原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その26   2020年1月10日
福島小児甲状腺がん多発は放射線の影響ではないと誤った結論を国際学会誌に掲載
〜牧野淳一郎さんが「地域差はない」・「個人線量と関係ない」の嘘を糾弾〜
 小児甲状腺がんへの放射線影響隠しが国内(県民健康調査)のみならず海外の学会誌にまで及んでいる。牧野淳一郎さん(神戸大学)の連載「3.11以後の科学リテラシー」(「岩波科学1月号」)から紹介する。
<福島県の甲状腺検査評価部会に資料を提出していた福島県立医科大学のグループによる、検査2回目(本格検査1回目)についての論文がEpidemiology誌に出版されました。論文が結論としている、地域差はない、個人線量と関係はない、はいずれもデータから言えません。地域差も、個人線量との関係も、区分を変えればみえるからです。統計的検定について無知ならば問題ですし、そうではなくあえて差をみないなら一層深刻な問題です。>

県民健康調査の甲状腺検査評価部会の問題は本シリーズその20,21,23他でも紹介してきているが、この号でも次のように指摘している。
<…。先行検査の時に使って有意差がでなかった4地域区分では本格検査では有意差がでていたのですが、それを特に理由なく使わないことにして別の方法で被曝量の影響はみられないと結論する、という統計学の教科書で「やってはいけない」例に使えそうなことをやっていました。>
 そして、掲載された大平氏のグループの論文「External Radiation Dose, Obesity, and Risk of Childhood Thyroid Cancer After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident The Fukushima Health Management Survey」
(https://journals.lww.com/epidem/Abstract/2019/11000/
External_Radiation_Dose,_Obesity,_and_Risk_of.12.aspx)
を引用して、次のように指摘している。
<驚くべきことは、彼らはここでは個人の外部被曝量推計にもとづいた地域区分を使っていて、甲状腺検査評価部会に提出した資料で使っているUNSCEAR推計を使っていないことです。論文と甲状腺検査評価部会資料でやり方がまったく違うのなら、甲状腺検査評価部会資料には科学的根拠はあるのか、ということ自体が問われます。>
<正直なところ、この著者らの統計の使い方には疑問をもたざるを得ないし、このような論文を受理するEpidemiologyという雑誌にも疑問をもたないわけにはいきません。>

<論文には「地域差なし」と書いてあるが、数字を見ると推計被曝量と悪性率には有意な関係がある。個人推計そのものでも同様に有意な関係があるが、論文では傾向がでにくい形の解析をして関係ないと結論している。>
<これが、統計的検定に関する無知からくるのであれば専門家による論文としては問題だし、そうでなければより大きな問題であろう。>

 すなわち、(国際)原子力ロビーたちは、小児甲状腺がん多発への放射線影響隠しを統計学の仮面をかぶって行い、国際疫学学会誌Epidemiology誌にも掲載させているのだ。
 安倍官邸の「森友・加計・桜」の騙し(記録・記憶隠し)と違って科学(統計の初歩)を装って、世界中に嘘をまき散らしている。
騙されてはいけないし、世界に真実を知らせないといけない。
以上