経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その33  2017年5月24日

急騰する新規原子力発電所の建設費(コストオーバーラン)
〜牧野淳一郎さんが指摘する資源エネルギー庁の現実無視費用見積もり〜
 
  世界の原発の発電コストが急騰してコストオーバーランが起こっているにも拘らず、資源エネルギー庁のコスト見積りが、この現状をまったく反映せず、1/2から1/3程度にとどまっている。そのことを、牧野淳一郎さん(神戸大学)が岩波「科学5月号」の「3.11以後の科学リテラシー」で指摘しているので紹介する。

◆ 東芝の経営危機は、新規に建設中の原子力発電所の費用がどんどん上がっているから。
★ 現在ウェスチングハウスがAP1000というタイプの原発をヴォーグル3,4号機として建設中ですが、既に3年ほど計画から遅れて、30億ドル(約3600億円)ほど予算オーバーしている。
★ 要するに、現在建設中の原子力発電所の建設コストが1.5倍ぐらい膨らんでいて、このAP1000の建設費は1基で1兆1千億円を超え、1kW当たり100万円で、資源エネルギー庁の見積もり(1kW当たり37万円)と2〜3倍の開きがある。
◆ 同じようなコストオーバーランがフランスで建設中のフラマンヴィル原子力発電所でも起きていて、同じような安全対策をして、あまり変わらないコストになっている(当時で1kWあたり70万円)。
◆ イギリスで建設中のヒンクリーポイント原発(欧州加圧水型2基)は一基2兆円を超えるというすさまじい高騰ぶりです。
◆ このように欧米では原発建設コストは経済的にまったく成り立たないところまで上昇していて、そのことが現在の東芝の経営危機の最大の原因になっている。
◆ 問題は、日本政府の政策の根拠になると考えられる資源エネルギー庁のコスト見積りが、この現状をまったく反映しない、実際のコストの1/2から1/3程度に留まっていること。
◆ エネ庁のコスト見積りは形式的には整っていて「最近建設されたものの費用+3.11を受けた改修費用」としているが、現実を無視している。例えば東芝/ウェスティングが現在建設中のAP1000建設コストを考えるべきであり、日本むけに地震・津波対策も必要なはず。
◆ エネ庁の空想的な見積もり自体が、国内産業に大きなダメージを与えつつある。

 経産省(資源エネルギー庁)は東芝の経営破綻を招いても、未だに空想的な「計算」でまだまだ国内産業にダメージを与えるつもりか。