経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その135 2020年3月15日
3.11後9年、今も経産省と東電が事故責任回避の悪だくみが続く
〜「東電と共に脱原発をめざす会」で明らかになる東京電力の言行不一致、他人ごと〜
 いよいよ3.11東電福島原子力発電所事故後10年目を迎える。フクシマは全く終わっていないにも拘らず、原発9基の稼働が認められ、国(私たちの税金)から高額出資された東京電力は、廃炉・汚染水対策がぼろぼろなのに被害者への賠償を拒み原発推進を強行している。
 「東電と共に脱原発をめざす会」の東電への申入れ(2月27日、事前質問と文書回答に基づく話合い)が、今の東電と経産省の事故責任回避・言行不一致・何でも他人ごとの実態が見えたので紹介する。
1 イチエフ事故責任について言行不一致
 多くの人々からふるさとも生活も生業もあるいは命を奪った罪が重い。東電はいつも次の様に回答する。
<「福島復興」を原点に、原子力の損害賠償、廃止措置、除染に誠心誠意、全力を尽くすとともに、原子力発電所の安全性強化対策に、不退転の決意で取り組んでまいります。>
(1)現行不一致
 ところが、言っていることとやっていることが全く違う。今回も真摯な反省と責任全うと原子力推進の断念を求めたが、東電は <ご意見として承ります> だけ。
(2)日本原電への東海第二の為の資金支援について説明責任放棄
 誰にも納得できない資金支援について、東電は2か月前に <競争をしながら稼いで、福島への責任を果たしていく必要> と答え、今回はこの「競争」について詳細を問うと <東海第二発電所は、卸電力市場などから調達する場合との差益効果などを勘案し、経済性がある電源と判断> と回答。本当に経済性があるならより具体的に説明すればいいのに説明しない。
 また、柏崎刈羽の再稼働に向けた費用の質問には回答を拒否し、一方で経産省のS+3Eを持ち出して原子力推進を正当化する。

(3)ADR・福島地裁の仲裁和解案拒否の理由説明を拒否
 「最大の使命は福島への責任を果たすこと」(小早川社長年頭談)に反する行動を責めると <福島への責任を果たすために、福島第一、福島第二両原子力発電所の廃炉を安全かつ着実に進めてまいります。また「3つの誓い」に掲げておりますとおり、被災された方々に寄り添いながら賠償を貫徹してまいります。また、地域の皆さまのご要望をしっかりお伺いし、地域の復興に向けグループ一丸で取り組んでまいります。> と気色の悪い美辞麗句を並べるのみで、和解案拒否の理由説明をも拒否する。
 3月10日に札幌地裁が78世帯257人の避難者への賠償を認めたとおり、既に計11件の判決で東電の責任を認め、うち7件で国の責任を認めたのも当然だ。
2 イチエフ事故原因追及から逃げる東電
 国会事故調、田中三彦さん、木村俊雄さんほか多くの専門家の指摘にもかかわらず、東電は未だに科学・技術的にまともに議論をしようとしない。何を隠しているのだ!
3 廃炉・汚染水対策はぼろぼろ
(1)労働環境は最悪?
 イチエフ労働者の安全性と組織問題についての質問には東電も大分気にしていて、今回は次の回答をした。 <福島第一原子力発電所の一連のトラブルは、当社社員が現場へ出向していないのでなく、現場/現物を徹底的に把握できておらず、現場で確認すべきポイントをおさえられていないのが大きな原因と考えております。今後、業務プロセスの冒頭から、全てのプロセスで現場/現物を徹底的に把握する仕組みを取り入れ、トラブル防止と安全性の向上に取り組んでまいります。>
 原子力規制委員会も心配するようにイチエフの作業状況が非常に厳しいことが分かる。労働者の内部被曝が頻繁に起こっている。だからこそ、他の原発推進など放棄してイチエフ対策に専念するべきだ。
(2)30年〜40年のロードマップ(5回目改定)の大嘘
 昨年末に改定したロードマップも未だに「30年〜40年」と、事故に遭っていない福島第二原発の廃炉が44年かかるのに、デブリが見えただけのイチエフ廃炉工程が短すぎる。
(3)多核種汚染水対策は先が見えない、二次処理・希釈の手順は不明
 タンク保管について尋ねても、 <敷地北側のうち海側の低地は、津波襲来時にタンクが漂流物になるリスク及びタンクからの漏えいリスクがあることから、タンクの建設は不適当と考えております。また、山側については、将来的にも廃炉作業に伴い追加的に発生する廃棄物を処理・保管するエリアとして活用したいと考えております。また、処理水の敷地外への持ち出しは、リスクの存在地点が広がることから望ましくなく、福島第一の廃炉作業は、現在の福島第一の敷地内でやり遂げる所存です。>  と小委員会の提案を踏襲するつもり。
 他の多核種の告知濃度超えと二次処理について尋ねても <多核種除去設備はトリチウム以外の62種類の放射性物質を告示濃度未満まで浄化する能力を有しており、環境中に放出する場合には、必要に応じて希釈を行う前に二次処理を行い、トリチウム以外の放射性物質を告示濃度比総和1未満まで浄化いたします。> と答えたが、具体的な処理手順は未定と回答。
 また、他の人の質問で、タンクにはスラッジが存在し放射性物質濃度も性状も未確認、タンクが労働者の被曝防護問題に影響していることも判明。
(4)除去土壌は他人ごと
 他の方のイチエフ除去土壌の再生利用についての質問に対しても<人的・技術的な協力を実施してまいります>と当事者意識無くまるで他人事。
4 原子力マネー還流問題は他人ごと?
 関電マネー問題の質問には <日頃からグループ全体でコンプライアンスの徹底に心掛けている>と、札束と嘘と暴力で原発を押し付けて事故を起こした東電がまるで他人ごとの様。「3つの誓い」を破り原発推進する東電にコンプライアンスなんて無い!
5 核のゴミも他人ごと?
 柏崎刈羽の使用済み燃料は合計13,734体だそう。これをどうするつもりかの質問の回答が面白い。
(1)経産省の「核のゴミ」と産業用廃棄物とへの二重基準
 管理監督される立場の東電は回答せず。
(2)次世代への責任、ゴミ発生者としての基本的責任は自覚?
 回答の一部は私たちの主張と一致する。
<…原子力発電の利用に伴い恩恵を受けてきた現世代が、次の世代に負担を先送りしないよう、高レベル放射性廃棄物の最終処分という課題に取り組んでいくことが必要…
 電気事業者としては、高レベル放射性廃棄物の発生者としての基本的責任を有する立場から、これまでも事業活動の中で最終処分を含めた原子力の理解活動に取り組んできました…>
 だったら、最終処分の目途がつくまで、これ以上「核のゴミ」を増やしてはいけない。

 「次の世代に負担を先送りしないように」永遠に原発を稼働しないことを、東電のトップを含む全社員に求める。
以上