原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その5  2014年

避難させずに屋内退避を押付けるための「試算」
非科学的・非現実的・おかしな数字 放射能ヒバクをたくさん受けてしまう
○原子力規制委員会は非「科学的・技術的」でかつ政治的な提言をいくつも出している。5月28日に新たに加わった政治的提言が「緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算」だ。
原発の各関係自治体では避難について未解決問題が山積している中で、田中委員長が指示して規制庁が数か月間苦心の計算を重ねてつくりだしたものがこの「試算」。
「100テラベクレルのセシウム137が環境中に放出されるような仮想的な事故を想定」し、「予防的防護措置」として木造家屋屋内退避とコンクリート構造物屋内退避をならべ、屋内退避で被爆線量が低減するグラフを見せて、「UPZでは、放射性物質の放出前に、予防的に屋内退避を中心に行うことが合理的」と結論。
 「本試算ではこれ以上の規模の事故が起こらないことを意味しているものではない」とわざわざ書き添えてあるとおり、これは多くの前提条件の上での試算結果。放出量はイチエフの百分の一、放出は炉停止12時間後に5時間、放出高さは50m、大気中拡散計算はOSCAARで、気象条件は年間からサンプリング、などなど非現実的で信用できないし、被ばく量の絶対値に意味を持たない。にもかかわらず、被ばく量結果をIAEA判断基準(実効線量100mSv/週、ヨウ素50mSv/週)と比較して、効果ありを演出している(非科学的!)。
○何よりも怪しげなのが、「屋内退避」の「遮へい効果」と「密閉効果」。例えば、木造家屋の放射性プルームからのγ線の低減はIAEAでも10%なのに、防護措置低減を25%と計算している。木造家屋が多い原発立地地域で重要な仮定だ。
また、イチエフ事故においてこのように2日間の自宅待機を住民に強いた場合にどうなったかを示さないのもおかしい。
さすがに、後ろめたさを感じたのか、定例会議での各委員の発言も言い訳がましい(速記録参照)。
○それでも、この試算結果を独り歩きせて屋内退避推奨に使われるであろう。先の5月29日の院内交渉集会で規制庁防災課担当が「屋内退避」を何度も強調していた。
規制委は、沢山の現実性がない前提をおいてもっともらしいグラフを見せて、5km〜30km圏の住民に屋内退避を押付けようとしている。非「科学的・技術的」で政治的だ。
(参考)
原子力規制委員会定例会議 http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/
同資料2 http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/h26fy/data/0009_03.pdf