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平成18年10月27日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成17年(ネ)第165号,同第206号 解雇無効・地位確認等請求控訴,同附帯控訴事件
(原審・鹿児島地方裁判所平成14年(ワ)第1028号)
口頭弁論終結日 平成18年4月21日
判
決
鹿児島市城西三丁目8番9号
控訴人(附帯被控訴人) 学 校 法 人 津 曲 学 園
(以 下「控 訴 人」と い う。)
同代表者理事長 菱 山 泉
同訴訟代理人弁護士 金 井 塚 修
金 井 塚 康 弘
畠 田 健 治
鹿児島市錦江台三丁目4番13号
被控訴人(附帯控訴人) 田 尻 利
(以下「被控訴人田尻」という。)
鹿児島市下福元町5860番地1
被控訴人(附帯控訴人) 馬 頭 忠 治
(以下「被控訴人馬頭」という。)
鹿児島市錦江台三丁目19番13号
被控訴人(附帯控訴人) 八 尾 信 光
(以下「被控訴人八尾」という。)
上記3名訴訟代理人弁護土 増 田 博
林 健 一 郎
井 之 脇 寿 一
森 雅 美
小 堀 清 直
主
文
1 本件控訴及び各附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
(1) 控訴人と被控訴人らとの間において,被控訴人らがそれぞれ控訴人に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
(2) 控訴人は,平成14年5月1日から本判決確定の日まで,毎月20日限り,被控訴人田尻に対し1か月−−−−−−−円の割合による金員を,同馬頭に対し1か月−−−−−−−円の割合による金員を,同八尾に対し1か月−−−−−−−円の割合による金員をそれぞれ支払え。
(3) 控訴人は,平成14年6月から本判決確定の日まで,毎年3月,6月及び12月の各末日限り,被控訴人田尻に対し各−−−−−−−−円を,同馬頭に対し各−−−−−−−−円を,同八尾に対し各−−−−−−−−円をそれぞれ支払え。
(4) 被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は第1,2審とも控訴人の負担とする。
3 この判決は1項(2)及び(3)に限り仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴及び附帯控訴の趣旨
1 控訴
(1) 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。
(2) 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。
(3) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人らの負担とする。
2 附帯控訴
(1) 原判決を次のとおり変更する。
ア 控訴人と被控訴人らとの間において,被控訴人らがそれぞれ控訴人に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
イ 控訴人は,平成14年4月1日から本判決確定の日まで,毎月20日限り,被控訴人田尻に対し1か月−−−−−−−円の割合による金員を,同馬頭に対し1か月−−−−−−−円の割合による金員を,同八尾に対し1か月−−−−−−−円の割合による金員をそれぞれ支払え。
ウ 控訴人は,平成14年6月から本判決確定の日まで,毎年3月,6月及び12月の各末日限り,被控訴人田尻に対し各−−−−−−−−円を,同馬頭に対し各−−−−−−−−円を,同八尾に対し各−−−−−−−−円をそれぞれ支払え。
(2) 訴訟費用は第1,2審とも控訴人の負担とする。
(3) 仮執行宣言
第2 事案の概要
以下,略称については原判決のそれに従う。
1 請求,争点及び各審級における判断の概要
