経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その87  2018年8月16日
原発再稼働で「利用目的のないプルトニウム」を増やすな
〜3.11以後も再稼働でプルトニウムが増えているぞ、プルサーマルでも厄介な核のゴミが増えるぞ〜
 「利用目的のないプルトニウムは持たない」といいながら47トンもの分離プルトニウムを保有してしまった日本。経産省も原子力委員会もこれを減らす為にプルサーマル発電を推進すると言っているが、これもとんでもない誤魔化しと問題先送りだ。
 毎年内閣府原子力政策担当室が公表する「我が国のプルトニウム管理状況」によれば、2017年度末時点の日本の(未照射)分離プルトニウムは47.3トン(国内10.5トン、海外36.7トン)。一方、同資料末尾の「IAEAが公表する各国の国内プルトニウム保有量」では、2016年度末で「未照射(分離)プルトニウム」9.8トンに対して、「使用済み燃料中のプルトニウム」は164トンで、国内「未照射プルトニウム」の15倍、総分離プルトニウム47トンの3倍以上もある。
 この表からプルトニウムの年々の増減を覗いてみよう。
「IAEAが公表する各国の国内プルトニウム保有量から日本のデータを抽出」
 年、「未照射プルトニウム」、「使用済み燃料中のプルトニウム」(単位:tPU)
2001年末、 5.3トン、78.9トン
2009年末、10.0トン、144トン
2010年末、 9.9トン、152トン
2011年末、 9.3トン、159トン
2013年末、10.8トン、161トン
2014年末、10.8トン、161トン
2015年末、10.8トン、163トン
2016年末、 9.8トン、164トン
 
確かに、この1、2年のプルサーマル発電により「未照射(分離)プルトニウム」はわずかに減少している。一方で、「使用済み燃料中のプルトニウム」は、01年から09年の間に原発稼働で65トンも増え、3.11事故後に161トンを維持、その後原発再稼働により3トン以上増加している。すなわち、「未照射分離プルトニウム」に照射して見かけ上分離プルトニウムを減じても、「使用済み燃料中のプルトニウム」は増加し続けているのだ。
 おまけに、プルサーマル発電で生み出す使用済みMOX燃料は使用済みウラン燃料よりも発熱量が高く(3〜5倍)、超ウラン元素という厄介な照射性核種を多く含んでいるため、再処理が不可能であり保管・管理が非常に厄介である。
 このように、外圧を利用してプルサーマル発電を推進して見かけ上の分離プルトニウムを減らしても、「使用済み燃料中のプルトニウム」が増え続け、かつ厄介な使用済みMOX燃料を生み出すのであるから、プルトニウムを減らす為にプルサーマル発電するなんてナンセンスだ。