原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その122   2017年1月13日
核燃料再処理施設の避難計画策定範囲は5kmでいいのか?
「原子力災害対策指針」改悪を許すな!六ヶ所が心配、
JCO(1999年)臨界事故を忘れるな

 原子力災害対策が全く実効性が無いことは各原発現地で確認され、再稼働反対の住民の声が高まっている。その原因は原子力規制委員会が発足直後に作成した「原子力災害対策指針」にある。にも拘らず、原子力規制委員会はこの指針をさらに改悪する。これを糾弾しよう。

 今、原子力災害対策指針の改定案がパブコメにかけられている(締切1月27日)。
「原子力災害対策指針の改正に伴う意見の募集について」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198281010&Mode=0

 指針作成時に、実用発電用原子炉に対してPAZ(予防的防護措置を準備する区域)5km、UPZ(緊急時防護措置を準備する区域)30kmと決めたが、他の施設については仮決めであった(「(A)実用発電用原子炉以外の場合 実用発電用原子炉以外の原子力災害対策重点区域は、…見直しを行うべく、今後、原子力規制委員会において検討し、本指針に反映する。」)。

 今回の主要な改定は次のとおり。
(1)原子力災害対策重点区域の範囲を、施設からの距離を目安としていたが、「危険性及び事故発生時の潜在的な影響度合いを考慮して設定」(距離を短縮)。
(2)実用発電用原子炉の廃止措置では重点区域(PAZ,UPZ)5kmに短縮。
(3)研究開発段階原子炉及び50MWより大きい試験研究用原子炉は8〜10kmだったが、一律に5kmに短縮(UPZも)。
(4)再処理施設も5km(UPZも)。

これらにより、実用発電用原子炉の廃止措置やそれ以外の施設は総ての原子力災害対策重点区域を5km以内に短縮している、ここでは次の問題2点を指摘しておく。

●六ヶ所村再処理施設(日本原燃)が危険
年間最大再処理能力800トンで、100万kWの実用発電用原子炉の年30トンと比べて桁違いに多い。かつ、曲がりなりにも燃料棒を原子炉に閉じ込めている原子炉と違い、核分裂生成物を細かく切り裂き硝酸に溶かして処理をする為に環境に放出する放射能の量は一日で原発一年分。にも拘らず、PAZもUPZも5kmとはあまりにひどい。稼働が危険であるし、稼働させるならば原子力災害対策重点区域を拡大するべきだ。

●東海村JCO臨界事故を忘れたか?
1999年9月30日、JCO東海事業所の核燃料加工施設内で、ウラン溶液が臨界状態に達し核分裂連鎖反応が発生、この状態が約20時間持続。至近距離で中性子線を浴びた作業員3名中、2名が死亡、1名が重症となった他、667名の被曝者を出した。避難要請は、10km以内の住民10万世帯(約31万人)への屋内退避および換気装置停止の呼びかけ、周辺の県道、国道、常磐自動車道の閉鎖、JR東日本の常磐線、水郡線の運転見合わせなどの措置がとられた。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」原子力規制委員会の指針改悪を許してはいけない。
以上