経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その194 2022年4月11日
使用済み核燃料は冷やし続けないといけない!(原子力発電の重要な欠陥)
〜火力発電は「燃えかす(灰)」を残し、原子力発電は「核のゴミ(死の灰)」を残す〜
 ウクライナ戦争勃発直後のチェルノブイリ原発をロシア軍が征圧した折に「使用済み核燃料が貯蔵されている施設があり、冷却ができなくなれば放射性物質が放出される恐れがある」と報道。チェルノブイリでは事故炉以外の3基が2000年までに稼働停止したにも拘らず、「死の灰を含む使用済み燃料は20年以上も冷却が必要とされる」のだ。 
例えば本シリーズその84<湯を沸かす為に核分裂を起こすナンセンス「湯沸し装置」、それが原子力発電>で示した様に、火力発電のボイラーと原子力発電の原子炉と対比して、原子力発電は愚かな装置。

 ここでは原子炉から出る使用済み核燃料の冷却問題に着目しよう。
 例えば、山本義隆さんは水戸巌さんの次の記述を紹介している。
<軽水炉のばあいは、冷却材である水が失われると、幸いなことに核分裂の連鎖反応は自動的に停まってしまうのですが、燃料棒内の「余熱」および燃料棒内の死の灰が出しつづける熱(「崩壊熱」)によって燃料棒被覆は10秒の間に1000℃という高温に達し、水と反応し、ここで第3の熱「反応熱」を出します。これを防ぐためにECCSがありますが、それが10秒程度のあいだに有効に作動しなかったとすれば温度はさらに上昇をつづけ、1800℃を越えれば被覆が融け、2800℃では燃料全体が融けだします。その間に、金属と水の反応によって生じる反応熱が加速度的に加わってゆきます。こうして100トンから200トン近い燃料全体が溶鉱炉の鉄のような熔融物と化して、原子炉容器の底に崩れ落ちてゆくでしょう(「炉心溶融」)。こうなってしまえば厚さ12pという原子炉容器も、コンクリートの格納容器ももはや安泰でなく、発生しつづける熱や、容器内の圧力の増大によって破壊され、そこから大量の死の灰が外界に放出されてゆくことになります。>
 (水戸巌「原発は滅びゆく恐竜である」p.21)。
         
使用済みあるいは使用中の核燃料はどれだけの期間、冷却し続ける必要があるのだろう。約5年間はプールから移動することができないと聞いたが。 YAHOO知恵袋は次の様に書いている。 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1398648288)
<原子炉でもプールでも、水冷が止まるとやがて熱がこもり燃料が溶けだす危険がありますが、水冷が止まってから溶けるまでの時間は、原子炉での燃焼(核反応)停止から水冷保管されていた期間で変わります。保管期間が無い停止直後の状態だと、福島第一1号機のように数時間で全部溶けます。保管期間が半年くらいだと水冷停止後3日程度で溶け始め、1年なら6日程度の余裕があります。2年くらい経てば、閉じ込められて空冷も無い閉鎖空間でないとほとんど溶けだしません(物が燃えるような高温にはなるようです)。>  実際は何年経てば安全なのか?

これを読むと、3.16深夜の福島沖地震(東北新幹線で死傷事故、火力発電所13基一時停止)でも原子力発電所でプールの冷却水ポンプの停止やスロッシングが起こり、東電・東北電の原子力発電や再処理施設が長らく止まっていて良かったと胸を撫でおろす。

電気事業連合会の図において次のことを忘れてはならない。〇火力発電は「燃えかす(灰)」を残し、原子力発電は「核のゴミ(死の灰)」を残す。〇原発の場合はその「核のゴミ(死の灰)」を長らく電気を使って冷やし続けないといけない。
なお、ここで引用した山本義隆さん「戦争と原発―ロシア軍のウクライナ侵攻をめぐって」(三上治さんの紹介)には、戦争と原発について多くの示唆に富む記述があり、皆さんにも是非読んでいただきたい。
https://yamazakiproject.com/from_secretariat/2022/03/12/6194
また、同文で引用されている水戸巌「原発は滅びゆく恐竜である」(緑風出版)は水戸喜世子さんお薦めの重要な書籍、こちらもどうぞ。
以上