控訴人は,本件大学(鹿児島国際大学。なお,平成12年4月までの名称は鹿児島経済大学であった。)等を設置する学校法人,被控訴人らは,いずれも本件大学において教授の職にあったが,後記のとおり,控訴人から,同大学の教員採用人事(被控訴人3名につき)並びに大学院及び新学部の設置(被控訴人八尾につき)に関連して不正な行為をしたなどとして本件各懲戒解雇処分を受け,さらに,予備的に本件各普通解雇処分を受けた者である。
本件(平成14年11月19日訴え提起)は,被控訴人らが,被控訴人らには懲戒解雇事由も普通解雇事由も認められず,仮に当該事由が認められるとしても,本件各懲戒解雇及び本件各普通解雇は解雇権の濫用に当たるなどと主張し,@控訴人との間で,控訴人に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることの各確認を求めるとともに,A控訴人に対し,附帯控訴の趣旨(1)イ及びウ記載のとおり,本件各懲戒解雇によって退職日とされた日の翌日(平成14年4月1日)から本判決確定の日までの賃金(勤勉手当を含む。以下同じ。)の各支払を求めた事案である。
本件において,控訴人が主張する被控訴人らに対する各懲戒解雇事由は,(1)被控訴人田尻については,本件大学の教員採用人事に関し,選考委員会の委員長であった被控訴人田尻が,@公募条件は2科目担当であったのに,候補者のうち一名を1科目担当で採用すべく同委員会の審議を進め,同人を推薦するとの報告を教授会で行なったこと,A上記委員会の審議過程において,採用に際し実施された委員会での投票結果の報告を遅延し,また,委員会の委員交代について教授会の事前又は事後の承認手続を採るなかったこと,B上記委員会の運営において,採用に反対している主査である委員の交代や辞任,評価書への連署をいずれも主導して強要するほか,同委員を威嚇するなどしたというものであって,これらは,いずれも委員長としての権限を逸脱又は濫用した専断的行為であり,就業規則38条2号に該当するというものであり,(2)被控訴人馬頭については, 上記教員採用人事に関し,選考委員会の副査であった被控訴人馬頭が,@上記候補者の業績に関する評価書に虚偽の記載をしたこと,A被控訴人田尻の上記不当な選考委員会の審議や推薦に関する教授会ヘの報告,投票結果の報告の懈怠及び同委員会の運営につき,いずれも被控訴人田尻を幇助し,自らも主査を威嚇するなどしたというものであって,これらは,いずれも選考委員会の副査としての地位・権限を逸脱又は濫用した専断的行為であるとともに,評価書への虚偽記入は自己の利益を計る行為であり,就業規則38条1号,同2号に該当するというものであり,(3)被控訴人八尾については,上記教員採用人事に関し,@経済学部の学部長であった被控訴人八尾が,教授会の議長として,本件大学の諸規程や慣行に違背し,上記候補者を教員として採用するとの被控訴人田尻の提案を取り上げて,教授会の議題として審議に付し,同教授会の運営においても不適切に議事運営を行なったこと,A大学院及び新学部の設置に関する準備委員会の委員であった被控訴人八尾が,同委員会において,再三にわたり大学の経営問題に介入する発言を行って,議長の指示に従わずに議事進行を妨げるとともに学長や控訴人理事長に対し,経営計画を批判する書簡を多数送りつけたこと,B理事会において決定済みであった新学部設置を否決した教授会の審議を主導したうえ,文部省に対する新学部申請を直ちに取り下げるよう理事長に進言するなどして学園の秩序を乱し,理事長,学長らの心理的負担を増大させたこと,C外部で開催されたシンポジウムにおいて控訴人の学園事業計画を根拠もなく批判したこと,D学長に対し,批判したりあるいはその名誉を傷つける文書を送り続けたというものであって,これらは教授会の議長,大学院及び新学部の設置に関する準備委員会の委員及び学部長としての地位・権限を逸脱又は濫用した専断的行為であるとともに,学園の不利益となるおそれのある事項を他に告げ,更に規律を維持して職員としての品位を保つこと及び上司の職務上の指示に従うことをしなかったものであって,就業規則38条2号,同3号,同36条1号,同2号に該当するというものであった。また,控訴人の主張する被控訴人らに対する普通解雇事由は,それぞれ懲戒解雇事由として主張した各事実が就業規則19条1項4号又は同9号に該当するとともに,被控訴人らは記者会見やインターネット等を通じて控訴人や理事会・理事長,学長を誹謗中傷し続けており,これらは就業規則36条1号,同第4章に定められた服務規律,同5条に抵触する非違行為であって,同19条1項4号又は同9号に該当するというものであり,さらに,被控訴人馬頭については研究業績が大学教授として著しく少なく,就業規則19条1項2号に該当するというものであった。
