(斉藤真美子)
過去 20 年以上の戦争により、約 75 %の学校校舎が被害を受けた。 2002 年以来、学校の新設・修復が継続されているが、未だ 5 千校以上の校舎が必要とされている。水と衛生施設の備わった学校は全体の 48 %にすぎない。このような環境の中でも、現在はアフガニスタンの歴史の中で最も多くの生徒が就学している。タリバン政権時代に禁止されていた女子教育は、 2002 年以前の 推定女子初等教育就学率( Estimated Gross Enrolment Rate )3 %から、 2003 年は 37 %に上昇した。一方、男子初等教育就学率は 2003 年で 66% である 。
しかし、未だ 7 歳から 13 歳の 100 万人以上の女子は未就学とされる。全就学児童の 34 %は女子生徒であるが、首都カブールにおける高い 女子就学率に対し、地方における女子教育の機会は非常に限られる 。特に、低学年女子が在学することはあっても、高学年になると多くがドロップアウトするのが現状である。未就学となる要因として、家から学校までの距離、女性教師の不足、男女別の教育機会の無いこと、早婚、家計の財政的理由、家族の教育に対する認識の欠如などがある。
近年、教育の質を高めるために、多くの教員研修が実施されている。しかし、地方では教師となる人材が不在の他、教科書や教材なども不足している。都市と地方の格差に加え、治安やアクセス困難により支援の行き届きにくい地域では、教育機会も制限されることが多い。また、学校の無い場所では、モスクや一般家庭でのノン・フォーマル教育も行われている。子どもを 宗教学校(マドラサ) へ通学させる家庭もある。
(斉藤真美子)
アフガニスタンでは、 3 つの Z が財産とされている。 Zamin( 土地 ) 、 Zal (金)、 Zan (女)である。女性は男性の所有物とみなされ、女性を巡って多くの争いが繰り返されてきた。親族の男性を伴わずに 1 人で道を歩く女性は、淫らな女とさえみなされることがある。
女性は様々な局面で弱い立場にある。家庭内での暴力にはじまり、父親や夫、兄弟によって殺される事例も多い。地方では 10 代の少女と高齢者との強制結婚もみられ、結婚を拒否するために自殺する女性もいる。結婚に際しては、花婿から花嫁家族へ高い支払が行われる。これ持参金 (Dowry) は男性の婚期を遅らせることにも繋がるが、結婚後の夫婦間の緊張を高める一要因ともなりうる。また、妊娠中に死亡する女性は 1000 人に 16 人の割合であり、非識字率は男性の 56.8% に対し、女性は 85.9% である 。
一方、都市部では高い教育を受けて仕事に就く、恵まれた女性も多い。カブールの女性は進歩的なことで有名だが、共産党政権時代の 1970 年代はミニスカートを着用して闊歩する女性もみられた。内戦時代、ブルカを着用する習慣が定着したが、タリバン政権崩壊後、徐々にブルカを纏わない女性が増えてきた。しかし、保守的な地域では未だ街に女性の姿さえ見かけないところも多い。
アフガニスタン女性の置かれる状態は、都市と地方、地域社会の伝統、親や夫、そして女性自身の教育水準や個人の考えによって大きく異なる。最も虐げられた女性たちは、外部と隔離され、最も支援の届きにくいところにある。
( AAR 紺野誠二)
アフガニスタンは 1979 年から続いた戦争により、国内に多くの地雷が埋設され、また、多数の不発弾が残ることとなった。このため、人々の生命や安全が脅かされるだけではなく、復興、開発に向けての阻害要因の一つとなっている。また、世界的に見てもアフガニスタンは世界でも有数の地雷埋設国となっている。ここでは、アフガニスタンの地雷状況を概観する。
アフガニスタンにおける地雷の状況
アフガニスタンは地雷を製造していない。月に 100 人程度が地雷により死傷している( 2004 年)。地雷による被害は年々減少傾向にあり、 1998 年には報告されているだけで 1423 人が被害に遭っているが、 2003 年には 846 人の被害が報告されている。実際の被害者数は報告数の二倍とも推定される。地雷による被害よりも不発弾による被害の方が多い。被害者の約 90 %が男性(成人男性と少年)。女性の被害者は少ない。被害者が最も多いのがカブール州。全体の 20 %近くがカブールでの被害。アフガニスタン全土 2,500 以上のコミュニティーが何らかの地雷による被害を受けている。 13 カ国 56 種類の地雷が発見されている。
政府の対応: アフガニスタン政府は 2002 年 9 月 11 日に対人地雷禁止条約(オタワ条約)を締結し、地雷問題を急務の課題として取り組んでいる。
