原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その84   2016年2月20日

川内原発審査のずさんさを自ら証明した原子力規制委員会の「異議申立棄却」
石橋克彦さんが怒りの規制委員会糾弾


 2014年9月10日に原子力規制委員会が決定した川内原発の設置変更許可審査書に対して、同年11月7日に全国各地の住民約1500人が行政不服審査法にもとづき規制委に対して異議を申し立てた(再稼働阻止全国ネットワークも参加)。

 そして、既に1号機も2号機も稼働してしまった後の2015年12月11日に規制委が非公開の会議で異議申立棄却を決定した。

 異議申立人の一人であり意見陳述した石橋克彦さん(神戸大学名誉教授、地震学)が岩波書店「科学2月号」≪川内原発審査の杜撰(ずさん)さを自ら証明した原子力規制委員会の「異議申立て棄却」≫で、この決定を「独善的でおざなりなもの」と厳しく糾弾しているので紹介する。

1 決定書の全般的な問題点

a 再稼働を優先させ、異議申立てを軽視
 「たとえ異議申立てを棄却する場合でも、速やかに審理・決定して国民への説明責任を果たし、しかるのちに工事計画や保安規定変更の審査にはいるべきであった。」

b 偏狭な「異議申立適格」の認定
 関東・中部・関西地方などに居住している申立人は異議申立適格を認めることはできないとした(最終判断は留保)が、行政不服審査法第1条の「行政の適正な運営を確保することを目的とする」を引用せず、誠実でなく責任感の欠落だ。

c 非公開だった審理および決定
 審理は非公開で議事録も公開しないことは、公正中立を損ない、原発安全規制に対する国民の不信感を助長するものである。

2 実証された基準地震動策定の手抜き

 決定は「申立人らの主張には理由がない」としたが、「検討用地震の複数選定」に違反している可能性が高い、基準地震動策定を不十分にしかねない重大な瑕疵である。

a 検討用地震選定手法の致命的欠陥
 九電に対して「M9クラスの南海トラフ巨大地震や川内原発に近接したスラブ内地震が川内原発敷地に震度5弱以上の揺れをもたらすはずだから、検討用地震に加えたうえで説明をやり直」させるべきなのにそうしなかった。

b スラブ内地震も考慮すべきこと
 「2015年5月30日に小笠原諸島西方沖の深さ682kmでM8.1の巨大スラブ内地震が起きて世界の地震研究者を驚かせたように、私たちの貧弱な常識を覆すのが大自然である。謙虚な理性で入念な検討を促すことこそが審査の使命である。」

c 福島原発事故以前の「虎の巻」
 九電の「虎の巻」、(社)日本電気協会原子力規格委員会が編集した「原子力発電所耐震設計技術指針」(2008年)は、過去の地震の検討だけでよいかのようにしてしまった。新規制基準のもとでの原発の耐震安全性の審査は、福島原発事故の教訓を踏まえて厳格で高度になったように言われるが、それは「真っ赤な嘘」と言ってもよい。

d 決定書の虚言
 「基準地震動の評価における不備について」の異議申立に関して、決定書はまったく新事実を示していない。単に、異議申立人らに批判されたことをくり返して、それでも「審査や判断過程に違法又は不当な点はない」と言っているにすぎない。

 決定書は、無邪気といえば無邪気だが、原子力規制委員会が知的作業をほとんどできない状態に落ち込んでいることを示しているようでもある。

 決定書は全く信用できない。ノラリクラリと言い逃れようとする原子力規制委員会の姿勢は、日本の原子力安全行政の唯一最高の組織としてあるまじきものであり、断固として糾弾されなければならない。川内原発の新規制基準適合審査がずさんだったことは、ほかならぬ原子力規制委員会によって証明された。

  (参考)第45回原子力規制委員会 臨時会議資料(2015年12月11日(金)9:30〜10:30)
      http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000094.html