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NHK番組制作局 去る6月9日に提出した、NHK教育テレビETV2001「シリーズ戦争をどう裁くか」第2回「問われる戦時性暴力」(2001年1月31日放送)に関するわたしたちの見解と要望(以下、「見解と要望」)についての返答(以下、「お返事」)を受け取りました。 本来ならばまずお返答をいただいたことに感謝しなくてはならないのですが、今回受け取りましたお返事は、わたしたちが「見解と要望」のなかで問いかけた数々の疑問や要望への回答とはなっていないと判断せざるをえません。5つの要求項目のうち2項目については全く回答が無く、他の3項目についても言及はされているものの「回答」とみなすには不充分だからです(具体的には下記参照)。 そこで、もう一度「見解と要望」を検討し、真摯に回答していただくことを要求します。とりわけ、「見解と要望」で回答を求めたことのうち、お返事にはなかった以下の点に留意してお答えください。 (一) まず単純に回答が無かったことが二つあります。 第一に、要望の(3)にあった、シリーズ4回を再放送する予定があるのかどうかについての回答がありません。はっきりとしたご返答を願います。 第二に、要望(5)で求め、また署名を提出する時に何度も念を押したように、吉岡民夫教養部長(直前の改変に直接関わったことがメディアを通じて知られています)ほか、制作に直接携わった方々と面談したい、という要望についての回答がありません。さまざまな疑念を晴らすためにも、せひとも面談の機会を設けてください。 (二) 以下は、お返事で言及はされていたが、回答とみなすことはできない事項についてです。 「見解と要望」で書いたように、番組は女性国際戦犯法廷(以下、「法廷」)を扱うものであったにもかかわらず、「法廷」が誰によって主催され、実際に何をどのように裁いたのかという、具体的な内容が明確に伝えられていません。 他の国内メディアではそれほど取り上げられなかったため、この「法廷」の内容自体(場合によっては、「法廷」が開催された事実すら)がほとんど知られていません。そのような状況で作られた特集番組において、「法廷」の主催者にすら言及せず、「法廷」における内容も意見も十分に提示すること無くして、「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公正に取り扱う」ことは不可能です。 貴局は、「放送倫理の確立に向けて」(1999年4月19日、放送現場の倫理に関する委員会)において、「公平さは、見かけ上の単純な中立性によってのみ得られるものではなく、公平さを求める厳格な姿勢によって確保される」と宣言しています。放映直前に収録・挿入された秦郁彦氏による「法廷」に対する批判的なコメントには、「法廷」に関する複数の重大な事実誤認が含まれていることは放映直後にVAWW-NET Japanが公開質問状を通じて指摘しています。また、出演者の米山リサ氏は自らの発言が切り貼りされて本来の発言の主旨が歪められたと述べています。 「公平さを求める厳格な姿勢」からは、とうていこのような番組作りは許されないはずです。そこでは「見かけ上の単純な中立性」すら維持されていないからです。シリーズ4回で紹介された世界各地の事例のなかで、過去に日本が犯したことに関する第二夜のみ、この点において突出していました。 このような直前の内容の改変が「意図的かつ系統的なもの」であるとするならば、明らかにそこには視聴者・市民の「知る権利」の侵害があったというのが、「見解と要望」で述べたことです。だからこそ要望(1)で「一日も早く番組改変の真相を究明し、責任の所在を明らかにし、詳細な経緯の説明をもって視聴者の疑念に正面から答え、そのことについての態度を明らかにすること」を求めたのです。しかし、お返事にはそのことへの具体的な回答がありませんでした。NHKが今回の番組で追求した「公平さ」とはいかなる意味なのか、番組の内容に即して説明するとともに、番組改変の詳細な経緯を具体的に明らかにしてください。 (三) お返事では、「今回の番組についてのこうした企画意図および編集方針は、NHKが自らの責任と判断において、昨年十一月に決定したものです。この編集方針は、先般の放送にいたるまでの間、一貫して変わっておりません」とあります。 しかし、「法廷」を扱う番組企画を提案する段階から関わってこられた高橋哲哉氏、全面的に取材に協力されたVAWW-NET Japanの運営員をはじめとする、制作に直接関わった方々は、依頼に応じた際に了解していた番組内容が、放送された番組とは全く異なっている、と証言されています。つまり、貴局のご説明と、制作に直接関わった方々が様々な段階で番組に大きな改変があったことを指摘されている事実とが食い違っているのです。 この点に関連して、先ほど言及した「放送倫理の確立に向けて」において、貴局は「取材相手には、取材の意図・内容や取材結果の取り扱いを正確に伝える。取材の許諾を得るために、番組のテーマや取材趣旨をゆがめて伝えたり、あいまいにしてはならない」「制作過程で、あらかじめ取材相手に伝えていた目的や内容に変更が生じた場合は、改めて、取材相手に説明しなければならない」と宣言されています。 たとえ貴局が、編集方針は「一貫して変わっておりません」と判断し、それが「十分に伝わらなかった」に過ぎないと思っているにしても、出演者・取材協力者が番組の「目的や内容に変更が生じた」と判断している以上、明確な説明をする義務があります。既にVAWW-NET Japanは法的措置に訴えることを決めたと伝えられています。お返事を見る限り、もともとそういう企画だったと「遺憾の意」を伝えるだけでは何の説明にもなっていないという現状への自覚が欠けているといわざるを得ません。 また視聴者・市民の立場からしても、このお返事では、なぜこのような認識の食い違いが生じてしまっているのかが不明確で、よくわかりません。要望(1)ともつながりますが、制作に関わった方々の意図にことごとく反してまでも、放映直前に手を入れなければならなかったとしたら、それは一体誰のどのような判断にもとづきどのような経緯でなされたのかが明らかにされなければなりません。それは視聴者・市民に対する最低限の説明責任であると考えます。 (四) 要望(4)と関連して、右翼系のメディアは、NHKへの介入が功を奏したと表明しています。この点についても、貴局のご説明と右翼の主張とは食い違っています。原則論を繰り返すだけのお返事では、右翼や政治家の直接的な影響、あるいは間接的な「自粛」が無かったどうかということの疑惑は晴れません。この疑惑も結局は改変のプロセスが明らかにされないことからくるもので、右翼の攻撃の実態とそれへの対処、政治家の介入の有無、会長をはじめとする上層部による現場への介入のプロセスなどが明らかにされない限り、回答とはみなせません。 貴局は、右翼系の新聞やホームページで自分たちの行為によって番組が改変されたと述べていることについて公式に抗議されたのでしょうか。抗議されていないとしたら、それはなぜなのでしょうか。明確な説明を要求します。 以上の点からも明らかなように、今回のお返事は、わたしたちの「要望と質問」に対する責任ある回答とはみなすことができません。さまざまな疑念を晴らしていただくためにも、少なくとも責任者と面談することを要求したのですが、そのことへの回答すら無いのは誠実な対応とはみなせません。 2878名にものぼる署名者に対して、真摯な態度で回答していただけることを要求します。 これを受け取って1週間以内に再回答してください。万一、1週間以内の再回答は無理であるということであれば、いつまでにならば回答できるのかということを1週間以内にご連絡ください。 署名事務局一同 |