経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その202 2023年3月2日
原子力基本法を原子力推進法に改悪するな!
〜GX(Genpatus大転換)の束ね法で「国が原発推進」、事業者の責任は?〜
 原子力規制委員会が経産省に取り込まれ石渡委員が炉規法改訂に反対したにも拘らず、去る2月28日(火)朝に岸田政権がGX推進の為に5つの法律(原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法(炉規法)、再処理等拠出金法、再生可能エネルギー特別措置法)を束ねて国会に提出することを閣議決定した。



 ところが、ほとんど報道されてこなかった原子力基本法の改訂案がひどく、新たな沢山の文言が追加され、事業者の負担を軽くして国が原発推進することを規定し、原子力基本法が原子力推進法に様変わりしようとしている。以前に「我が国の安全保障に資すること」を滑り込ませた官僚たちが自公政権とともに、次の条文を含む驚くべき原発推進法案を出したのだ。

【国の責務】
(第二条の二)
国は、エネルギーとしての原子力利用に当たつては、原子力発電を電源の選択肢の一つとして活用することによる電気の安定供給の確保、我が国における脱炭素社会の実現に向けた発電事業における非化石エネルギー源の利用の促進及びエネルギーの供給に係る自律性の向上に資することができるよう、必要な措置を講ずる責務を有する。
2 国は、エネルギーとしての原子力利用に当たつては、原子力施設の安全性の向上に不断に取り組むこと等によりその安全性を確保することを前提として、原子力事故による災害の防止に関し万全の措置を講じつつ、原子力施設が立地する地域の住民をはじめとする国民の原子力発電に対する信頼を確保し、その理解を得るために必要な取組及び地域振興その他の原子力施設が立地する地域の課題の解決に向けた取組を推進する責務を有する。
(第二条の三)
国は、原子力発電を適切に活用することができるよう、原子力施設の安全性を確保することを前提としつつ、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
一 原子力発電に係る高度な技術の維持及び開発を促進し、人材の育成、産業基盤を維持
二 研究及び開発に取り組む事業者の関係者の相互の連携並びに国際的な連携を強化
三 原子力事業者が原子力施設の安全性を確保するために必要な投資を行うことその他の安定的にその事業を行うことができる事業環境を整備
四 原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律、再処理等、同使用済燃料に係るその貯蔵能力の増加その他の対策及び廃止措置の円滑かつ着実な実施を図るための関係地方公共団体との調整その他の必要な施策
五 最終処分に関する国民の理解を促進するための施策、地方公共団体その他の関係者に対する主体的な働き掛け、…その他の最終処分の円滑かつ着実な実施を図るために必要な施策…。
【事業者の責務】
第二条の四 原子力事業者は、エネルギーとしての原子力利用に当たつては、…原子力事故に対処するための防災の態勢を充実強化するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 原子力事業者は、原子力施設が立地する地域の原子力発電に対する信頼を確保し、…、原子力施設が立地する地域の課題の解決に向けた取組に協力する責務を有する。

 皆さん、あきれませんか。原発推進の負の遺産をすべて国の責務にし、事業者の負担をできるだけ軽くして、原発推進を図ろうとしている。懲りずにまたまた「国策民営」原発推進法だ。
 3.11事故後に原発稼働は40年まで例外的に20年延長可能と定めた炉規法の規定を電気事業法に持って行き、原発の審査・検査による停止期間を老朽化にカウントしないことも大問題である。しかし、束ね法として原子力基本法を原子力推進法にしてしまう経産省・内閣官房を許してはいけない。岸田政権が閣議決定した第六次エネ計の「可能な限り原発依存度を低減する」はどこへ行ったのか? 何としても法案成立を止めねばならない。
以上