原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その47   2015年5月16日

泉田新潟県知事が明らかにする原子力規制委員会の姿
田中委員長は設置法が求めている「安全の確保」任務を怠っている

   
 岩波「科学5月号」の「泉田新潟県知事インタビュー 過酷事故に備えられていない日本」で、田中原子力規制委員会が嫌っている泉田知事が能弁に語っている。多くのことが的確に指摘されているのでその一部を紹介する。

〇原子力の安全性とは

 田中委員長は、IAEAが定めている深層防護をどこまで理解されているのかわかりません。

 今の基準は、安全の考え方がきわめて幼稚であると思います。最悪の想定をしないのは責任回避のためにやっているのかもしれません。分かってやっているなら意図的で悪質です。わからなくてやっているなら恥ずかしい話です。

〇被曝を防ぐ指針なのか

(原子力災害対策指針の改定案に対して)

 30km圏外をどうするのかという問題があります。SPEEDIも使わないで、どうやって危険地帯を判断して屋内退避を求めるのか、その点を考えない指針になっています。

〇問題山積の安定ヨウ素剤

 安定ヨウ素剤の配布について、誰がどのように行動するのかが検討されていません。住民の被曝防止には役立たない、むしろ被曝を強要する指針になっているのではないかと考えています。

〇規制委員会の組織目的

 設置法では、「原子力利用における安全の確保に関すること」を一元的につかさどることになっています。…。田中委員長は、炉規法の世界でしか話をせず、設置法が求めている任務を怠っているのではないかと思います。

 委員が不足しているのではないかと思います。住民を守るために、地方行政がわかる人が委員に入らないと、この状況は治らないのではないでしょうか。

 原子力規制委員会の所掌事務には事故原因究明が入っていますが、「中間取りまとめ」を出して休眠状態になっています。…。なぜ原因究明をしないで規制基準をつくることができるのか、不思議です。

〇事故に対応できるのか

 福島原発事故では原子力安全・保安院検査官が、民間人をサイトに残して先に撤退するという事態が起きました。…。一体誰が、過酷事故を収めに行くのでしょうか。地元の消防が行くのか、警察なのか、自衛隊なのでしょうか。法整備も、全く考えられていません。

 なお、同記事には新潟県から原子力規制委員会への要請文著「住民等の防護対策について」と提出意見「原子力災害対策指針(改定原案)への意見」も掲載されている。