経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その184 2021年9月30日
第6次「エネルギー基本計画」で原発を残す経産省は亡国の省
〜原子力の社会的信頼は無い(私が提出したパブリックコメント意見)〜
 次の第6次「エネルギー基本計画」パブリックコメント意見募集に、私が9月30日に提出した意見を紹介する。
【資源エネルギー庁】
第6次エネルギー基本計画(案)に対するパブリックコメント(意見募集)
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/opinion/public.html


【概要】
私は、第6次エネルギー基本計画を検討開始した昨年10月から基本政策分科会を眺め、エネルギー政策に関する「意見箱」にも「第6次エネルギー基本計画に脱原発を書きこんでください」と題する百通を超える別々の意見を提出しました。 残念ながら、第6次「エネルギー基本計画」案では私の意見はほとんど生かされていません。そこで、エネルギー基本計画案について主として原子力発電についての記述に対して、順次私の意見を再度提出します。それらは、概略次のとおりです。
福島は終わっていない
放射能汚染が最大の環境破壊〜地球温暖化対策に原子力を使うことは許されない〜
核のゴミを増やすな〜核燃料サイクルは破綻、六ケ所再処理は動かすな〜
事故は必ず起こる〜イチエフ事故の教訓を受け止めよ〜
湯を沸かす為に核分裂起こすな
地震多発国日本で原発動かすな
原子力の社会的信頼は無い

【理由】
1 福島は終わっていない
第5次と異なり<1.東京電力福島第一原子力発電所事故後10年の歩み>で始まることや、<東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて、エネルギー政策の再出発を図っていくことが今回のエネルギー基本計画の見直しの原点>(l210)、<「安全神話」に陥って悲惨な事態を防ぐことができなかったという反省を一時たりとも忘れてはならない>(l219)、<原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する>(l222)と素晴らしい記述があり、高く評価します。
 しかしながら、この章の他の多くの記述は評価できません。次は私の事実認識です。
(1)イチエフ収束・廃炉作業のウソ あなた方は次の事実を隠して、ウソをつき続けるのですか。
〇事故直後、社内にメルトダウンの判断基準があるにもかかわらずそれを無視し、外部にメルトダウンしていないと誤った説明。
〇原子炉/タービン建屋の地下に大量の地下水が流れ込んで総量が増え続けていたことを半年間隠蔽。「滞流水全体量を減少」の目標を掲げ、記者会見では2011年の終わりまで地下の汚染水をすべて処理すると説明していた。
〇頑なに否定し続けていた海洋への汚染水流出をやっと2013年7月に公表。
〇青山道夫さん(当時気象研究所)の放射性物質が1日に約20億ベクレル建屋から海に出ているとの発表を、東電は認めず詳しい調査もせず。
〇敷地内観測孔での地下水トリチウム濃度の上下動繰り返しの指摘にも耳を貸さず。
〇経産省・東電・原子力規制委員会など以外の外部の目を入れようとしない。
〇事故後10年、今に至るまで事故当事者が事故の影響評価をするという奇妙な枠組み。
〇2021年3月に放射性廃棄物を収納しているコンテナ5338基のうち646基で損傷、汚染水漏れ発覚。その後の詳細発表無し。
(2)「廃炉」の姿を明確にし百年以上かかる廃炉工程を作り直すべき
日本原子力学会「廃炉検討委員会」宮野廣委員長が「100年はかかります」と言う様に、イチエフ「廃炉」はその姿も明らかでなく、現在の(福島第一原発の廃止措置等に向けた)「中長期ロードマップ」は全く信用できない。イチエフの「廃炉」を法律で定め廃炉作業員の権利を保障する必要がある。
(3)放射能汚染水を海に流してはいけない
これから20年〜30年もかけて、トリチウム等の放射能汚染水を海に流すことは、地球上のすべての生き物に対する暴挙です。この様な状況を作ってしまったことをまずしっかりと反省し、半減期12.3年のトリチウムを主とする放射能汚染水はしっかりとタンク保管して、地球の放射能汚染をできるだけ小さくするべきです。 理由は、放射性物質の拡散は許されない・トリチウムが危険・内部被曝が危険・海を汚し続けてはいけない・福島や周辺の漁業を破壊してはいけない・ロンドン条約違反してはいけない・国連海洋法条約違反してはいけない、…からです。(4)現実を見つめて福島への対策を 「(2)今後の福島復興への取組」に「難題を一つずつ解決していく」とありますが、「復興と廃炉の両立」の取組姿勢に問題があります。
あらゆる生き物の安全を考えて、放射性物質を可能な限り閉じ込める、可能な限りイチエフに近づかない、「復興」の範囲はイチエフの遠くに広げる。その上で「廃炉」の姿を明確にして被曝労働を抑えて現実的な「廃炉」計画を立てる。この様な取り組みが必要です。 その場合に、「帰還困難区域のすべてのを避難指示解除」は今世紀中は不可能です。「中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送等を着実に実施」することは止むを得ませんが、これらを県外最終処分することは放射性物質の拡散で許されません。

