経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
の213  2023年8月28日
関西電力の老朽原発再稼動ラッシュを糾弾する
〜古賀茂明<「反社」関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」だ>から〜
 関西電力は、美浜3号・高浜1号の超老朽原発を含めて6基を稼働、更に高浜2号も既に燃料
を装填して9月15日に営業運転予定。7基の稼働は、福井県のみならず近畿の水がめ琵琶湖
の放射能汚染を心配させる。
 ここでは、古賀茂明さんの「改革はするが戦争はしない」フォーラム4の文章を借りて、関電の
「反社会性」と経産省、岸田政権の「亡国トリオ」を糾弾する。

関西電力という会社は驚くようなスキャンダルを量産し続け、しかも、ほとんど何の痛手も被ら
ずに、今も経産省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている。
(1)歴代経営幹部金品受領事件(2019年9月)
関電の不祥事と言えば2019年9月に発覚した、岩根茂樹元社長ら歴代経営幹部20人が福井県
高浜町の元助役(故人)から金品を受け取っていた事件。公益事業のトップらが長年にわたっ
て大金を受け取ることを習慣化していたことに国民は驚愕した。
受領した金品の総額は約3億2000万円相当。内訳は、現金が1億4500万円、商品券6300万
円、金貨365枚(1枚15万円相当)、小判型金貨3枚、金杯8セット、金500グラム、スーツ75着な
どで、一人で1億2367万円相当を受け取った者もいた。
しかも、関電経営陣は、のちに、所得税の追加納税を余儀なくされた元役員1人に計120万円を
支払い追加納税分を補填すると決めた。これは、関西電力が金銭受領問題について何ら反省
をしておらず、むしろとんだ事故に巻き込まれたという程度の認識しか持っていなかったことの
証左。
(2)顧客情報の盗み見事件(2021年12月)
次に、2021年12月に発覚した顧客情報の盗み見事件もまた世間を驚かせた。大手電力7社で
行われていた不正で、中でも関電は悪質だとして経産省から業務改善命令を受けている。とり
わけ事件が発覚した後に引き続き一部社員が盗み見を続けていた。
(3)カルテル主導事件
関電は、この他にも、建設工事に関する社員らの国家資格不正取得や、一部送配電営業所で
の検査不正などの不正も報じられていたが、最も衝撃的だったのは、カルテル主導事件。
法人向けに顧客の争奪戦を回避するカルテルを行っていたとして、公正取引委員会が、中国
電力など4社に総額1000億円超の課徴金を課したが、そのカルテルを主導していたのが関電。
これは電力自由化の根幹を崩壊させるとんでもない事件。
ここでも関電はその悪質性を存分に発揮。自分が主導した犯罪であるのに、公取に仲間を売
った。独禁法には最初に犯罪を申告して捜査に協力すれば責任を免れるという制度(リニエン
シー)があり、関電は最初に自主申告して良い子になり、処分を免れた。
悪に手を染めるだけでなく、仁義にも悖る行為。
(4)核のごみ処理やるやる詐欺
そして、これから注目を浴びるであろうタチの悪い詐欺的行為が、核のゴミ処理のやるやる詐
欺。放射性廃棄物の処分は答えのない大問題。本来は、これを解決しないまま原発を動かす
ことなど許されないはずで、実際には全く見通しが立っていない。とりわけ、7基の原発が稼働
する予定の関電は大量の核のゴミを現在も生産中で、その処理策を示すことは地元のみなら
ず、社会全体に対する責任。
ところが、関電は、ゴミを何とかしろと言われると、「はいわかりました」と安易に答えるだけで本
気では何もしなかった。私が知る限り、これまでに、5回も大嘘をついてきた。
最初は、1998年に中間貯蔵施設を福井県外に作ると約束、その見返りに燃料プールの容量を
増やすことを認めてもらうため。
次の嘘は、2015年高浜原発の再稼働を認めてもらうために、20年までの中間貯蔵施設の県外
