経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その42  2017年9月7日

台湾・韓国の脱原発政策を見習おう
〜経産省も安倍政権もエネルギー政策を根本的に変えよう〜
  長谷川公一さん(東北大学 環境社会学)による科学9月号(岩波書店)の巻頭エッセイ「台湾・韓国の脱原発政策」に強く共感したので抜粋して紹介します。経産省・エネ庁・安倍政権の愚かさと、私たちの運動の弱さとを痛感させられますね。

 東電福島原発事故から6年半が経過しようとしている中で、同事故から台湾と韓国が原発政策の大転換をもたらしつつある。
 韓国は、24基の原発が稼働し、原発依存率30%の世界第6位の原発推進国であり、2030年までに原発依存率を2030年に59%に引き上げ、あわせて原発80基の輸出をめざしていた。
 が、文大統領は、選挙期間中の公約にしたがって、石炭火力発電の見直しとともに、原発の新規建設計画をすべて白紙に戻し、2基の建設工事を中断、老朽化した炉については稼働期間の延長を認めず、今後40年以内に原発ゼロをめざすと宣言した。首都ソウル市で2012年4月から始まった原発1基分の省エネ政策が成功し、2014年6月に計画の半年前に削減目標を達成した。
 
 2016年5月に発足した台湾の蔡英文政権も、2017年1月に、2025年までに原発をゼロにすることを定めた電気事業法の改正案を成立させた。
 台湾では6基の原発が稼働している。小さな島国で、地震も多いことから、福島原発事故は大きな衝撃を与えた。
 福島事故から2年後の2013年3月9日には台湾全土で10万人を超える反対デモが起きた。2014年3月18日には学生運動が立法院を3週間以上選挙する「ひまわり運動」が起こった。国民党の馬総統(当時)は、2014年4月に第四原発1号機の稼働凍結と2号機の工事中止を決定した。
 2014年時点で原発は電力の19%を供給しているが、2025年には、エネルギーの効率利用も進めつつ、原発を全廃し、再生エネルギーを20%にしようとしている。

 水力発電も乏しく、日本以上にエネルギー自給率の海外依存率が高い韓国と台湾が、政治主導で極めて野心的な脱原発政策を押し進めていることはきわめて興味深い。福島原発事故以降、ドイツ、ベルギー、スイスで、目標年次を定めた原発全廃を決定している。福島原発事故の当事国である日本が、第2次安倍政権以降、何ら見るべき新たなエネルギー政策を打ち出せていないことと好対照だ。世界は「変われない日本」をいぶかしく見つめている。