経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その43  2017年9月22日

儲からない原発ビジネスを推進した経産省官僚に「国策民営」の責任を取らせるべき
〜大西康之「東芝 原子力敗戦」(文芸春秋)が明らかにする「国策民営」問題〜
  大西康之「東芝 原子力敗戦」(文芸春秋)は、「19万人企業を滅ぼした、思考停止の凡人たち」「サラリーマン全体主義は終わった」と、東芝原子力事業の暴走を克明に調査して書かれていてとても面白い。
 一方、同書が訴えているもう一つ重要なことが「国策民営」の問題点である。以下に引用・紹介する。

◆「原子力立国計画」(www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g60823a04j.pdf)
経産省が2006年8月に「原子力立国計画」を策定、2カ月後に東芝がWH(ウェスチングハウス)を高価買収した。これを書いたのは経産省資源エネルギー庁政策課長だった柳瀬唯夫である。当時、資源エネルギー庁長官の望月晴文、同庁の資源・燃料部政策課長の今井尚哉らも深く関った。
◆ 東芝は経産省の振り付け通りに踊る俳優
★「WHはすでに死に体だった」にも拘らず、経産省が脚本を書き、東芝、東電が踊る国策民営の「原発輸出」。東芝のWH買収作戦のコードネーム「ACTORS(俳優)」は絶妙のネーミングだった。東芝、東電は経産省の振り付け通りに踊る俳優なのだ。
★ 西田東芝会長「企業は実行部隊ですから、まずは国が方針を決めてくれなくては」「決めるのは国、実行するのは自分たち」。東芝は、日本の電機業界の中で最も国に忠実な企業だった。
★ 資本主義から遠い産業
★ 今井(尚哉)にとって東芝は、阿吽の呼吸で無理を聞いてくれる便利な会社であり、三菱重工業や日立製作所よりずっと使い勝手が良かった。
★ この産業では、「国策民営」が貫かれている。絵を描くのは国で、実行するのは民間企業という構図だ。故に、原発産業はあらゆる事業の中で、最も資本主義から遠い場所に位置する。
◆ 原発は儲からないビジネス
 過酷事故が起きるたびに安全コストが膨らみ、最初は「大した問題ではない」と思われていた使用済み核燃料の処理や、廃炉のコストが、膨大であることも分かって来た。
 福島第一原発事故が起きる前から、先進国では「原発は儲からないビジネス」と認識されていた。だからこそ、GEは原子炉の製造から手を引き、WHを買収した英核燃料会社BNFLは約7年でそれを放すことにしたのだ。
 儲からないビジネスになったもう一つの理由は、東西冷戦の終結だ。1991年のソ連崩壊で仮想敵国を失ったアメリカはその後、軍事予算を大幅に削減していく。「軍需と両目的で初めて採算が取れる原発」の存在意義が、冷戦終結で一段と希薄になった。
◆ 官僚は責任を取らない
★「国策」とは一体何だったのか。今井=田窪のラインが仕掛けた原発パッケージ型輸出は、結局、一つも実現していない。
官僚が企業の経営に介入することの最大の問題点は、官僚の匿名性である。結果責任を問われない。
★ 官僚は犯罪や不祥事を除けば、どんな失敗をしても個人の名前で責任を問われることがない。「国のため」と言いながら無責任に大きな絵を描き、失敗のツケは企業や国民に押し付ける。

 歩道を歩いただけ、脱原発を訴えただけの人が今警視庁の留置場に入れられている。国策民営と称して、東電も東芝もずたずたにしてしまった官僚たちが未だに経産省・資源エネルギー庁に居て高級をもらっている。何という不条理!経産省は本当に必要な省だろうか? 抗議の声を高めよう。