経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その217 2023年11月11日
東電は「水産資源保護法」違反で訴追されるべき!?
〜水産庁(農林省)も福島県水産課も環境省も有毒放射性物質の影響評価から逃避〜
 「生物に悪影響を及ぼす汚染物質を垂れ流す東京電力の行為は、水産資源保護法違反です。犯罪行為です。東電や政府幹部、(海洋)放出の責任者は刑事訴追されるべきです。東電や(政府の)責任者を刑務所にぶち込んでやろうじゃないですか」
これは東京大学名誉教授で魚類免疫学などを専門とする鈴木譲さんの主張。(https://news.yahoo.co.jp/articles/f75e179297298d94c08c4acd6a74f172762e431d)
この「水産資源保護法」違反について、東電や政府や福島県を追求してみた。関係官僚たちは全くまともに説明できずかつ放射性物質汚染について逃げ腰である実態が明らかになった。以下はその中間報告。

1 東電の回答(8月28日)
水産資源保護法に基づき制定された福島県漁業調整規則では、第四十四条に有害物質の遺棄漏せつの禁止が規定されておりますが、水質汚濁防止法の適用を受ける者については「有害物質の遺棄漏せつの禁止」を適用しない旨定められております。
福島第一原子力発電所は水質汚濁防止法に基づく特定施設であることから、ALPS 処理水の海洋放出にあたっては、福島県条例に基づく海水で希釈された排出水(上流水槽の水)の測定を行うとともに、希釈放出前に測定・確認用施設において均質にした上で、水質汚濁防止法に基づく福島県条例の基準値を満足することを必ず確認します。
2 水産庁(農林水産省)の回答(8月29日)
上記東電回答「水質汚濁防止法の適用を受ける者については適用しない」について尋ねたところ、そんな例外規定はないと回答。
3 東電の回答(10月23日)
水産資源保護法第四条に基づき、福島県漁業調整規則が制定されております。
確かに福島県漁業調整規則(https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/415806.pdf)には、次の項がある。
<(有害物質の遺棄漏せつの禁止)
第四十四条 水産動植物に有害な物は、遺棄し、又は漏せつしてはならない。
2 知事は、前項の規定に違反する者がある場合において、水産資源の保護培養上害があると認めるときは、その者に対して除害に必要な設備の設置を命じ、又は既に設けた除害設備の変更を命ずることができる。
3 前項の規定は、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)の適用を受ける者については、適用しない。>
4 福島県水産課の回答(11月6日)
 県の漁業調整規則第44条の3項がなぜ入っているのかと尋ねたところ、国(水産庁)のガイドによるとの回答。
5 水産庁の回答(11月6日)
 県水産課の回答をぶつけると確認して折り返しの回答。
(回答1)水産資源保護法には水質汚濁防止法の記載は無いが、漁業調整規則には県の規定44条が国の漁業調整規則例にもある。水産資源保護法と水質汚濁防止法とかぶるといけないので。
(回答2)「有害物質」に放射性物質が入るはずだがとうかの質問には、水質汚濁防止法を所管している環境省に確認してほしい。
6 環境省の回答(11月9日)
 環境省は放射性物質についてモニタリングしている。アルプス処理水については風評被害対策をしている。水質汚濁防止法の放射性物質の基準は原子力規制委員会が対応。
(折返し電話で)
 福島県漁業調整規則第44条3項の水質汚濁防止法の適用ですが、同法第2条に規定されている特定施設で原子力発電所は入っていない。第44条については一項と二項で読むべきで、水産庁に答えてもらうべき。
(余談)原子力規制委員会は環境省の下にある(確かに設置法には環境省の外局とある)ので、「山中委員長は環境省の副大臣級の職員になる」
7 水産庁の回答(11月10日)
 県漁業調整規則第44条の第3項に当たらないとの環境省の回答をぶつけると、それについては、福島県に尋ねて欲しいと逃げる。水産庁としては今のALPS処理水海洋の放出について関係閣僚会議などで農水大臣が述べている。
8 福島県水産課(11月10日)
 県漁業調整規則第44条の第3項について除外されないと環境省が答えたことを告げ、なぜ今の海洋放出が第44条の対象にならないのかと尋ねた。県は、そうだとしても「IAEAで環境への影響が少ないと判断されている」、「県としては有害なものと判断していない」。
 IAEAはこれでいいとは言っていない、県として放射性物質の潰瘍放出が有害かどうかの判断をしないのかと重ねて問うと、「担当としてたずねているのか?県として尋ねているのか?」と言われ、両方の判断を尋ねたいと答えると、「県としては有害なものと判断していません」「放出基準を満たして放出されている」「水産資源保護法に反すると判断していない」。「水産資源保護法に反するかの判定的行為は水産課でしていない」、「県の危機管理部または原子力安全課が所管している案件」と回答。

 以上、水産資源保護法とそのための「(福島県)漁業調整規則」について、関係する東電、水産庁、県水産課、環境省に尋ねた中間結果を報告する。
 イチエフのすぐ前の港湾が放射能汚染され、海底土の被覆・魚類の移動防止などの「港湾魚類対策」を強化している状態であるにも拘らず、関係省庁がこの放射能汚染水海洋投棄「ALPS処理水海洋放出」の水産資源保護法違反について、逃げている状況がよく分かる。
 これらの役人たちに国民の命と健康と環境を守る気がないのだろうか。
引き続き追跡していきたい。
以上