建設により核のゴミを県外に持ち出すという約束。もちろん大嘘。
2017年の大飯原発再稼働を認めてもらう際には、20年末までに候補地を決めると約束。その
後、関電は、18年に東電と日本原電が建設中の青森県むつ市の中間貯蔵施設に関電が出資
して相乗りするという虫の良い計画を立てたが、むつ市長が不快感を示して頓挫。
さらに、懲りない関電は、電気事業連合会を使って、むつ市の中間貯蔵施設の電力大手によ
る共同使用案を検討させようとした。しかし、さらにむつ市長の怒りを買い、「むつ市は核のご
み捨て場ではない」と激怒されて、結局この案もお蔵入り。
そして、関電は運転期間40年超の美浜3、高浜2、3号機の運転延長を認めてもらう必要に迫ら
れると、中間貯蔵施設の候補地を2023年末までに決めるとし、「できなければ美浜3号、高浜
1、2号の運転を停止する」と、とんでもない空約束をした。もちろん口から出まかせ。
2023年の半ばになりいよいよ追い詰められた関電は、経産省と結託して、とんでもない「解決
策」を発表。高浜原発の使用済MOX燃料10トンに普通の使用済燃料190トンを混ぜて行う再処
理の実証試験をフランスで行うという。これで合計200トンの使用済燃料をフランスに搬出する
というが、この計画は全くの焼け石に水。
関電の森望社長は「県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義がある」と胸を張
り。中間貯蔵施設建設候補地の決定と同じというが、あまりの図々しさ。
もちろん、地元も世論も強い反発を示したが、関電は経産省に手を回し、西村康稔経産相に
「中間貯蔵と同等の意義がある」と言わせて国のお墨付きを得た、ふざけた話。
(5)ズルの上塗り
さらに、関電は、「ズルの上塗り」を進めようとしている。
8月2日、中国電力が山口県上関町に新設を計画する上関原発周辺の所有地に、中間貯蔵施
設の建設を検討する方針を発表。矢面に立つのは中国電力で、実は関電と組んで進める話。
関電は中国電を後ろで操り、地元との調整は中国電にやらせる。関電は成果だけを享受する
わけ。今回この計画が頓挫しても、傷を負うのは中国電だけという図式。
とんだとばっちりに逢ったのが上関の町民です。中国電の原発建設計画を反対運動で何とか
止めているのに、またもや「札束で横面を張る」やり方で、強引に核のゴミ捨て場にされそうに
なっている。その裏には関電がいて、さらには経産省と原発ゴリ押しの岸田内閣がいる。大変
な相手との戦いがもう一つ増えた。
(6)日本海側に集中する関電原発
 とりわけ、関電の原発は日本海側に集中している。
岸田政権は、北朝鮮のミサイルの脅威を強調し、中国の危険性も強調します。もしこれが正し
いのであれば、日本海側にある原発は直ちに稼働を止めて、核燃料などは地中深くの施設に
移してミサイル攻撃を受けないようにすべきことは誰にもわかること。
原発そのものがミサイル攻撃で破壊されれば大惨事になるが、それよりも脆弱な構造の核燃
料プールが破壊されても同じことが起きるし、それらの施設ではなくても電源を完全に断つよう
な攻撃で大変なことが起きる。
それにもかかわらず、関電が漫然と自社の利益を求めるために老朽化原発まで動かそうとす
るのを政府は後押しし、関電の嘘をむしろ庇いながら、原発再稼働に邁進している。現有の原
発が安全保障上日本の最大の弱点になっていることを全く無視しているのはどういうことなの
か。

稀に見る悪質性 と 「亡国トリオ」
 関電という企業の稀に見る悪質性。単にスキャンダルまみれに止まらない。
関電の特徴は、第一に企業トップが犯罪を主導、第二に発覚すると表向きは謝罪するが腹の
中では全く反省していない、第三に自己が利益を得るためなら他人を裏切ることなど何とも思
わないというヤクザも驚くような不誠実さ。こんな企業が原発という危険なものを動かして良いの
か。
大嘘つきの関電、これに完全に絡め取られた経産省、そして安倍内閣を超える原発ゴリ押しの
岸田内閣。古賀茂明さんは、これを「亡国トリオ」と呼ぶ。
以上