the Liaison Committee on Human Rights and Mass Media Conduct (JIMPOREN) homepage


人報連ニュース(ダイジェスト)ロゴ

人報連ニュース・ダイジェスト【2001年】

(人権と報道・連絡会定例会・シンポジウム等の概要)


第160回 法務省人権擁護審報告を検討

 人権と報道・連絡会の第160回定例会が1月15日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約40人が参加した。テーマは、法務省の人権擁護推進審議会が発表した「人権救済制度 の在り方に関する中間取りまとめ」について。この中間まとめは、「独立性と強制力を 持機関の設置」を提言したが、その対象にマス・メディアによる人権侵害も含めている。
 例会では、刑事弁護や拘禁者の処遇改善などの活動に取り組んでいる海渡雄一弁護士 から、同審議会の審議経過、日弁連の働きかけや国連の規約人権委員会の勧告の関係、 中間まとめの要点などを報告していただき、その問題点や権力による報道規制の危険性 などについて討論した。

第161回 日弁連「人権機関」構想を討論

 人権と報道・連絡会の第161回定例会が2月19日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約40人が参加した。テーマは、日弁連の「人権機関」構想について。日弁連は昨年10月、 岐阜で開いた人権擁護大会で「政府から独立した調査権限のある人権機関の設置を求め る宣言」を採択した。この宣言は、救済すべき人権侵害の対象として、公権力によるも の以外に私人間の人権侵害、マス・メディアによる人権侵害も含めており、メディアや 一部弁護士から「報道の自由を侵す恐れがある」との批判が出ている。例会では、宣言 を起草した大会分科会実行委員会の事務局長・武村二三夫弁護士に、宣言に至る経過、 メディアを対象に含めた意図、さらに先に法務省の人権擁護推進審議会が出した「中間 とりまとめ」に対する日弁連の見解などを報告していただき、参加者から出た日弁連の 人権機関構想への疑問、権力の報道規制の危険性などについて討論した。

第162回 報道被害を拡げるネット社会

 人権と報道・連絡会の第162回定例会が3月5日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約40人が参加した。テーマは、「報道被害を増幅する新聞のホームページとインターネ ット」。新聞の多くはホームページを開設し、新聞に掲載した記事を掲載している。こ れらの記事はインターネットを通じて他の個人・団体のホームページに転載され、「検 索エンジン」で簡単に探せるため、実名報道による被害を増幅・拡大している。
 例会では、昨年10月、警視庁公安部に宗教団体アレフの内部情報収集などを狙って別 件逮捕・実名報道されたAさんから報告を受けた。Aさんは処分保留で釈放されたにも かかわらず、その続報がごく一部にしか報道されず、ネット上では現在も実名・犯人視 報道が続いている。討論では、ホームページだけでなく新聞社のデータベースにも問題 があることや、ネット時代の報道被害をなくす新たな取り組みの必要性が指摘された。

第163回 NHK女性国際戦犯法廷特集改ざん

 人権と報道・連絡会の第163回定例会が4月9日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約40人が参加した。テーマは、「女性国際戦犯法廷をめぐる報道」。昨年12月に東京で 開かれた同法廷は、日本軍の「慰安婦」制度(性奴隷制)について、「戦争犯罪である だけでなく、人道に対する罪であり、昭和天皇は有罪、日本政府に国家責任がある」と いう歴史的な判決を下した。日本のメディアがこの法廷の報道に消極的な姿勢を見せる 中、NHKは法廷の特集番組を企画、今年1月に放映したが、番組は当初の企画案とは 大きく異なり、法廷の価値そのものを貶める内容に改変されていた。例会では、法廷の 主催団体の一つ「VAWW−NETジャパン」副代表・西野瑠美子さんが、法廷の意義 ・内容を紹介したあと、番組がどのように改変されたかについて報告した。
 また例会では、今年3月、大分県聖嶽洞穴をめぐる週刊文春の「捏造疑惑」報道に抗 議して自殺した賀川光夫別府大学名誉教授の遺族が、文春の「疑惑捏造」報道について 緊急発言した。

第164回 北海道の冤罪事件報道を検証

 人権と報道・連絡会の第164回定例会が5月14日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約60人が参加した。テーマは「恵庭OL殺人事件と報道検証」。昨年3月、北海道恵庭 市で女性会社員が殺された事件で、警察は事件直後から被害者の同僚女性Oさんを犯人 と見込んだ捜査を行い、監視、任意取り調べの後、5月に逮捕した。メディアも逮捕前 からOさんに対する犯人視取材を続け、逮捕後は「三角関係のもつれ」などとスキャン ダルに報道した。しかし、事件とOさんを結びつける物証は何もなく、Oさんは一貫し て無実を訴え、彼女の人柄を知る友人たちが「支援する会」を結成。捜査段階から違法 な取り調べを告発してきた弁護団は10月の初公判以来、冤罪を主張して弁護活動と続け ている。例会には、支援する会のメンバー7人が北海道から駆けつけ、事件と裁判の経 緯、報道の問題点などを報告、Oさんの無実を晴らすための支援を訴えた。

