経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その146 2020年7月30日
古賀茂明さんが語るIT戦略も先端産業も引き離される日本
〜駄目なのは原子力政策や新型コロナ対策ばかりではない、亡国の経産省〜
 経産省と経産官僚が日本の原子力推進政策や安倍官邸新型コロナ対策で失態を演じ続けている。一方、経産省は本職でも失敗続きである。古賀茂明さんのお話を紹介する。

1 全くITが使えないアナログ政府
 中央省庁の行政手続きは全部で5万5765件、このうちオンラインで完結できるのは4164件で全体の7.5%。デジタル政策の旗手?であるはずの経済産業省と総務省でさえ、それぞれ、7.8%、8.0%で、1割にも満たないという惨状(厚生労働省11.3%)。
政府は、2000年にはIT基本戦略を策定し、翌01年には「e-Japan戦略」を策定して、「5年以内に世界最先端のIT国家を目指す」「2003年までに全ての手続きをネット化」と偉そうな目標を立てましたが、20年近く経った今日まで何も進まず。しかし、多くの国民は日本がこの分野で滅茶苦茶遅れているとはあまり気付いなかった。
 今回のコロナ禍で、図らずも、ITが最も必要とされる場面で、「全くITが使えないアナログ政府」の醜態を目にすることになった。経済協力開発機構(OECD)によると、政府のサイトで手続きなどの申請をした経験がある人は、日本では2016年で5.4%。6割超のエストニアやノルウェーはもちろん、トルコの4分の1、イタリアの半分という状況。おそらく、途上国でも日本を超えている国はたくさんあると思います。
 IT化の遅れは、行政手続きだけではありません。オンライン授業でも、リモート診療でも、日本は先進国とは思えない遅れを露呈しました。
2 日本の先端産業が中国に突き放される現状
 アベノミクスの成長戦略の結果、新しい産業の芽は、ことごとくしぼんで行くような気がしてなりません。
(1)JOLED,中国TCL科技集団と資本提携
2015年に経済産業省が主導してパナソニック・ソニーの有機EL事業を統合した会社JOLEDに、中国TCL科技集団が200億円出資して資本関係を持つとともに、LED大型パネル「試作」設備用に100億円を融資する。経産省が思い描いていた「液晶で敗れたので、有機ELで逆転しよう!」という「日の丸信仰」に基づくリベンジ・プロジェクトがまたも失敗に終わったということになりそう。有機ELの世界シェアでは、サムスン電子などほぼ9割近くを韓国勢が占めていてそれを中国勢が追う展開。はっきり言って日本は蚊帳の外。
(2)パナソニック、5G部材を中国で増産
工場を増設
パナソニックは次世代通信規格「5G」向けの電子部品材料の増産のために60億円を投資して、生産能力を1.5倍に引きあげるそう。経産省は、4Gスマホで、世界に完全に遅れてしまったので、5Gが始まったら巻き返すと宣言していたのですが、その5Gでも韓国・アメリカ・中国に遅れてしまいました。これも日の丸リベンジの失敗だと言えそう。
経産省も総務省も、6Gで巻き返すと息巻いていますが、またかという印象。
(3)日産、HV電池を中国社と開発検討
世界展開を加速
日産自動車はハイブリッド車(HV)に搭載する次世代型電池について、中国の電池メーカー、欣旺達電動汽車電池(広東省深セン市)と共同開発に向けた検討を始めると発表。日本のお家芸だった電池も今やパナソニックだけという感じになっていますが、ここでも、もはや日の丸主義は通用しないと日産は見切りをつけた。

 古賀さんは<アベノミクスの成長戦略の結果、新しい産業の芽はことごとくしぼんで行くような気がしてならない。>、<スイスの有力ビジネススクールIMDによる2020年版世界競争力ランキング(6月6日発表)で日本は34位となり、30位から後退して過去最低を更新した。>と述べた。
 
 経産省が駄目にしているのは、原発(エネルギー)政策や安倍官邸政策だけでは無かった。経産省は、企業で言えば企画部・宣伝部のようなところで、口八丁手八丁で生きている組織。政策に精通しているわけでも、専門知識があるわけでもない経産省官僚たちが、パーフォーマンスのみのいい加減な政策を続けているのだ。