これに対し,被控訴人らは,被控訴人らの各行為は懲戒解雇事由及び普通解雇事由のいずれにも当たらず,仮にこれに該当するとしても本件懲戒解雇及び普通解雇はいずれも解雇権の濫用に当たること,本件懲戒解雇は教授会の決議及び労働基準監督署長の認定を得る必要があるところ,これらの手続が採られていないというものであって,控訴人及び被控訴人らを交えて確認された争点は,(1)被控訴人田尻に対する本件懲戒解雇の有効性(懲戒解雇事由の存否及び解雇権濫用の有無),(2)被控訴人馬頭に対する本件懲戒解雇の有効性(同),(3)被控訴人八尾に対する本件懲戒解雇の有効性(同),(4)懲戒解雇における教授会決議の要否及びその他の手続的適正性,(5)労働基準監督署長の認定を経ない懲戒退職処分の有効性,(6)本件各普通解雇の有効性(普通解雇事由の存否及び解雇権濫用の有無),(7)被控訴人らの賃金額の,以上7つである。
原判決(平成17年8月30日言渡し)は,争点(1)ないし(3)について,被控訴人らには,いずれも懲戒解雇事由は認められないから,本件各懲戒解雇はいずれも無効である旨の,争点(6)について,被控訴人らには,いずれも普通解雇事由が認められず,かつ,本件各普通解雇は解雇権の濫用に当たるから,本件各普通解雇はいずれも無効である旨の,争点(7)について,被控訴人らの月収額及び勤勉手当(年3回)の額を被控訴人田尻につきそれぞれ−−−−−−−円及び各−−−−−−−−円(請求額の範囲内で)と,同馬頭につきそれぞれ−−−−−−−円及び各−−−−−−−−円(同)と,同八尾につきそれぞれ−−−−−−−円及び各−−−−−−−−円(同)と認める旨の各判断をした上,@被控訴人らの各地位確認請求をいずれも理由があるものとして認容し,他方,A被控訴人らの各賃金請求については,附帯控訴の趣旨(1)イ及びウの限度で理由があるところ,原審における被控訴人らの同各請求が,いずれも勤勉手当を含めた総年収の12分の1を月収額として,これを毎月支払うよう求めるものであり,上記のとおり原判決が理由があると判断した内容では,同各請求に係る賃金の支払期が一部繰り下がることとなるため,結局,同各請求を上記の限度でいずれも認容し,その余をいずれも棄却した(その反面,原判決には,処分権主義に違背して,同各誌求に係る賃金の支払期を一部早める部分も生ずることとなった。)。
そこで,控訴人は,原判決中,被控訴人らの各請求を一部認容した部分を不服として本件控訴に及び,他方,被控訴人らは,本件各附帯控訴を提起した上,その各賃金請求を原判決が認容したのと同内容のものとなるよう同各請求を一部拡張した(これにより,上記処分権主義違背の点は治癒された。)。
本判決は,争点(1)ないし(3)及び(7)について,いずれも原判決と同旨の,争点(6)について,被控訴人らにはいずれも普通解雇事由が認められないから,本件各普通解雇はいずれも無効であるとの各判断をした上,@被控訴人らの各地位確認請求はいずれも理由があるものの,A被控訴人らの各賃金請求については被控訴人らがいずれも平成14年4月分の月給の支給を受けていることについて当事者間に争いがないので,賃全のうち月給部分の支払の始期を平成14年5月1日とするのが相当であり,したがって,同各請求は,主文1項(2)及び(3)の限度で理由があり,その余は理由がないものとして,本件控訴及び各附帯控訴に基づき,原判決を主文の限度で変更するものである。
2 争いのない事実等及び争点
この点は,次のとおり付加・訂正するほかは,原判決の「第2 事案の概要」欄の「1 争いのない事実等」及び「2 争点」に摘示のとおりであるから,これを,ここに引用する。
(1) 原判決6頁6行目から14行目までを次のとおり改める。
「(ア) 38条
1項 本学の各学部に学部長を置き,専任の教授をもってあてる。
