原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その104   2016年7月23日

大飯原発地震動試算騒動が示す田中委員長の傲慢
島崎−規制委・規制庁面会が明らかにする基準地震動計算の過小評価


  熊本大地震を受けて島崎邦彦さんからの提案で実施された大飯地震動試算騒動は思わぬ展開を示した。19日午後の約1時間40分に渡る島崎―規制委・規制庁面会、20日の原子力規制委員会定例会議、午後の記者会見で、規制委・規制庁の混乱と田中委員長の傲慢と基準地震動計算の過小評価・不透明性が明らかになった。

 20日の定例会議と記者会見で、7月13日の規制委定例会議の決定(武村式試算結果の了承と基準地震動見直し否定)は保留とされ、規制庁で試算の前提条件や仮定の妥当性などを明確にし、また武村式や中央防災会議などの強震動計算レシピ(手順書)の有無を確認して、それらを再度規制委定例会議で協議することとなった。

 しかしながら、重要なことは、規制庁が13日の規制委定例会議に提出した「試算結果」を原子力規制委員会が一旦は良とし、島崎さんも「非常にいい計算をしていただいた」としていることだ。ところが、島崎さんのクレームを受けて、19日になって急に規制委・規制庁がこの再計算が妥当でないと言い出したのだ。

 さらに、島崎さんが、この武村式による周期0.2秒の最大加速度644ガルが入倉・三宅式356ガルの約1.8倍になっていることから、大飯の基準地震動856ガルに対して1550ガルを例示し、次の提案をしたことにも注目する必要がある。

(1)過小評価の恐れがある入倉・三宅式は不使用
(2)強震動観測波形の利・活用(活断層特定でも)、強震動専門家の提案の検討・採用
(3)計算について、信頼性の回復
(4)複数機関で公表されているパラメータによる再計算

 要するに、前委員長代理で地震学専門家が、大飯原発に適用された基準地震動は明らかに過小評価であり、基準地震動策定方法を見直すべき、と訴えているのだ。

 それにも拘らず、規制委は規制庁提出の武村式大飯再計算を再度見直して説明資料を提出することとして、田中委員長は基準地震動策定方法の見直しを否定しているのだ。

 また、田中委員長は島崎さんについて「科学者としては、その道の専門家としては無責任だ」と責めた。さらに、島崎さんがこの大飯再計算について7月15日に規制委記者室で記者会見を開こうとしたら、一般の電力事業者の会見は通常認められているのに、田中委員長自らが指示してそれを許さなかった。

 いずれにしても、基準地震動算定方法にあるもろもろの不確かさを多くの「国民」が知ることになった。一方で「科学的・技術的」でなく政治的にしか判断しない田中委員長が憐れに見えた。

 これらについては以下の動画または速記録をご覧いただきたい。
・注目の面会(19日)と記者会見(20日)については原子力規制委員会記者会見
http://www.nsr.go.jp/nra/kaiken/index.html
・20日の原子力規制委員会定例会議
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000154.html

また、7月20日に原子力規制を監視する市民の会ほかから共同声明「入倉・三宅式の過小評価を熊本地震が証明」が出されている。
以上