それぞれに既に100本余り(全体の3%〜4%)の施栓があるのだ(安全解析施栓率は10%とされている)。
 関電のプレスリリースの添付資料2「高浜発電所3号機の蒸気発生器伝熱管の施栓履歴」を見ると、同機が稼働開始してから30年間に施栓率が上がってきていて老朽化を実感させる。

 原子力規制委の審査では、各委員が結構まともな質問をした。
田中委員長:10%までということですけれども、(施栓位置が)偏在している、少し評価をしないといけない。
田中知委員:工事計画の中で、流況が変わることによって影響がないことも確認していくか?
石渡委員:施栓率の推移は?

 これらの議論をしておきながら、「原子力規制庁としてはきちんとこれを今後とも注意深く監視していく」で終わった。
 三菱重工製の蒸気発生器の危険性を知りながら、伝熱細管の施栓が増えており施栓に偏りがあることを確認しておきながら、それでも司法のブレーキがなくなれば、高浜原発3,4号機の再稼働を容認するつもりなのだ。