原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その30   2014年11月29日

原子力安全・保安院の不作為を追及しない規制委
規制行政の失敗を検証しないでは過ちを繰り返すぞ
 ○11月26日の田中委員長記者会見で共同通信の記者が鋭い質問をし、規制委が前規制当局である原子力安全・保安院の過ちを何ら明らかにしていないことを指摘した。今までに技術的観点で事故調査・検証不十分問題を指摘してきているが、このように規制行政の問題をクローズアップする指摘はあまりなかった。
 原子力安全・保安院からの横滑り職員でできた規制庁、原子力マフィアからの委員で作られた原子力規制委員会に期待することはできないが、これから是非追及していくべき問題だ。
 記者会見は http://www.nsr.go.jp/kaiken/ から11月26日の速記録、会見映像参照。
○以下はそのピックアップ。
☆記者「1F(イチエフ)の事故で、事故の直後に何が起きたかという検証は曲がりなりにも規制委員会、取り組んでおられると思うのですが、その遠因となった保安院の失敗というか、審査全般の何が問題だったのかというようなことの検証が行われているのか行われていないのか、よく分からないのです。それで、言葉の端々から委員長、例えば国会で炉安審について言及されるときとか、過去の失敗であると言ったりとかですね、規制庁の方がいろいろ過去の失敗にというようなことをおっしゃるのですが、どうなのでしょう。体系立った規制の失敗というようなことを何か検証されているのでしょうか。」
★田中委員長「新規制基準と古い規制基準とを比較してもらえば、まず、そこはおのずと明らかですね。それから、規制審査のやり方もみんなオープンでやっていますし、そういうことから見たらそういう反省は、我々なりに踏まえてやっていると思います。」
☆記者「…。でも、私が申し上げたいのは、こういう反省をしたからこういう対策をしていますという、その後段の方しか出てきていないということなのです。こういう総括をしましたというのは、事故調の報告書はいくつかありますけれども、規制委員会として何が間違っていたかということを公にはされていないですね。多分体系立ってそういう検証をされていないのではないか…。どうでしょう。」
★委員長「いや、考え方の上で、まず科学的中立性を保つ、透明性を保つというところは、非常に大きな考え方の上の規制の反省だと思います。」
☆記者「『原発と大津波 警告を葬った人々』(岩波新書)から出せば、…例えば当時の森山審議官から院長や次長や、それからもう一人、黒木さんですかね。いろいろバックチェックと言われて、津波の問題があるから何が出てくるか分かりませんよというようなメールを出していたとか。…退任された島崎(邦彦)先生が2002年の長期評価ですか。あのときに中央防災会議で潰されたという話がありましたけれども、あのときに保安院は何をしていたのか。1997年の7省庁津波から2002年の土木学会指針ですね。あそこら辺の経緯の中で、保安院はなぜ津波のリスクを知っていたのに、それをちゃんと規制に反映しようとしなかったのか…」
★委員長「ずっと御覧になっていて、それはやっていると思いますけれども。」
☆記者「やっていないです。」
   …
☆記者「違うんです。こういう反省があって、こういうことが原因であったということを明示していないではないですかということです。」

 最後に、記者が言及している『原発と大津波 警告を葬った人々』(添田孝史著、岩波新書)は本年11月20日発行で面白い。