原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その56   2015年8月5日

福井地裁「決定」も「異議申立」も無視して再稼働を推進する原子力規制委員会
世界最低水準の「新規制基準」で世界最低の審査を続ける原子力規制委員会

   8月4日の規制庁ブリーフィングで、松浦総務課長が高浜3号機の工事計画を認可したと発表した。規制庁の専決事項なので原子力規制委員会定例会議に諮られることも無く規制庁が発表したのだ。高浜原発3,4号機運転差止仮処分命令申立事件で4月14日に福井地裁が「原子炉を運転してはならない」と決定したにも拘らず、3号機の工事計画を認可した。さすがに再稼働推進委員会、司法判断を無視して事業者におもねって規制行政を進めている。

 それにしても、福井地裁から「緩やかにすぎ」、「合理性を欠くものである」と言われた「新規制基準」は、ストレステスト・防災避難・受動的安全性・コアキャッチャーなどを義務付けず、立地指針無視・バックフィット容認・複数基立地稼働容認などが示すように「世界最低水準」だ。

  更に、例えば川内原発1,2号機については、設置変更許可認可処分にも工事計画認可処分にも保安規定認可にも、行政不服審査法の第6条の規定に基づいて、私たちが異議申立をし、意見陳述をし、執行停止を申し立てた。

 設置変更許可の基準地震動の定め方は「違法」であり、甘い甘い審査であり地震対策も火山対策も緩やかに過ぎる。

 工事計画認可は「黒枠白抜き偽装」、「耐震偽装」としか思えない程情報を隠している。

  保安規定も「マスキング偽装」をしながら火山噴火対策を九電任せにし、おまけに31年も経過しているのに高経年化を無視して認可してしまい、5日の規制委定例会議で誤魔化そうとしている。

 以上のことからくっきり浮かび上がってくることは、原子力規制委員会がおよそまともな規制行政と言えないひどい審査を実施してきていて、原子力安全・保安院時代よりも退歩していることだ。

  このように、「国民」の意向も司法判断も異議申立も全く無視して川内1号機の再稼働に邁進している原子力規制委員会は再稼働の安全性を全く担保できない。これでは、原子力規制委員会の設置目的である「国民の生命、健康及び財産の保護と環境の保全」ができない。原子力規制委員会は直ちに福島第一原発事故を検証し直して「新規制基準」を作り直し、総ての原発の再稼働適合性審査をやり直すべきだ。それができないならこの組織は解体するべきだ。