原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その32   2014年12月24日

東京新聞があばいた規制委「海洋モニタリング」の嘘
IAEAと組んで海洋汚染を隠す原子力規制委員会
   以前から気になりながら追及できないでいた海洋モニタリングの偽りを東京新聞が暴いてくれた。要するに、規制委は検出力の小さい分析方法で毎日分析して、不検出(汚染濃度ゼロ)を喧伝してきていたのだ。

1 12月5日の東京新聞トップ記事
<「不検出」実際は汚染 東電誤解与える海水簡易分析>
  http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014120590065951.html
東京電力福島第一原発から海洋への放射性セシウム汚染問題で、東電は測定時間が極めて短い簡易の分析で「検出せず」と公表してきた。ところが、詳細分析の結果では、その7、8割でセシウムが含まれていることが分かった。…。
 北と南の放水口付近で毎日行う「簡易モニタリング」で不検出(ND)としているデータの7〜8割が詳細分析すると1〜5Bq/lも出ており、おまけに専用港出入り口では詳細分析していない。
 規制委事務局担当者は「日々の測定は放射性物質の漏れを早く検知するためで、詳細分析は汚染の拡散状況や量を把握する目的。改善すべき点があれば改善したい」と話した。

2 すぐにコメントする規制庁
 実はこの記事にはその前段の12月1日の東京新聞トップ記事がある。
<海洋汚染、収束せず 福島第一 本紙調査でセシウム検出>
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014120190070303.html
 これに対して、規制委がすぐに反応した。12月2日の規制庁ブリーフィングで米谷総務課長が「読まれた方に誤解を生ずるおそれがあるもの」、「日常分析は毎日実施しており、検出下限値は1Bq/Lに設定しています。詳細分析は週1回実施しており、検出下限値は0.001Bq/Lに設定」と説明する。が、記事を否定したり抗議はできなかった。
 12月5日の記事は、規制委の圧力にめげずにより詳細に東京新聞が書いたものだ。

3 海洋モニタリングについてのIAEAレビュー
 規制委は昨年の秋に海洋モニタリングについてIAEAに指導された。IAEAの職員がボートに乗った写真をご記憶の方もあろう。このIAEAのレビューの結果は、「海洋モニタリングに関する国際原子力機関(IAEA)のレビュー −東京電力(株)福島第一原発第1−4号機の廃炉に向けた取組についてのIAEAレビューの最終報告書」として公表されている。
  http://www.nsr.go.jp/activity/monitoring/monitoring7.html

4 田中委員長発言
 このことについては2013年9月5日(IAEAレビューの前)に田中委員長が目論見を述べている。
  http://www.nsr.go.jp/kaiken/data/20130905sokkiroku.pdf
 「…今の段階では、いろいろ言われているけれども、外洋の汚染というのはないのですよというか、要するに、優位な差は出ていないですよということなのですね。言葉でどうこう言うよりは、ああいうデータで示した方が、はっきりする。我々、科学を扱っている人間は大体そういう理解をするので、外国人も、その方がはっきり分かるでしょうということで、例えば、IAEAとか、しかるべきところにきちっとそういう情報を出していこうということで、国際社会のいろいろな不信とか、混乱を防ぐのに、我々としても責任を果たそうという、そういうことなのです。」
 そして、2013年9月11日には田中委員長が安倍首相の嘘を擁護した。
  http://www.nsr.go.jp/kaiken/data/20130911sokkiroku.pdf
 「環境に有意な影響があるような汚染はまだ生じていないということで、ブロックされているとおっしゃったと思うのです。コントロールされているかどうかということは、考え方なのです。…しかも、今の1Fの状況は、心配しなければいけないような状況ではないということは、私もそう思っています。今、海の汚染はほとんど港、安倍総理でいうと0.3平方キロの外では、ノンディフェクタブル(不検出)な状況に近いですから、言葉の端々をあげつらっても、何の意味もないのです。」

 海洋モニタリングにおいて、検出力の乏しい簡易分析を毎日やってそれを海外に向けてまで公表し、イチエフ事故による海洋汚染を隠し通すことを、田中委員長率いる原子力規制委員会がIAEAと組んでやっているのだ。