原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その21   2014年10月1日

原子力規制委員会の最初の不祥事 名雪審議官事件
この始末の仕方が示す事業者癒着体質!
○ いささか古い(2013年春)事件であるが、原子力規制委員会が発足して半年後に判明した名雪審議官事件とその始末の仕方は、原子力推進組織からの独立性を要求されている規制委・規制庁の実態を表す重要な事件だ。
 事件のあらましは次のとおり(共同通信、2013年3月31日)
「文部科学省は31日、官房付で元原子力規制庁審議官の名雪哲夫氏が山形大に出向する人事を発表した。31日付。規制庁審議官在任中、電力事業者に資料を漏えいした問題で処分、更迭された。山形大では教授に就任予定で、放射線分野の研究をするという。
 名雪氏は1月、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査をめぐり、原子力規制委員会の調査団が評価会合を開く前に、日本原電の求めに応じて報告書原案を渡した。また内規に違反して1人で日本原電側と面会していた。規制庁は2月1日付で名雪氏を訓告処分とし、出身官庁の文科省に出向させていた。」
○ この事件は次のことを如実に表している。
(1)規制庁の事業者との癒着
 原子力規制委がまだ国会同意を得ていない(同意は2月15日)時に、規制庁ナンバー3の審議官が一人で事業者(日本原電)幹部3人と面会し規制側の報告書案を事業者に渡したのだ。明らかな事業者との癒着である。新組織の初めての不祥事なのだから、他に同様の事例が無いか、各部門で事業者とどう対応しているかを調査し問題点を改善するべきであるのにそれをせず、おまけに訓告処分で人事記録にも残らない甘い甘い処分で終わらせた。規制委・規制庁で、事業者との癒着が発足直後から蔓延していることを象徴的に表している。
(2)ノーリターンルールの形骸化
 おまけに、処分されるべき名雪元審議官はノーリターンルールに反して出向元の文科省に戻り、更に山形大教授に就任したのだ。名雪氏の後輩の規制庁職員がそれでも更迭で気の毒とかばっていた、事の重大性が分かっていない証拠だ。
○ 川内原発の再稼働審査においても公開されている審査会合とは別に、毎日のように規制庁と九州電力とが事業者ヒアリングと称する内緒話を繰り返している。その為に、九電の技術者170人以上が東京に常駐しているという。
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/shinsa/sendai12/meeting/index.html
 今も、名雪審議官事件の反省もせずに、規制委・規制庁と電力会社との秘密癒着会合が続けられているのであろう。