原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その30   2020年8月6日
宮崎・早野論文を英学術誌が撤回、宮崎氏の博士号取消し
〜甲状腺検査では福島県立医大が県民健康調査の検討委員会を飛ばして世界へ発信〜
 宮崎・早野論文の不正については何度も書いてきた(前回も)。やっと英学術誌が論文の不正を認め、2つの論文を撤回した。次は東京新聞7月30日の記事。
<同意なく被ばくデータ使用の論文2本を撤回 早野東大名誉教授ら執筆
東京大大学院の早野龍五名誉教授(物理学)らが、東京電力福島第一原発事故後に集められた福島県伊達市民の個人被ばく線量データを、同意がないまま分析した論文2本について、掲載した英学術誌「ジャーナル・オブ・レディオロジカル・プロテクション」が28日付で撤回したことが分かった。学術誌はホームページに「倫理的に不適切なデータが使われたことを確認した。著者も撤回に同意し、全ての調査に従った」と理由を公表した。>



 なお、次のことを確認しておく。
・<東大と福島県立医大の調査委は昨年7月、「倫理指針に対する重大な不適合はなかった」と結論付けた> =>日本の大学のレベル低下!
・それでも<福島県立医大は(7月)31日、宮崎氏の博士号の学位取消し>
・同意なく被ばくデータを使用したばかりでなく多くの統計的誤りが指摘されている
・原子力規制委員会の放射線審議会が宮崎・早野論文を参照したまま誤った「被ばく状況」確認決定をした(「原子力規制委員会は再稼働推進委員会!その195、http://www.jca.apc.org/~kimum/NRAno195.html)

 宮崎真氏の博士号学位を取り消しはしたが、福島県立医大は、こればかりでなく世界に誤った放射線被曝情報を発信している。例えば平沼百合さん(米国在住医師)の<甲状腺検査の集計外症例について:英語論文と鈴木眞一氏の手術データ>(岩波科学7月号、計17ページ)が興味深い。横谷進氏ほか福島県立医大の共著者が英語機関誌”Fukushima Journal of Medical Science"に出した「福島県民健康調査の甲状腺検査プログラムでは検出されなかったが福島県立医科大学付属病院で診断された甲状腺がん症例の調査」なる「横谷論文」を詳細に分析して、一貫性のないデータ、一貫性のない報告と多くの矛盾を指摘するとともに、次を訴えている。
・「県民健康調査」検討委員会を飛ばして世界へ発信
 検討委員会で報告されていない甲状腺検査データがどんどんと国内外の学会や英語論文として発表されている
・置き去りの臨床データ
 臨床データについて、県民健康調査で限定的にしか報告されず、評価部会でまったく情報が更新されていない。
・甲状腺検査結果の公式英訳の中断
 検討委員会で報告されている甲状腺検査の結果の公式英訳は、第33回検討委員会(2018年12月27日)で止まっている。

 福島県立医科大学が、誤った情報発信をして、世界への被曝影響隠しをしていることが良く分かる。
以上