2項 本学の各学部に教授会を置く。
3項 教授会は,専任の教授をもって組織し,学部長が招集し,議長と
なる。(以下省略)
4項 教授会は,次の事項を協議する。
1号 学則及び諸規定の制定,改廃に関する事項
(以下省略)
(イ) 39条
本学に大学評議会(以下「評議会」という。)を置く。評議会は,学長,各学部長,附属図書館長,附属地域総合研究所長及び各学部教授会において選出された各2名の教授をもって組織する。
(ウ) 40条2項
評議会は,次の事項を協議する。
1号 教育研究の基本方針に関する事項
2号 大学の機構,組織並びに制度に関する事項
(以下省略)」
(2) 原判決7頁7行目の「申請書類」を「大学院開設のための申請書類」と改める。
(3) 原判決8頁9行目から10行目にかけての「菱山学長」から13行目末尾までを「菱山学長や控訴人理事長(当時)らに対し,本件大学の改革事業に伴う控訴人の財政問題に関する被控訴人八尾の推測,同事業に係る同被控訴人や教授会の要望及び意見,同問題についての菱山学長の方針に対する批判等を記載した多数に上る書簡を提出し,又は送付した(乙89(1)ないし(41),90(1)ないし(6),91ないし97,99,101,106(1)及び(2),107ないし109,控訴人代表者)」と改める。
(4) 原判決9頁4行目から5行目にかけての「乙103」を「乙103ないし105」と改め,22行目の「次章」の次に「(4条から9条まで)」を加える。
(5) 原判決1O頁12行目から13行目にかけての「中略」を「以下「選考委員会」という。」と改める。
(6) 原判決11頁16行目の「中略」を「以下「候補者」という。」と改める。
(7) 原判決12頁11行目の「2条(第6条関係)2項」を「2項(第6条関係)2号」と改める。
(8) 原判決13頁17行目の「その後」から「各学科会議等」までを「その後,各学科会議等」と,24行目の「2条2項」を「2項2号」とそれぞれ改める。
(9) 原判決15頁4行目から5行目にかけての「差し止めたことを批判し」を「差し止めたことなどを大声で批判し」と改める。
(10) 原判決16頁12行目の「研究者」を「担当教授」と,16行目の「推薦する」を「採用可である」とそれぞれ改める。
(11) 原判決17頁9行目の「これを設置することを決議」を「その設置を理事長に一任する旨承認」と,14行目の「構成員」を「委員」とそれぞれ改める。
(12) 原判決18頁11行目の「被告」から12行目の「において」までを「控訴人理事会は,大学問題調査委員会報告書の内容や大学院開設等に係る被控訴人八尾の行為等を踏まえ,平成13年10月1日,」と改める。
(13) 原判決19頁10行目の「1項」を削り,13行目の「立ち入り」を「無許可立入り」と,24行目の「採用候補者」を「同候補」とそれぞれ改める。
(14) 原判決20頁9行目の「経営学科」を「それらを担当する経営学科」と,15行目の「不当性」を「運営の不当性」と,16行目の「方向で」を「形での」と,23行目の「増設」を「増設の計画」と,25行目の「的はずれな」を「このような的はずれな」とそれぞれ改める。
(15) 原判決21頁2行目の「被告に対し,雇用契約上権利」を「控訴人を債務者として,雇用契約上の権利」と,5行目の「これが」から同行目末尾までを「賃金の仮払期間を限定するほかは,被控訴人らの各申立てを認容する旨の仮処分決定がされた(甲65)。」と,25行目から26行目にかけての「本件就業規則48条2項」を「甲5,乙130。本件就業規則48条」とそれぞれ改める。
(16) 原判決22頁3行目の「38条2号」を「54条4号(38条2号)」と,5行目の「38条1号及び2号」を「54条4号(38条1号及び2号)」と,7行目の「36条1号,2号,38条2号及び3号後段」を「54条4号(36条1号及び2号並びに38条2号及び3号後段)」とそれぞれ改め,9行目末尾の次に「及びその他の手続的適正性」を加える。
第3 争点に対する当事者の主張
この点は,次のとおり付加・訂正するほかは,原判決の「第3争点に対する当事者の主張」に摘示のとおりであるから,これを,ここに引用する。
