原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その18   2019年6月29日
福島県、「最短潜伏期間」過ぎた胃がんで「有意な多発」―国や県は至急対策を
〜東京電力福島原発事故と「全国がん登録」(明石昇二郎、週刊金曜日6月7日号)〜
 ルポライター明石昇二郎さん渾身のレポート(週刊金曜日6/7)が福島の厳しい事実を知らせている。がんの「最短潜伏期間」が過ぎるとともに福島県のがんが増えて来ているのだ。

 「全国がん登録」(全国がん罹患モニタリング集計)から、全国と同じ割合で福島県でもがんが発生していると仮定して実際の罹患数を比較する検証を行なった。疫学の手法で「標準化罹患率比」(SIR、standarized incidence ratio)を計算して、全国平均を100として福島がどうなるかを比較して、次表が得られた。

表 福島のSIR(2008年〜2015年、全国を100として小数点以下を四捨五入)
 -2008年、09年,10年,11年,12年,13年,14年,15年-
(胃がん)
男性:88,94,101,92,111,111,119,117
女性:87,94,101,101,109,110,109,120
(甲状腺がん)
男性:62,75,69,71,90,103,129,118
女性:66,66,65,68,100,107,112,123
(悪性リンパ腫)
男性:60、83、79、85,70,111,82,86
女性:76,78,94,96,106,94,83,89
(白血病)
男性:61,70,99,83,85,108,98,75
女性:65,63,88,66,75,99,97,91
(前立腺がん)
男性:63,69,64,63,110,98,105,104
(卵巣がん)
女性:83,73,78,93,103,117,120,94
(胆のう・胆管がん)
男性:79,93,116,114,111,126,131,113
女性:97,117,103,112,113、113,122,122
 -2008年、09年,10年,11年,12年,13年,14年,15年-

 私が一目で感じたのは、多くのがんで2011年から数値が急増しかつ3桁になって全国平均より多くなってきていることだ。驚くべき表だ。
 <国立がん研究センターでは、SIRが110を超えると「がん発症率が高い県」と捉えている。(胃がんは)2011年を境に、男女とも全国平均を超え始め、2015年の女性は120を上回ってしまった。>
  なお、米国の疾病管理予防センター(CDC)によれば、「がんの種類別最短潜伏期間」は次のとおり。
小児がん(甲状腺ガンも):1年 、 大人の甲状腺がん:2.5年、
    肺がんを含むすべての固形がん:4年 、 中皮腫:11年
 この「最短潜伏期間」を経過した後に「有意な多発」が次で確認される。
★胃がん(15年の男女)、★甲状腺がん(14年男性、15年女性)
★胆のう・胆管がん(15年の女性)
 ご自身も胃がんを罹って胃の3/4を摘出された明石さんは、「最短潜伏期間」を超えたがんの罹患状況がこのように顕著に出ていることとともに、次にやってくるのは「平均潜伏期間」の山であると心配している。
 以前から福島の知人から伺っていた発がんや死亡の厳しい現実を、このレポートが確認させてくれた。こんな重要な統計を「国立がんセンター」が出さずに埋もれていることも問題だ。1959年の国際原子力機関(IAEA)と世界保健機関(WHO)の間の協定ゆえに、原子力ロビーが押さえているのであろう。小児甲状腺がんについての県民健康調査の「被曝との関連否定」報告も全く信じられない。何よりも、これらの現実を踏まえて、安倍政権による棄民政策キャンペーン「年100mSvで安全」、「年20mSvに帰還」を直ちに止めろと訴えたい。そして、福島の人たちも自分たちの身体を守るべく声を上げ行動していただきたいと思う。