石綿による健康被害の救済に関する法律案 要綱
平成十八年三月十七日よりいわゆる、「アスベスト新法(石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号))」が適用されます。
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石綿による健康被害の救済に関する法律案 要綱
第一 総則
一 目的
この法律は、石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等を支給するための措置を講ずることにより、石綿による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とすること。
(第一条関係)
二 定義等
1 この法律において「指定疾病」とは、中皮腫、気管支又は肺の悪性新生物その他石綿を吸入することにより発生する疾病であって政令で定めるものをいうこと。
2 この法律において「死亡労働者等」とは、労働者災害補償保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業に使用される労働者又は中小事業主等で特別加入することにより労働者とみなされる者であって、石綿にさらされる業務に従事することにより指定疾病その他厚生労働省令で定める疾病にかかり、これにより死亡したもの(昭和二十二年九月一日以降に当該指定疾病その他厚生労働省令で定める疾病にかかり、これにより、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日の五年前の日までに死亡した者に限る。)をいうこと。
3 環境大臣は、1の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならないこと。
(第二条関係)
第二 救済給付の支給等
一 石綿による健康被害の救済のため支給される給付(以下「救済給付」という。)は、医療費、療養手当、葬祭料、特別遺族弔慰金、特別葬祭料及び救済給付調整金とし、独立行政法人環境再生保全機構(以下「機構」という。)が支給するものとすること。
二 機構は、石綿を吸入することにより指定疾病にかかった旨の認定を受けた者に対し、その請求に基づき、医療費を支給するものとすること。
三 機構は、認定等を行おうとするときは、医学的判定を要する事項に関し、環境大臣に判定を申し出るものとすること。
四 機構は、被認定者が、その認定に係る指定疾病につき、健康保険法第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関等から医療を受けたときは、当該被認定者に対し、その請求に基づき、医療費を支給するものとすること。
五 医療費の額は、当該医療に要する費用の額から、当該認定に係る指定疾病につき、健康保険法等の規定により被認定者が受け、又は受けることができた医療に関する給付の額を控除して得た額とすること。
六 被認定者が、当該認定に係る指定疾病について、保険医療機関等から医療を受けた場合においては、機構は、医療費として当該被認定者に支給すべき額の限度において、その者が当該医療に関し当該保険医療機関等に支払うべき費用を、当該被認定者に代わり、当該保険医療機関等に支払うことができること。
七 機構は、被認定者が緊急その他やむを得ない理由により保険医療機関等以外の病院等から医療を受けた場合において、その必要があると認めるとき等の場合には、当該被認定者に対し、その請求に基づき、医療費を支給することができること。
八 機構は、被認定者に対し、その請求に基づき、政令で定める額の療養手当を支給するものとすること。
九 機構は、被認定者が当該認定に係る指定疾病に起因して死亡したときは、葬祭を行う者に対し、その請求に基づき、政令で定める額の葬祭料を支給するものとすること。
十 石綿を吸入することにより指定疾病にかかり、当該指定疾病に起因して施行日前に死亡した者(以下「施行前死亡者」という。)の遺族(施行前死亡者の配偶者等であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものをいい、第四の一の特別遺族給付金を受けることができる者を除く。)に対し、政令で定める額の特別遺族弔慰金及び特別葬祭料を支給するものとすること。
十一 被認定者であって施行日前に認定に係る指定疾病にかかったものが当該指定疾病に起因して施行日から起算して二年以内に死亡した場合において、当該指定疾病に関し支給された医療費及び療養手当の合計額が特別遺族弔慰金の額に満たないときは、当該死亡した者の遺族に対し、特別遺族弔慰金の額から当該合計額を控除した額に相当する金額を救済給付調整金として支給するものとすること。
