原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その62   2015年9月5日

福島第一原発事故加害者東京電力の柏崎刈羽原発を優先審査する規制委
「あれはあれ、これはこれと言う訳にはいかない」はずではないか!

   既に1カ月近く経過してしまったが、8月6日の産経新聞記事「柏崎刈羽原発を優先審査へ 規制委が決定 福島第1と同じ沸騰水型」をご覧いただきたい。

 「原子力規制委員会は6日の会合で、未曽有の事故が起きた東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型原発の審査について、東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を優先的に進めることを決めた。耐震設計の目安となる基準地震動の議論は終わりが見えないため、原子炉建屋など施設の審査に限定する。

 規制委は審査の効率化を図るため、沸騰水型では先行する4原発の審査を一緒に進めてきたが、更田豊志委員は会合で『並行しての審査は相当な時間がかかるので、柏崎刈羽原発に集中して議論したい』と説明した。

 加圧水型では九州電力川内原発(鹿児島県)の審査を優先し、他の電力会社の参考にさせてきた。」

 2年前には、更田委員が「あれ(福島)はあれ、これ(柏崎刈羽)はこれという訳にはいかない」と言い、このことを田中委員長も肯定していた。にもかかわらず、原子力規制委員会定例会議で田中委員長が例によって議題に上げていなかった柏崎刈羽原発の適合性審査についてぼそぼそと話しだし、「そう簡単にすいすいと進むようなことは、私自身は考えられないのですが、入口にとにかく入るということで御了解をいただいたものとして、今日は委員会の議論の締めくくりとさせていただきたい」と審査開始を決めたのが2013年11月13日。

 そして、それから1年9ヶ月経って、とうとう東電柏崎刈羽原発の審査を優先させることに決めたのだ。

 9月4日の東京新聞で「福島第一 地下水くみ上げ 汚染水混入リスクも 東電 厳重な管理必要」と報道されているように、地元漁協の懸念をよそに、9月中旬にもリスクが高いサブドレインから海洋放出を始める。

  要するに、放射能汚染水はコントロールもブロックも出来ていず、福島第一原発事故は収束していず、デブリの状態も不明で廃炉への工程が延ばし延ばしで見えず、作業労働者の被曝量が増えて死者も多発し、被害者は救済されず高線量の地に帰還を迫られ援助打ち切りを宣言されている。そればかりか、東電は福島第一原発事故の責任を取らず、福島原発告訴団の努力で今やっと当時のトップが起訴されるところだ。

  このような状況での東電柏崎刈羽原発の優先審査決定だ。

  原子力規制委員会が「原子力マフィア」におもねる再稼働推進組織であることの、もう一つの重要な証拠だ。