1 原判決22頁15行目から16行目にかけての「38条2号」を「54条4号(38条2号)」と改める。
2 原判決23頁16行目の「違背しており」を「違背する上,学長及び教授会の承諾なしに行ったものであり」と改める。
3 原判決24頁14行目の「一時不再議」を「一事不再議」と改める。
4 原判決26頁8行目の「人事管理論」を「同候補は人事管理論」と改める。
5 原判決27頁15行目の「論難」を「強く批判」と,17行目から18行目にかけての「38条1号及び2号」を「54条4号(38条1号及び2号)」とそれぞれ改める。
6 原判決28頁7行目の「労資関係論」を「労使関係論(正確には労資関係論)」と改める。
7 原判決30頁2行目の「労資関係論」を「労使関係論」と改め,17行目の「大声で」を削り,18行目の「ごまかしがある」を「捏造である」と,22行目から23行目にかけての「36条1号,2号,38条2号及び3号後段」を「54条4号(36条1号及び2号並びに38条2号及び3号後段)」とそれぞれ改める。
8 原判決32頁2行目の「原告ら」を「被控訴人田尻ら」と改める。
9 原判決36頁3行目の「要否」の次に「及びその他の手続的適正性」を加え14行目の「決議事項」を「専決事項」と改める。
10 原判決38頁8行目及び9行目の各「1項」をいずれも削る。
第4 当裁判所の判断
この点は,次のとおり付加・訂正するほかは,原判決の「第4 判断」に説示のとおりであるから,これを,ここに引用する。
1 原判決40頁26行目の「他の委員らは」の次に「,「反対するなら,なぜ第2回,第3回の本件選考委員会の際や投票前に言ってくれなかったのか。」などと」を加える。
2 原判決43頁6行目から7行目にかけての「及び投票」を削る。
3 原判決44頁20行目の「本件就業規則2条2項,3項」を「甲5。本件就業規則2条2項及び3項」と改める。
4 原判決45頁7行目の「第2回」を削り,14行目の「経済学科」から15行目の「認められるから」までを「なお,経済学科ではいずれも関連科目に位置づけられているものである。)と認められ」と,20行目から21行目にかけての「固定されたものでないことは」を「固定されたものでないことも」とそれぞれ改める。
5 原判決46頁9行目の「依拠されている」を「依拠している」と,12行目の「一般論としては」を「少なくとも一般論としては」と,16行目の「本件大学」を「本件大学経済学部」と,17行目の「本件大学」を「同学部」とそれぞれ改める。
6 原判決47頁1行目の「合致する」を「厳密に合致する」と,23行目の「仲村候補を採用する」を「仲村候補が採用可である」とそれぞれ改める。
7 原判決48頁9行目の「このように解したとしても」を「この点,控訴人は,2科目で公募したことに対する社会的責任が果たせなくなる旨主張するが」と改める。
8 原判決49頁23行目の「また」の次に「,主任会議の協議結果にも反し」を加える。
9 原判決50頁1行目の「仮に」から6行目の「形式的瑕疵のみをもって」までを「また,黒瀬教授が上原助教授に比して本件選考委員会の一般委員としての適格性を欠いていたものと認めるに足りる証拠はないから,当該委員の交代に関し,本件申し合わせ事項3及び主任会議の協議結果に反するところがあったとしても,それは,軽微な形式的瑕疵にとどまるというべきであり,そのことをもって」と改める。
10 原判決51頁2行目の「議論の域・社会的に」を「議論の域及び社会的に」と,10行目の「上記行為」を「被控訴人田尻の上記行為」と,22行目の「一般論としては」を「少なくとも一般論としては」と,25行目の「経営学科経営コース」を「経営学科経営学コース」とそれぞれ改める。
11 原判決52頁8行目の「報告」を「本件教授会2への報告」と,9行目から10行目にかけての「議事運営及び報告を幇助した旨」を「議事運営等を幇助し,副査であるにもかかわらず本件教授会2において仲村候補の研究業績評価の報告を行ったなどと」と,同行目の「異なる」を「異なる科目での」と,11行目の「交代の強要等」を「本件選考委員会における不当な議事運営」と,12行目の「認められないため」を「認められないし,主査である原口教授が合議体としての本件選考委員会の意思に従わないという状況の下,副査にすぎなかった被控訴人馬頭において,仲村候補の研究業績評価の報告を本件教授会2において行うなどしたことが本件就業規則38条1号又は2号の規定に該当するとは到底いえないから」と,15行目の「第8回選考委員会」を「第8回本件選考委員会」と,16行目の「批判しまたは」を「大声で批判し,又は同人に対し」と,20行目の「教授会」を「本件教授会2」とそれぞれ改める。
