原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その121   2016年12月23日
熊本地震が明らかにした「繰り返し地震」の重大性
田中俊一規制委員長の「弾性範囲内におさまる」は事実誤認?ごまかし?

  熊本地震は、本年4月14日に前震M6.5、16日に本震M7.3、その後も震度3以上が510回、震度1以上の有感地震が4000回以上続いた。その間、繰り返し地震、長周期地震を評価し終わるまで川内原発を止めろと原子力規制委員会に訴えたが適わなかった。

 そんな中で、滝谷紘一さんが「検証・原発新規制基準適合性審査 繰り返し地震を想定する耐震基準改正を求める」(岩波「科学12月号」)で、繰り返し地震の重大性を確認し、耐震基準改正を求めているので紹介し、また、田中委員長の事実誤認(あるいはごまかし)発言も糾弾する。

以下で、同論文から一部を紹介する。

 具体的な機器・配管系について、基準地震動Ssによる一次応力が弾性設計用評価基準内におさまっているかどうか、あるいは疲労累積係数の評価基準値に対する余裕が十分かどうかに着目して調査した。
 その結果は次のよう。川内・高浜・伊方・美浜の各蒸気発生器伝熱管で1次応力が弾性設計用評価基準値を上回っていることを確認、伝熱管が弾性範囲を超えて塑性域に入り塑性変形を生じている可能性がある。さらに、川内1号機の蒸気発生器入口管台の疲労累積係数が0.903と最も1に近く繰り返し地震に見舞われると健全性が損なわれる、川内・高浜で一次冷却材管の疲労累積係数が1.0に近い、…などなどから、Ssの繰り返し地震に見舞われると、川内1号機、高浜3,4号機で疲労累積係数が評価基準値を超える可能性がある(美浜は「白抜き」公開資料ゆえ不明)。
 以上から、早急に繰り返し地震を想定に入れるように耐震基準を改正し、再審査が完了するまで設置変更許可を保留して原発の稼働を認めるべきでない。貞観地震など過去に起きた大津波の知見を無視したことが福島第一原発の過酷事故を引き起こした根本原因だったという苦い教訓をないがしろにして、不作為の過ちを再びおかすことになる。
 一方、田中委員長が熊本地震発生後の記者会見で述べた「弾性設計範囲に入っているから、基準地震動の繰り返しにより問題になることは生じない」とする見解は事実誤認にもとづくもので科学的妥当性はない。

 耐震基準の改正と再審査を放置してはいけない。また、私も田中委員長の事実誤認?あるいはごまかし?発言を聞いた。このように科学的・技術的装いをしながら記者たちや「国民」を煙に巻こうとしている。騙されてはいけない。
以上