原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その53   2015年7月6日

高経年化対策と防災からにじみ出る規制委の再稼働推進
川内原発はなりふり構わず動かしたいのか

   去る6月29日に「川内原発(火山監視/老朽化/防災)に関する政府交渉」が原子力規制を監視する市民の会他が主催して行われた。後半のみに参加して感じたことを記す。

1.老いたる川内原発1号機をなりふり構わず動かしたい規制委

  川内1号機は昨年2014年7月3日に運転開始から30年を迎えた。原子炉等規制法は、事業者に運転開始後30年を経過する日までに経年劣化に関する技術的な評価を行い、その結果に基づき、保守管理に関する方針を策定することを義務付けている。九電はまだこれを実施していないのだ。これから九電が補正申請をするらしい。

 規制庁担当は、「法的には高経年化対策の手続きが終了していなくても、再稼働は可能だ」と答えた。原子力安全・保安院時代のストレステスト意見聴取会委員を務めていた井野博満さんが「原子力安全・保安院時代よりおかしい」と厳しく追及した。

 そう、原子力規制委員会は原子力安全・保安院よりもひどい再稼働推進委員会であることがここでも露呈した。この問題は工事計画認可ともからみ、引き続き追及していかねば。

2.ヨウ素剤配布が間に合わない

  防災・避難計画は、福島第一原発事故を思い起こせば全く絵に描いた餅であることが、多くの場で確認されている。今回は、ヨウ素剤配布を重点に追及され、内閣府担当(元規制庁)は2013年10月に3.11以後初めて国が行った原子力総合防災訓練(対象は川内原発)を何度も参照して、訓練の実績を強調した。

 しかしながら、私はこの原子力総合防災訓練を(生まれて初めて鹿児島県に入って)傍聴・参加したので、内閣府・規制委の説明に全く納得できない。秘密裡に進められた防災訓練、官邸とつないだテレビ会議が故障、自衛隊員もJNES等原子力ムラ員も参加、SPEEDI質問には超スロー回答で結局活用せず、要援護者の避難は45分遅れ、などを記憶している。

 特に、原発から5km程にある水引小学校からの避難を見たが、昼礼の後で一旦教室に入った5年生約40人が大型バスに乗り込んで避難していき、川内アリーナに連れていかれた。ヨウ素剤(訓練なのでカード)を生徒たちが配布されたのは避難所「川内アリーナ」でである。訓練時でも20分程かかり、車渋滞で何10時間になるかも知れないのに、なぜ学校で配布しないのか、私は疑問に思っていた。

 このことを尋ねると、内閣府担当も規制庁担当も顔を見合わせて黙ってしまった。結局、後日答えると回答したが、やはりこのことも大問題なのだ。

 内閣府と規制庁の担当者は本当に、原発周辺住民の命と健康を守る気が無いのではないか。