原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その61   2015年8月26日

原子力規制委員会に「安全文化」を論じる資格はない
「見ざる、聞かざる、言わざる、問わざる、考えざる、為さざる」が蔓延

  原子力規制委員会は、電力事業者トップを呼んで「安全文化醸成を始めとした安全性向上に関する取組について」と題する委員会をし続けていて、8月27日夕刻にも日本原燃株式会社に安全文化醸成を促す。

 しかしながら、規制委に安全文化について指導する資格があるのだろうか?

  福島第一原発事故の原因追及も検証も放射能汚染水対策も放っておいて、既存原発を稼働させる為の「緩やかに過ぎ、合理性を欠く」新規制基準を作り、「違法」・「不当」・「偽装」とまで言われる審査をし続けて異議申立を受けながら川内1号機を再稼働させ、専門家の「科学的・技術的」意見に耳を貸さない原子力規制委員会に、安全文化を論じる資格はない。

 8月12日に公表された規制委事務局内のセクハラ事件も、地球を汚し未来を潰す仕事・「見ざる聞かざる言わざる」を徹底する仕事・達成感無い仕事をし続ける中で醸成された職場風土ゆえに起こったのではないだろうか。

 ここでは、岩波「科学8月号 安全文化:試される良心と勇気」から、佐藤暁さんの規制委「安全文化」批判を紹介する。

○見ざる、聞かざる、言わざる、問わざる、考えざる、為さざるが蔓延し、多くの重要な安全問題に対する解決が滞り、重要問題が蓄積していく。

○米国では原子力安全文化をポリシー・ステートメントとして制定したが、日本では28項目並べられている保安規定の記載項目の1つ。

○記者会見で質問する記者に対する威圧的で苛立ちがこもったり理由なく怒っている回答ぶりは、そのまま原子力規制委員会・原子力規制庁の職場環境ではないか。まずは組織に対する自己診断が必要ではないか。

○原子力が、日本の地理的・地質的環境と相性が良くないことはよく言われているが、日本人が美徳としている文化(上司が部下の過失を隠し、部下も上司の悪事を隠す)とも相性が合わないところがあるのかもしれない。

○偶発的なトラブルよりも劣悪な立地条件のほうが怖く、劣悪な立地条件よりもさらに劣悪な安全文化が怖い。福島事故は、地震や津波によってと言うより、地震や津波に突かれた日本の原子力安全文化の弱さによって起こった。

○電力事業者も原子力規制委員会も安全文化の向上には、ほとんど真面目に努力をしていない。

 最後に、NNNドキュメント「2つの“マル秘”と再稼働 国はなぜ原発事故試算隠したか?」(8月24日0時55分から)は、2つの試算(原発事故が起きると国家予算を超える損害、原発が攻撃を受けると甚大な被害)を政府が長年隠してきたことを報じ、新基準での再稼働で都合悪い事も隠さず公開しているかを問うたすぐれたドキュメントで、ここでも政治と規制行政の安全文化の未熟さを痛感させる。  http://www.ntv.co.jp/program/detail/21843060.html