NHK・ETV2001改ざん問題関連事項略誌

2000年

12月8〜12日  東京にて女性国際戦犯法廷が開催される。12日の判決にて、天皇裕仁を「人道に対する罪」についての刑事責任があると認定。 [法廷]
 9日のNHKニュ−ス「おはよう日本」などでは、「法廷」について若干の報道があり、これが右翼によるNHK攻撃の発端になったといわれる。
12月25日 旧日本軍兵士・金子安次氏に「映像を使う」という連絡。
12月27日 高橋哲哉氏・米山リサ氏、第2夜の番組についてスタジオ録画。制作会社はドキュメンタリー・ジャパン(以下、DJ)。 [収録時の米山氏の発言]

2001年

1月中旬 この頃からインターネットの掲示板などに「放送反対」をとなえる右翼系の書き込みがはじまる。
1月19日 DJが放映用に編集したビデオの最初のバージョンをNHKに納品、試写。吉岡民夫・教養番組部長が、この内容に問題があるとして編集を指示。シリーズ担当者の永田チーフ・プロデューサーらとDJとの共同での手直しがはじまる。
1月20日 吉岡教養番組部長宛に番組に対する右派側の抗議書簡が届く。この頃からNHKに放送中止や誹謗中傷などの電話・ファクス・電子メールが大量(NHKだけで50件以上、番組関係者もあわせれば100件以上)に送られる。
1月24日 NHK側プロデューサーらとDJが共同で手直しした最終バージョンが納品される。吉岡教養部長らによる第2回目試写。さらなる手直しを要求され、DJの担当プロデューサーが降板するなど、これ以降の編集は基本的にNHK側がおこなう。
1月27日  朝10時、「NHKの『反日・偏向』を是正する国民会議」という団体(代表=西村修平・維新政党新風の会)約25人が、NHKに押し寄せ、番組の放映中止を求めて、視聴者ふれあいセンターの担当者と7時間対峙。
 15時頃には右翼街宣車がNHK玄関まで突入、1時間ほど抗議。
 旧日本軍兵士・鈴木良雄氏に「映像を使う」という連絡がまた入る(結局、本番ではカット)。
 この日の夕方までに第2夜の「新撮」用の修正台本がNHK側により作成され、2度にわたって高橋哲哉氏に送られる。DJが作成した第2夜の内容が「取材対象から適切な距離が取れていない」ので、「4回シリーズの流れにうまく収めたいので、その方向のコメントを撮らせて欲しい」というNHK側の要請により、スタジオ再録されることになる。
1月28日  第2夜の台本の改訂にともない、追加分のスタジオ録画(2カ所)がおこなわれる。
 また秦郁彦氏のインタビューが急遽おこなわれる。
 右翼がまたNHKに出没。
1月29日  前日の新録にもとづいた43分版について、NHK会長側近の野島直樹総合企画室局長や松尾放送総局長らのための「異例の試写」がおこなわれる。この場で野島氏や松尾氏のOKが一度出たともいわれる。
 複数のMLに、「NHKは右翼から予想以上に猛烈で過激な攻撃」を受けており、「NHKの局員のなかには、かなりの勇気と決断を持って臨んでいる人が少数ですが、います。(個人的に攻撃され、自宅襲撃の可能性もある)」という番組制作担当者のメールが流れる。
 この晩、ETV2001「シリーズ 戦争をどう裁くか」第1夜「人道に対する罪」を放映。
1月30日  この日までにNHKの過剰な介入によりDJ側関係者が降板し、NHK側プロデューサが修正したものを局に納品したものの、さらに局が手を加えるらしいという制作会社職員の情報らしきものが電子メールで流れる(後日、このメールを流したDJ職員が3日間の自宅謹慎処分を受ける)。
 放映3時間前に、松尾放送局長の指示で3分カットされたという。
 そして問題の第2夜「問われる戦時性暴力」が放映される。放映時間は40分、他の回より4分ほど短かった。内容は1月27日付の修正台本からも大幅に改変されたものだった。視聴率は0.5%(ビデオリサーチ関東地区調べ)。
 深夜、VAWW-NET Japanの代表・松井やより氏がMLで痛烈な批判の文章を流す。
1月31日 第3夜「いまも続く戦時性暴力」放送。
2月1日 第4夜「和解は可能か」放送。
2月6日 VAWW-NET JapanがNHKに公開質問状提出。 [質問状]
2月8日 自民党の総務部会(前・電気通信調査会)に、海老沢会長をはじめNHK幹部が出席し、予算審議に関連させつつ、NHKにこの番組について自民党のある大物議員が問い正したといわれる。
2月13日 NHKからVAWW-NET Japanに回答。 [回答]
2月15日 この日発売の『週刊新潮』2月22日号にて、「NHKの番組製作の責任者である伊藤律子・番組制作局長が自民の大物議員に呼び出されクギを刺された、という噂が局内でささやかれている」という記事が出る。
2月16日 出演者4名が共同でNHKに申入書を提出する。 [申入書]
2月21日 VAWW-NET JapanがNHKの吉岡教養番組部部長と面会。「制作会社が作った物はNHKが作ろうとした物と全く違ったので、直しました」との言質を得る。
2月24日 「女性国際戦犯法廷」国際実行委員会が、NHKへの抗議声明提出。 [抗議文]
3月1日 この日発売の月刊誌『正論』4月号のコラム(中村粲)で、NHK海老沢会長が、事前に第二夜の内容を「見て、その偏向のひどさに腰が抜けんぱかりに仰天した。早速、制作担当者を呼ぴつけて内容の修正を厳命した」と報じられる。
3月2日 『朝日新聞』「検証」欄に、直前の大改変を検証した記事が載る。放映前日にNHK上層部のための「異例の試写」があったことなどが明らかになる。 [記事]
また『週刊金曜日』でもこの問題がとりあげられ、右翼攻撃の実態の他に、放映3時間前にも試写があり番組を3分短縮する改変があったことや、松尾放送総局長の介入が報じられる。 [記事]
3月15日 出演者の米山リサ氏の呼びかけに応じて、海外各国の研究者約360名が共同署名して、NHK会長宛に手紙を送付。 [呼びかけ文と手紙]
3月16日 衆議院総務委員会で、民主党の大出彰議員と社民党の横光克彦議員が、番組改変について、NHKの海老沢会長と松尾放送総局長に問いただすが、かわされる。 [国会会議録]
3月27日 米山リサ氏ら360名によるNHK会長宛の手紙に、吉岡教養部長から返信が発送される。番組の不出来はもうしわけなかったが、360名の署名者の質問に返答する理由が理解できないとの内容。
3月31日 出演者である高橋哲哉・米山リサ両氏が、1月24日にNHKに納品されたバージョンの内容について、はじめてDJから詳しい説明をきく。それによれば、出演者の発言内容はほぼ12月27日のスタジオ収録の際のものがおさめられ、NHK側の説明とは裏腹に、シリーズ4回の企画からまったく逸脱していている様子はなかったという。
4月8日 米山リサ氏が、NHK吉岡教養部長の手紙の返信を不服として、さらに返信の手紙を送付。 [手紙]
4月9日 この日付で発売された『世界』5月号で、出演者の高橋哲哉氏が、1月28日の段階の台本と1月30日の放映内容の違いについて詳細に検討。放映直前の系統的な削除の実態が明らかになる。
4月21日 NHKに宛て、視聴者や市民が抗議署名運動をはじめる。