第165回 仙台筋弛緩剤事件と報道検証

 人権と報道・連絡会の第165回定例会が6月11日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約60人が参加した。テーマは「仙台・筋弛緩剤事件と報道検証」。今年1月、宮城県警 泉署は、仙台市の「北陵クリニック」で点滴に筋弛緩剤を混入したとして、准看護士・ 守大助さんを殺人未遂容疑で逮捕した。警察は以後4回の再逮捕を繰り返し、5件の殺 人・殺人未遂で起訴、メディアは守さんを「悪魔の点滴男」「無差別大量殺人犯」など と断定報道した。
 しかし、逮捕直後、過酷な取り調べで「自白」させられた守さんは弁護人がついた後 は、一貫して無実を訴えている。例会では、守さんを支えてきた弁護団の阿部泰雄弁護 団長が、事件の経過と捜査・報道の問題点、さらに医療過誤や病院経営の破綻など「事 件」の背景などについて報告した。阿部さんは「事件が起きて守さんが逮捕されたので はなく、守さんの逮捕で事件が作られた」と指摘、警察情報を鵜呑みにした報道を厳し く批判した。なお、この事件では守さん自身、名前を出して冤罪を晴らしたいとして近 く冤罪を訴える本も出版する予定であり、ニュースもその意向にそって顕名にした。

第166回 大阪池田市事件の報道検証

 人権と報道・連絡会の第166回定例会が7月9日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約40人が参加した。テーマは「大阪・児童殺傷事件報道の検証」。6月8日、大阪府池田 市の大阪教育大学付属池田小学校で起きた児童殺傷事件で、メディアは一部を除き、夕刊 や第一報は被疑者を匿名で報じたものの、夜7時のNHKニュース以降は全社が実名に転 換、しかも事件が精神疾患に起因するかのような報道を繰り広げた。一連の報道は、「精 神障害者の犯罪報道は匿名」、「実名の場合は病気にふれない」としてきた従来の報道基 準から大きく逸脱し、被疑者の人権を侵害する一方で、精神疾患に対する偏見を増幅し、 「保安処分」導入論議をも招いている。例会では、連絡会の浅野健一・山口正紀両世話人 が、今回の報道の特徴と問題点を整理して問題提起した後、参加者の間で事件と精神疾患 に関する報道のあり方について討論した。

第167回 偏見強める精神科病歴報道

 人権と報道・連絡会の第167回定例会が9月10日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約30人が参加した。テーマは「児童殺傷事件と精神疾患患者の報道被害」。6月8日、 大阪府池田市で起きた児童殺傷事件で、マス・メディアは「精神科治療歴に触れながら の実名報道」を行い、精神疾患に対する偏見を増幅、「保安処分」導入論議を招いた。 例会では、一連の報道で精神疾患患者やその家族が受けた報道被害についてアンケート 調査をした「全国精神障害者家族連合会」の桶谷肇事務局長から、調査結果を中心に犯 罪事件と精神疾患治療をめぐるさまざまな問題も含めて報告していただき、事件と精神 疾患報道のあり方について、参加者の間で討論した。

第17回人権と報道を考えるシンポジウム 事件被害者の人権と報道のあり方

 「事件被害者の人権と報道」をテーマに、人権と報道・連絡会主催の「第17回人権と報道を考えるシンポジウム」が10月27日、中央大学駿河台記念館で開かれ、約120人が参加した。事件が起きたとき、メディアは当然のように被害者の名前や写真を掲載し、被害者や遺族のもとに取材陣が殺到して、無神経な取材で追い討ちをかける。その一方で、「加害者の人権ばかり守られて、被害者の人権がないがしろにされている」との主張があり、少年の被疑者を実名報道するメディアがある。こんな現状を踏まえ、シンポジウムでは「事件被害者の報道はどうあるべきか」「被疑者・加害者と被害者の人権は対立するものなのか」などの論点を中心に、3人のパネリストが体験をもとに問題提起、会場の参加者とともに話し合った。被害者の苦しみが癒され、加害者は罪を悔いて謝罪し、やがて双方が「和解」に至るような温かい社会。市民一人一人が、犯罪を自分たちの社会が生み出した不幸な出来事ととらえ、被害者・遺族を支え、加害者の更生に力を貸していく。そんな社会を築くために、メディアには「報復感情」を煽るのではなく、事件の背景を考え、人々の心を結びつける役割を果してほしい・・そう強く思わされる討論だった。

第168回 個人情報保護法案の問題点検証

 人権と報道・連絡会の第168回定例会が11月26日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約40人が参加した。テーマは「個人情報保護法案」の問題点。毎日新聞記者・臺宏士さ んと弁護士の山下幸夫さんから法案の主な内容と狙い、問題点を報告していただき、討 論した。報告・討論では、同法が、まず取り組むべき国家・自治体の持つ個人情報保護 を後回しにする一方、民間の規制対象に報道・言論・表現活動を含め、その法的規制を 狙っていること、その背景に報道被害への市民の批判を逆手にとった自民党のメディア 規制の意図が隠されていることなどが指摘され、報道被害を生み出しているメディアや ライターによる「反省なき反対運動」への疑問も出された。同法案は来年の通常国会へ 継続審議になる見通しだが、今後、報道被害者も一致できるような市民的立場に立った 反対運動、法規制を許さないメディア責任制度の確立が急務になっている。

第169回 テロ報復戦争報道批判

 人権と報道・連絡会の第169回定例会が12月17日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、 約50人が参加した。テーマは「米報復戦争・自衛隊参戦と報道」。9月11日に米国で起 きた旅客機の「道連れ自爆」事件から3か月余、日本のマス・メディアの多くは、報復 戦争を叫ぶブッシュ政権と「後方支援」の名で自衛隊を派遣した小泉政権の主張を無批 判に流し続けている。例会では、連絡会の山口正紀世話人が新聞を中心に今回の報道の 特徴と問題点を報告、また浅野健一世話人が空爆を支持した朝日新聞社説の問題点を指 摘、さらに「軍事力に依らない平和とメディアチェックを考える会」の山田一彦さんが、 一連のNHK報道のモニター結果を詳細に報告した。