原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その12   2019年4月5日
汚染土を再利用するな! 全国に拡散するな!
〜青木美希「原発事故の汚染土、再利用に反発の声相次ぐ」(岩波科学3月号)から〜
 毒は撒き散らしてはいけない。放射性汚染物も撒き散らしてはいけない。ところが、安倍政権は放射性汚染土を全国に撒き散らそうとしている。
 青木美希さんが岩波科学3月号で環境省が進めようとしている汚染土再利用へのあちこちの地域の住民の反発の声を紹介している。
<…。除染で取り除いた土は福島県内だけでも最大で2200万立方メートル。
政府は、福島県内の汚染土は、双葉町・大熊町の「中間貯蔵施設」に入れ、さらに県外のどこかに作る最終処分場に運ぶ、としている。…
 が、全量を処分するのは実現性が乏しいとして、汚染土を放射性セシウム濃度を低減したうえで土砂やアスファルトで覆う方法で、道路や農地の全国の公共事業などに再利用しようとしている。
 福島県内では再利用に向けた実証事業が行われているが、住民らの反発は根強い。

二本松市で市道に使う事業は「近くの仮置き場内に置かれた大型土嚢約500袋を破って、異物を除去し、路床に使い、そのうえで舗装道路にする実験」をしようとして住民の反対で再検討となり、南相馬市内で常磐道拡幅工事に使う計画には地元区長らから反対の声が上がっている。>
○福島県外でも岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の7県内で汚染土計約33万立方メートルが保管されている。
○那須町では汚染土を袋から取り出して埋め直すことが、天然鮎で有名な那珂川に繋がっているなど水について心配の声が上がっている。
○千葉県内の柏市など9市に計約3700トンの指定廃棄物があり「仮保管」が「何年になるか分からない」と住民が心配している。
<汚染廃棄物の行方は、見えないままだ。>

 「原子炉等規制法」で定められた100Bq/kg以下 は「廃棄物を安全に再利用できる基準」であり、「放射性物質汚染対処特別措置法」が定めた8,000Bq/kg以下 は「廃棄物を安全に処理するための基準」として、環境省がダブルスタンダード状態を続けている。
 この2重基準を使って、放射性物質を焼却したり再利用したり他に拡散したりすることは許されない。
 青木一政さんが「常磐高速道を南相馬からいわき方向へ南下すると何台もの大型ダンプトラックの車列とすれ違う。大型ダンプの正面には「環境省除去土壌等運搬車」「特定廃棄物運搬車」などの大きな緑色の看板を付けている。」とレポートしている。(ちくりん舎「恐ろしい除染土輸送の実態」、http://chikurin.org/wp/?p=5301)
 3月28日の「環境回復検討会(第20回)」でも環境省は「官民連携によるリサイクル事業」を強調している(http://josen.env.go.jp/material/session/020.html)。
 しかしながら、放射性汚染物は崩壊による減衰を除けば放射能を維持し続ける物質であり、除染は所詮は移染であり、焼却しても空や大地を汚し高濃度の汚染灰が残り、リサイクルはあまりに無謀だ。エントロピー増大の法則を考えれば、放射性汚染物質を拡散させてはいけない。全国に被曝を強要してはいけない。
 環境省あるいは東京電力が責任を持って汚染土を収集・保管・管理するべきだ。
以上