原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その78   2016年1月12日

使用済み核燃料貯蔵の危険を放置して再稼働させる原子力規制委員会
 〜高密度で使用済み燃料を入れたプールが危険〜

  川内に続いて高浜3,4号機は既に使用前検査中、周辺住民の理解を得ぬまま再稼働を推進する原子力規制委員会。

 実はおよそ2万トンの使用済み核燃料が各原発敷地と六ヶ所再処理工場の使用済み核燃料プールに保管されている。燃料プールには原子炉内の数倍の燃料が入っており、密閉性の格納容器と異なり、プールは大量の長寿命放射性核種セシウム137を放出しうる。さらに、原発再稼働の1年後に炉心から取り出されてプールに移される燃料は、ずっと熱くなる。福島第一原発事故時の4号機で爆発が起こりプールの核燃料が大気にさらされることを心配したことを思いだせば、この危険は認識できる。

 原子力規制委員会がこの問題を軽視あるいは隠して再稼働を推進してきたことを、エドウィン・ライマン(憂慮する科学者同盟)が岩波「科学12月号」の「日本における使用済み燃料貯蔵の安全性とセキュリティ」で示している。以下にピックアップする。

○市民が関心を持ち続けなければならない脅威―規制当局が十分な注意を払っていない脅威―がある。稠密な形(高密度)で使用済み燃料を入れたプールの危険性である。

○たとえば、大きな地震やテロ攻撃によってプールのステンレス製の内張りが引き裂かれると、わずか数時間の内にプールの冷却水が完全に流れ出してしまう可能性がある。

○使用済み燃料プール火災のリスクに影響を与えるもう一つの要因は、使用済み燃料を高稠密化ラックに詰め込むことである。リスクを低減するには、燃料を稠密プールから敷地内乾式貯蔵キャスクあるいは敷地外の集中乾式貯蔵施設に移さないといけない。

○原子力規制委員会は、原子力発電所に対し、低密度の使用済み燃料プール形態にすることをできるだけ早く〜望ましくは再稼働前に〜義務づけるべきである。

○フクシマの教訓から「多重防護」を組み入れることが極めて重要である。原子力規制委員会はパッシブな方法で事故およびテロリスト攻撃からのリスクを減らすことのできる追加的多重防護措置の検討を無視してきている。

 ここでも、「国民」の命と健康と環境を守るべき原子力規制委員会が実は再稼働推進組織であることを示している。