原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その99   2016年6月22日

なぜ延長する?高浜1・2号機!
特急審査で老朽原発「40年ルール」を「60年ルール」にするな


 原子力規制委員会は、6月20日(月)に関西電力高浜1・2号機の延長認可を決定した。またまた、原子力規制委員会が「再稼働推進委員会」であることを証明してくれた。問題点を以下に列記する。

(1)「例外中の例外」から「普通」に
「40年廃炉ルール」は民主党政権が「圧力容器が中性子の照射を受けて劣化する目安」として改正原子炉等規制法に盛り込んだ。最長20年の延長は「例外中の例外」のはずだった。それを原子力規制委員会が「普通」にしてしまった。まるで「60年廃炉ルール」を決めたようだ。

(2)超スピーディ審査でパブコメも省略
 手続きも出鱈目で原子力規制委員会も関電も節操がない。関電が高浜1・2号機の設置変更の申請を出したのは2015年1月で既に他の約20基よりも遅い。にも拘らず、超特急で審査し、本年4月に設置許可、6月10日に工事計画認可、そして今回の運転延長認可と駆け足だ。審査会合の回数も27回と川内・高浜(3,4号機)・伊方の半分の回数だ。おまけに、蒸気発生器の耐震性は、美浜3号機の実証データで代用するばかりか、実証試験は使用前検査時に先延ばしした。
 さらに、20年延長評価は初めてにも拘らず、パブコメにもかけることもしない。

(3)難燃ケーブルなんてどうにでもなんねん、改修工事はこれから3年
 可燃性のケーブル類を難燃性にする必要があるが、関電は6割だけ難燃性に交換し、残りは防火シートで覆うのみ。また、原子炉格納容器上部の放射線を遮る能力を高める為のドーム設置などの総ての改修工事は3年後の2019年10月までかかる。

(4)中性子照射による劣化評価はいい加減でっか?
 原子力安全・保安院時代から井野博満(東大名誉教授)さんが指摘していたように、原子炉圧力容器の照射脆化の評価にも大問題がある。詳しくは岩波「科学2016年5月号」の「経年劣化した高浜原発1号機は40年で廃炉にすべきだ―信頼性の低い日本電気協会の破壊靱性評価法」(井野博満)をご覧いただきたい。

(5)島崎邦彦(前委員長代理)さんの地震動指摘は大飯で覆い隠す
 さらに、6月16日に、熊本大地震を受けて島崎さんが地震規模を予想する計算式について、高浜でも使われている算定手法は地震規模を1/3〜1/4に過小評価してしまうと規制委に指摘した。ところが、規制委は大飯原発で計算し直すとして、高浜1・2号機については見直しを先延ばしした。

今回の「40年廃炉ルール」破りは、原子力規制委員会の「危険文化」を一層明らかにした。

以上