12 原判決53頁18行目の「他の委員ら」を「菱山学長や他の委員ら」と改める。
13 原判決54頁11行目の「仲村候補」から12行目の「推薦する」までを「仲村候補は,労使関係論の担当教授として採用可である。」と,16行目の「その可否」を「同教授が主査の立場で作成した研究業績評価資料を配付して報告することの可否」と,18行目の「選考委員会」を「本件選考委員会」とそれぞれ改める。
14 原判決55頁7行目の「なされたところ」を「され,被控訴人八尾が本件選考委員会の提案を承認するか否かについて投票に移る旨宣言したところ」と,9行目の「出席者」を「残った出席者」とそれぞれ改める。
15 原判決56頁7行目の「続けさせており」の次に「,本件選考委員会の委員交代の事後承認手続がないとの指摘も探り上げず」を加え,12行目の「選考委員会」を「本件選考委員会」と改め,25行目の次に行を改めて「(ウ) さらに,前記1(6)のとおり,本件選考委員会の委員交代について教授会の承認を得ていないことは,軽微な形式的瑕疵にとどまるというべきであるから,被控訴人八尾において,この問題を採り上げなかったことは,幾分適切さを欠く面があったとしても,このことが懲戒事由となるほどの重大なことであったとは認め難い。」を加え,26行目の「(ウ)を「(エ)」と改める。
16 原判決57頁8行目の「原告八尾が」の次に「各開設準備委員会において」を加え,17行目の「菱山学長」を「菱山学長や控訴人理事長(当時)」と,18行目から19行目にかけての「要望及び意見並びに」を「同事業に係る同被控訴人や教授会の要望及び意見,」と,同行目から20行目にかけての「書簡」から21行目末尾までを「多数に上る書簡を提出し,又は送付しているものである。」と,22行目から58頁6行目までを次のとおりそれぞれ改める。
「 しかし,当時,本件大学において進行しつつあった大学改革,大学院・新学部開設をめぐり,その経営見通しや将来像の策定について教職員の間に様々な意見があるのは当然であり,被控訴人八尾において,学部長としてあるいは個人として大学の将来についてでき得る限りの機会を捉えて意見や要望を述べようとしたとしても,そのこと自体は何ら問題とされるべきものではなく(なお,証拠(甲32,33(1),乙142,143)によれば,両準備委員会の顧問であった福井県立大学大学院の伊東光晴教授も,第6回大学院開設準備委員会において,同委員会において議論すべき事柄と控訴人の財政問題とが間接的には関係している旨の発言をしているほか,被控訴人八尾が委員でなかった時期に開催されたものではあるが,第1回大学院開設準備委員会及び第1回新学部開設準備委員会においては,控訴人事務局長から,大学院開設及び新学部に係る財政面での審査上の留意点についての説明がされ,また,後者の委員会においては,菱山学長も,「新学部設置準備委員会では,平易に言いますと人と物と金と言いますか,人をどうするか設備をどうするか,あるいは財政的なものを考えなければならない。したがって,そういう意味で法人事務局長も委員になっていらっしゃいます。」と発言していたものと認められるところである。),むしろ真摯に同大学の将来像を考え,意見を述べることが自らに課せられた義務であると考え,それを履践したものともいえるのであって,これをもってことさら各開設準備委員会の議事や控訴人による改革事業の妨害を狙ったものということはできないし(現に,被控訴人八尾の行為により,同議事や同事業が妨害されたものと認めるに足りる証拠はない。