十二 救済給付を受けることができる者に対し、同一の事由について、損害のてん補がされた場合においては、機構は、その価額の限度で救済給付を支給する義務を免れるものとすること。
十三 療養手当、葬祭料、特別遺族弔慰金、特別葬祭料及び救済給付調整金は、これらの支給を受けることができる者に対し、同一の事由について、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)等による給付で政令で定めるものが行われるべき場合には、その給付に相当する金額として政令で定めるところにより算定した額の限度において、支給しないものとすること。
(第三条から第三十条まで関係)
第三 救済給付の費用
一 機構は、救済給付の支給に要する費用に充てるため石綿健康被害救済基金を設けるものとすること。
二 政府及び地方公共団体は、予算の範囲内において、機構に対し、救済給付の支給に要する費用に充てるための資金を、交付及び拠出することができるものとすること。
三 救済給付の支給に要する費用に充てるため、労災保険適用事業主等から、毎年度、一般拠出金を徴収するものとすること。
四 労災保険適用事業主等から徴収する一般拠出金の額は、賃金総額に一般拠出金率を乗じて得た額とすること。
五 四の一般拠出金率は、救済給付の支給に要する費用の予想額、政府からの交付金及び地方公共団体からの拠出金があるときはそれらの額並びに指定疾病の発生の状況その他の事情を考慮して、政令で定めるところにより、環境大臣が厚生労働大臣及び事業所管大臣と協議して定めるものとすること。
六 救済給付の支給に要する費用に充てるため、石綿の使用量、指定疾病の発生の状況その他の事情を勘案して政令で定める要件に該当する事業主(以下「特別事業主」という。)から、毎年度、特別拠出金を徴収するものとすること。
七 特別事業主から徴収する特別拠出金の額の算定方法は、石綿の使用量、指定疾病の発生の状況その他の事情を考慮して政令で定めるものとすること。
(第三十一条から第五十一条まで関係)
第四 特別遺族給付金の支給等
一 厚生労働大臣は、死亡労働者等の遺族であって、労災保険法の規定による遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅したものに対し、その請求に基づき、政令で定める額の特別遺族年金又は特別遺族一時金(以下「特別遺族給付金」という。)を支給するものとすること。
二 特別遺族年金を受けることができる遺族は、死亡労働者等の配偶者等であって、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものとすること。
1 死亡労働者等の死亡の当時その収入によって生計を維持していたこと。
2 死亡労働者等の死亡の当時において、夫等については五十五歳以上であること等の要件のいずれかに該当すること。
3 死亡労働者等の死亡の時から施行日までの間において、婚姻する等の要件のいずれにも該当しないこと。
三 特別遺族年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が死亡したとき等の場合に、消滅するものとすること。
四 特別遺族一時金は、施行日において特別遺族年金を受けることができる遺族がないとき等の場合に、支給するものとすること。
五 死亡労働者等の遺族が、当該死亡労働者等を使用していた労災保険適用事業主から同一の事由について、民法等による損害賠償を受けたときは、その価額の限度で、特別遺族給付金の支給をしないことができるものとすること。
(第五十九条から第六十八条まで関係)
第五 特別遺族給付金の支給に要する費用については、労働保険の事業に要する費用とみなして、徴収するものとすること。
(第六十九条関係)
第六 不服申立てについて必要な規定を設けること。
(第七十五条から第七十九条まで関係)
第七 雑則
一 国は、石綿による健康被害の予防に関する調査研究の推進に努めなければならないこと。
二 厚生労働大臣及び機構は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、公務所等に照会して必要な事項の報告を求めることができるものとすること。
(第八十条から第八十六条まで関係)
第八 罰則について必要な規定を設けること。
(第八十七条から第九十一条まで関係)
第九 施行期日等
一 この法律の施行期日について定めること。
(附則第一条関係)
二 所要の経過措置等を設けること。
(附則第二条から第五条まで関係)
三 政府は、この法律の施行後五年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとすること。
(附則第六条関係)
四 この法律の施行に伴う関連法律の改正を行うものとすること。
(附則第七条から第十五条まで関係)