 以下は、第6次「エネルギー基本計画」案の「5. 2050年を見据えた2030年に向けた政策対応」の「(6)原子力政策の再構築」への意見です。

2 放射能汚染が最大の環境破壊〜地球温暖化対策に原子力を使うことは許されない〜
 原子力発電がクリーンだなんて大嘘です。
原子力発電は、お湯を沸かしてタービン回して電気を作るために核分裂反応を起こし、放射性物質をまき散らし、10万年以上も放射能をもつ核のゴミ(死の灰)を作り出します。おまけに、核分裂で起こしたエネルギーのうち1/3しか発電に使われず、残りの熱エネルギーは温排水として海に流されます。水の量は、例えば川内1号機・2号機の水量が九州第二の一級河川川内川の流量と同じであることが示すように多量です。おまけに海水の温度よりも7度も高い温排水なのです。まさに、原発は「海温め装置」です。
 火力発電では、発生エネルギーのうち1/2が発電に使われ、コジェネレーションにより残りの熱エネルギーも有効活用できます。 
 以上を考えれば、地球温暖化対策を口実に原子力発電を使うことは許されません。

3 核のゴミを増やすな〜核燃料サイクルは破綻、六ケ所再処理は動かすな〜
 エネルギー基本計画(案)では、これまでの原子力発電所や核施設の稼働でどれだけ核のゴミが貯まったかを明らかにしていません。プルトニウム約46トン(他に核燃料中に約169トン)、高レベル放射性廃棄物約19000トン(?)、TRU他の低レベル放射性廃棄物ドラム缶百万本以上、…をどうするつもりですか? 
 地震が少ないオンカロ(フィンランド)でさえ10万年は持たないと言われ、地震多発国日本では地層処分もとても危険なことは日本学術会議の原子力委員会への答申でも明らかです。
 半世紀間持越してきて未来世代に押し付けようとしている「核のゴミ」問題を論じないで原子力を議論できません。
 河野太郎氏の発言を聞くまでもなく、また多くの報道が示している様に、もんじゅの廃炉を決定し、核燃料サイクルは破綻している。 また、原子力規制委員会が「合格」とした六ケ所再処理施設も9月15日の原子力規制委員会定例会議で全く先が見えないことが明らかになった。29年前に計画され25回も完成を延期して稼働見込みがほとんど無く、もし稼働すれば過去のアクティブ試験が示すようにトリチウム他多大な核のゴミを発生するばかりか、利用目的のないプルトニウムを生産してしまう。また、MOX燃料はあまりに高価であり、使用済みMOX燃料は余りに毒性高く高温でより危険な「核のゴミ」である。
 以上を考えれば、非現実的な「(b)核燃料サイクル政策の推進 」(71ページ〜)は断念するべきだし、プルサーマル発電もしてはいけない。

4事故は必ず起こる〜イチエフ事故の教訓を受け止めよ〜 イチエフ事故のみならず、JCOの事故(二人死亡)あるいは美浜3号事故(二人死亡)、…原子力発電所の事故は絶えることが無く、かつひとたび事故が起こると被害は甚大だ。イチエフ事故でも多くの方々が、生活と仕事と故郷を失った。 おまけに、イチエフ事故原因追及は不十分で地震による配管判断説の検証もできていない。一方で経産省も東電も、津波予測の知見を軽視して、対策を引き延ばしてイチエフ事故を起こしてしまった。にも拘らず、今も原子力規制委員会が緩やかに過ぎ合理性を欠く「新規制基準」で再稼動を推進して10基近くの原発が稼働している。さらに、あろうことか40年以上経過した老朽原発の再稼動までを原子力規制委員会が特別扱いの審査で「合格」とし、資源エネルギー庁が福井県に補助金25億円をばらまいて、今恐ろしいことに美浜3号が稼働している。
 経産省・資源エネルギー庁、原子力規制委員会は、全く信用できない。
直ちにすべての原発を止めるべきである。

5湯を沸かす為に核分裂起こすな 原子力発電は、火力発電のボイラー部分を原子炉に置き換え、石油・石炭・天然ガスなどの燃料を燃やす代わりに核分裂反応を起こして、お湯を沸かしている。その為に、自然界に存在しない多種・大量の放射性物質を発生させている。 電事連のサイトにも示されているこの原理を考えただけでも、原子力発電の愚かさが良くわかる。直ちに原子力発電をやめるべきだ。

6地震多発国日本で原発動かすな
 世界地図に地震と原子力発電所とをプロットしてみると、日本列島に原発も地震も集中していることが良くわかる(石橋克彦「原発を終わらせる」)。
<日本列島は地球の表面積のわずか0.3%たらずだが、地球の全地震の約1割が発生する>そうだ。
 確かに私たちは毎日・毎週の様に大きな地震を経験している。
今すぐに原発の稼働を止めるべきだ。

7原子力の社会的信頼は無い エネルギー基本計画(案)の中に「国民の信頼回復」…などの記述があり、私たちの心配の声が少しは皆さんの届いているのかも知れない。
 であるならば、通産省の時代から続けていた次の嘘を撤回していただきたい。
×原発は安全2011年3月11日に大嘘発覚
×原発は安い本エネルギー基本計画(案)でやっと太陽光より高価であることを経産省も認めたが、まだまだ誤った原発優遇施策と間違った計算方法で、原子力の発電価格を過少評価している
×原発が無いと電力が足りない 2年間原発無しで私たちは何不自由なく過ごした。そればかりか、今は九州電力はじめ大手電力会社が再生エネルギーを抑制している。
×原発はクリーン  原発は放射性物質をまき散らし核のゴミ(死の灰)を残す
×原発は準国産ウランは輸入
 まずは、経産省・資源エネルギー庁がこれらの大嘘について、説明し謝罪しない限り、私たちが抱く不信感は消えない。

世界でも日本でも再生可能エネルギーが進展してきている中で、これらの嘘を全て撤回して、私たちが信頼できる経産省・資源エネルギー庁に変身していただきたい。手始めに、この第6次「エネルギー基本計画」で原発ゼロを書き込んでいただきたい。
以上