),他にそのような目的があったものと認めるに足りる証拠も存せず,さらには,控訴人がその証拠説明書(原審記録549丁ないし603丁)において強調する被控訴人八尾の問題発言なるものをみても,控訴人の経営問題に不必要又は不当に介入するようなものとは認められず,むしろ,第10回新学部開設準備委員会を除き,菱山学長こそが,財政問題は控訴人理事会の専権事項であるとの建前に固執し,被控訴人八尾の自由な発言を無理に封じ込めようとしているものと認められ,加えて,平成12年に本件採用人事問題が生じ,これを契機として平成13年10月に懲罰委員会が設置されるまで,控訴人が主張する被控訴人八尾の経営介入行為なるものに対し,控訴人において,同被控訴人に対し懲戒等の処分を科すための手続に着手したものと認めるに足りる証拠がないことにも照らせば,控訴人が主張する被控訴人八尾の経営介入行為なるものは,同被控訴人に対する本件懲戒解雇の口実にすぎないといわざるを得ず,したがって,同被控訴人の上記行為が控訴人主張の懲戒事由に該当するとは認められないというべきである。」
17 原判決58頁20行目の「書簡」から「送付」までを「多数に上る書簡を菱山学長や控訴人理事長(当時)らに提出し,又は送付」と,24行目の「菱山学長」を「控訴人や菱山学長」と,26行目から59頁1行目にかけての「瀬地山敏教授」を「大学院開設準備委員会及び大学問題調査委員会の委員であった瀬地山敏教授」とそれぞれ改める。
18 原判決59頁14行目の「研究業績」から16行目末尾までを「被控訴人馬頭については,同被控訴人の研究業績が少ないものと認めるに足りる証拠はない。」と,21行目の「被告」を「控訴人や菱山学長ら」とそれぞれ改める。
19 原判決60頁2行目の「判決)」を「判決・労働判例657号12頁)」と,同行目の「当該判決」から5行目の「本件」までを「当該判決は,第一次の解雇処分を受けた高校教諭が同解雇とは関係のない学校法人側の不祥事を虚偽の事実も織り交ぜるなどしてことさら摘示するなどしたため,第二次の解雇処分を受けるに至ったという事実であるのに対し,本件の被控訴人らがホームぺージに掲載した内容は,全体としてみれば,本件各懲戒解雇及び本件各普通解雇の不当性を訴える意見の表明並びにこれに必要な範囲での事実の摘示にとどまるものであり,当該判決が本件」と,8行目の「解雇権の濫用に当たり」を「,いずれも解雇事由を欠くものであるから」と,17行目の「また」から22行目の「支給率を」までを「また,控訴人の勤勉手当支給規程(乙131)は,勤勉手当は毎年夏期(6月),年末(12月)及び年度末(3月)の3回に分けて支給することとし,支給率は」とそれぞれ改める。
20 原判決61頁1行目から2行目にかけての「弁論の全趣旨をもっても」を「本件全証拠によっても」と改め,6行目の「認められる」の次に「(ただし,被控訴人らの請求額(勤勉手当部分)は,附帯控訴の趣旨(1)ウ記載のとおり,被控訴人田尻につき各−−−−−−−−円,同馬頭につき各−−−−−−−−円,同八尾につき各−−−−−−−−円である。)」を加え,7行目から22行目までを次のとおり改める。
「 (3) なお,被控訴人らがいずれも平成14年4月分の月給の支給を受けていることについては当事者間に争いがないので,賃金のうち月給部分の支払の始期は,平成14年5月1日とするのが相当である。
6 被控訴人らの各請求についての結論
以上のとおりであるから,被控訴人らの各地位確認請求は全部理由があり,他方,各賃金請求のうち月給に関する部分は,平成14年5月1日から本判決確定の日まで,毎月20日限り,主文1項(2)記載の各金員の支払を求める限度でいずれも理由があり,その余はいずれも理由がなく,勤勉手当に関する部分は,全部理由があることになる。」
第5 結論
よって,当裁判所の上記判断と一部異なる原判決は一部不当であるから,本件控訴及び各附帯控訴に基づき,原判決を主文のとおり変更することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法67条2項前段,64条但書,61条の規定を適用して,主文のとおり判決する。
福岡高等裁判所宮崎支部
裁判長裁判官 横 山 秀 憲
裁判官 浅 井
憲
裁判官 林
潤
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