国際社会の地雷への取り組み: 国連アフガニスタン地雷対策センター( UNMACA )が地雷対策の中心となっており、その下に MACA Partners と呼ばれる NGO が属する形で活動を実施している。 2005 年 6 月現在、 MACA には日本人職員が 4 名勤務している。国際社会はアフガニスタンの地雷対策に多額の拠出を行っている。主要ドナー国はオーストラリア、カナダ、 EU, アメリカ、イギリス、ドイツ、日本など。日本政府は 2003 年に 5,435,241 ドルを拠出しており、大口ドナーの一つである。
実施体制
実際の活動を行うのは MACA Partners であり、ローカル NGO 、国際 NGO が地雷除去活動をはじめ、さまざまな活動に従事している。日本の NGO では特定非営利活動法人日本紛争予防センターが地雷除去活動を、当会が地雷回避教育及び教育教材開発を行っている。
地雷除去: 地雷除去を実施している主な NGO は下記の通り。 ATC; AREA ; DAFA ; DDG ; JCCP ; the HALO Trust ; MDC ; OMAR
地雷回避教育: 地雷回避教育に取り組んでいる主要な NGO は下記の通り。AAR ; ARCS/ICRC ; The HALO Trust; Handicap International-Belgium ; OMAR
地雷生存者支援: 地雷生存者支援に取り組んでいる主要な NGO は下記の通り。ICRC ; Sandy Gall Afghan Appeal ; Emergency ; KOC (Kabul Orthopaedic Center) ; Handicap International-Belgium; PARSA ; AABRAR ; SERVE ; Swedish Committee for Afghanistan なお、生存者支援に関して政府では Ministry of Martyrs and Disabled と Ministry of Public Health が中心となっており、 Ministry of Justice と Ministry of Finance が参加して National Disability Commission が構成されている国連では UNOPS/RAD (かつての CDAP ) がリハビリテーション・サービスの中心となっている。
その他
アフガニスタンの地雷のマーキングは赤と白の石で構成されている。赤い石の外側は危険と思われる地域なので、絶対に入らないこと。地雷を見かけたときには地雷除去団体などに知らせること。地雷原に入ってしまったら、まず落ち着いて、足跡が残っていればその後をたどること。もし待つことができるようであれば、除去団体が来るまで待つこと。被害に遭っている現場に直面した場合は、除去団体に連絡すること。助けに行くと二重事故になる危険性が高い。万が一被害にあってしまった場合には、救急病院に向うこと。常日頃から緊急手術を行える病院を確認しておくこと。
参考
(PWJ ー 柴田 裕子 )
アフガニスタンは、人口のおよそ 80% が農産か、牧畜、もしくはその両方にかかわる農業国家である。農業は主に 2 種類に分類され、ひとつは農産と畜産で、もうひとつがコチと呼ばれる遊牧民によるものである。コチと呼ばれる遊牧民は、季節により移動しながらヤギや羊を放牧している。
旧ソ連の侵略以前は、全人口の約 85 %が農業で生計を立てていたとされるが、灌漑や天水農業、園芸に適した土地の割合は比較的少なく、灌漑が可能な土地の半分以上がヒンドゥークシュ山脈の北に位置し、アムダリア川につながる灌漑システムを持つとされる。正確な統計がなく、情報源により異なるが、最近では、330万ヘクタールが灌漑地で定期的に農作物が生産されており、450万ヘクタールが天水の農地とのデータもある。またほとんどの天水農地は、北部に位置する平野や山すそに沿って東西に伸びている。近年地方の人口が増加していることから、人々は小麦生産のための天水農地を広げており、より高いやまや急な斜面にも農地を広げている。
アフガニスタンの食文化を反映し、灌漑農地、天水農地ともに小麦が主要な農産物で、平均すると、1世帯あたり約167キロの小麦を消費している。また、ジャガイモや玉ねぎなどのさまざまな種類の野菜も一般的な食料として生産されている。特にアフガニスタンのメロンは、その種類の豊富さと質の高さは古くから知られており、隣国のパキスタンなどに輸出されるほどである。クミン、ごまやサトウキビなどの高品質な作物も生産されており、ヘルマンド、バグランやクンドゥスなどでは、綿花も生産されている。
また、アフガニスタンは古くから豊富な果物(杏、りんご、ぶどうなど)や、ナッツ類(アーモンド、ウォールナッツ、ピスタチオなど)で知られており、1970年代には、外貨収入の 40% 以上がドライフルーツやナッツ類の輸出により得られていた。
しかしながら、現在のアフガニスタンは世界最大のけし栽培国であり、世界で取引される不法なアヘンの取引のうち75%はアフガニスタンで生産されているとされ、アフガニスタンのGDPの約3分の2は、アヘンによる収入であると言われている。