原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その22   2019年9月29日
福島の小児甲状腺がん多発を否定し、県民健康調査結果を歪曲する復興庁担当
〜「放射線のホント」・「放射線副読本」による「放射線リスク隠し」を許すな!〜
 去る8月29日に「地球救出アクション97」ほかが参議院議員会館に復興庁を呼んで、「放射線副読本」撤回を求める署名を提出するとともに、事前質問に対する回答を求めた。その折に復興庁担当からとんでもない回答が出た。

A 福島で小児甲状腺がんは(全国と比べて)多発していない
B 県民健康調査で小児甲状腺がんは放射能による影響でないと確認した

 これはどちらも全くの出鱈目であり大嘘だ。
 Aは日本中で誰だって知っている間違いだ。既に小児甲状腺がんが270例以上であることが判明しており、全国の小児甲状腺がんの発生は百万人に1〜3人(国立がん研究センターによれば)だ。明らかに福島県(人口約185万)で小児甲状腺がんが多発している。すぐに私が間違いを指摘したら、復興庁職員は黙ってしまった。
 復興庁の担当が間違った「放射線のホント」や間違った「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を読んで、この様な嘘を述べていることが恐ろしい。
 Bは、本シリーズの前回「その21 ICRPがドラフト文書を公開、いよいよ福島の被曝影響隠しの総仕上げか〜牧野淳一郎さんが指摘する県民健康調査と東大・福島県立医大とICRPの大問題〜」で書いたとおり、原子力ロビーたちの目論む嘘だ。
 多くの「国民」が騙されそうだが、県民健康調査が放射線による影響が有意な差が出ないように統計をとっただけで、放射能の影響でないと証明された訳では全くなく、結論は今後の調査待ちだ。
 一方で、ICRPの勧告ドラフト文にも、小児甲状腺がんの原因が放射線の影響ではなさそうだとの間違った記述が挿入されており、ICRPパブコメで多くの人が指摘している(10月25日締切、意見を公表中:http://www.icrp.org/consultation.asp?id=D57C344D-A250-49AE-957A-AA7EFB6BA164)。更に他の方もぜひ意見を出してもらいたい。

 この復興庁との交渉で、文科省「放射線副読本」に復興予算が使われていることも確認された。
 それにしても、安倍政権の復興庁も文科省も他の省庁も、とんでもない真実隠しをし、それを国の内外に発信している。「放射線のホント」も「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」も「放射線副読本」も「放射線リスクに関する基礎的情報」(10省庁)も、安倍政権による「放射線リスク隠し」である。
 しっかり監視し、厳しく糾弾しなければならない。
以上