管理運営規則の改悪と都立三田高校事件

校長独裁体制化への反発行動

古 澤 英 樹(99・5・3)



 昨年12月末まで都立高校230余校では、学校運営は職員会議が中心になってなされていました。

 たとえば都立広尾高校では職員会議を「民主的に校務を運営するうえで最も重要な機関」として位置付けまたそのように機能していました。

 校内人事は教員の互選による4名(プラス教頭)の人事委員会で決めてきました。

 校内の予算(公費・私費)は同じように教員の互選による4名(プラス教頭・事務職員)の会計委員会が編成し職員会議で最終決定してきました。
 
このように教育現場をあずかる教員中心の自主的で自由な校内運営がされ、校風も自由で生徒の制服もなくのびのびした高校でした。


99年1月1日からの学校運営

 昨年7月東京都教育委員会で「都公立学校管理運営規則」が都高教(東京都高等学校教職員組合)の反対をおしきって改定されました。

 12月に、それに基づく「都立高校管理運営規定」を各高校で定めるよう通達が教育庁から出されました。

 それによると
 
==職員会議は校長の補助機関で、会議の決定に校長は拘束されない
==人事委員会は廃止し、人事は校長が決定する
==会計委員会は廃止し事務長を中心とした予算調整会議で予算等は決定する。
==校長の下に企画調整会議をおき構成員は校長・教頭(司会)、教務・生徒指導・進路・保健 の各主任、1・2・3学年主任で学校全体の運営の企画・立案、職員会議の議題整理を行う
==教頭は、校長の命をうけ、所属職員を指揮監督する

となっています。

 要するに校長の権限が極めて強化され、現場教員の声が学校運営に反映しずらくなりました。
 

 その通達に基づき安食前校長は広尾高校の「管理運営規定」 を12月の職員会議に提起したが教員の賛成者はゼロでした。

 主任の任務は、当該分掌・学年の事項の企画立案に限られているのに(「都公立学校管理運営規則」)、「企画調整会議」で学校の運営全体の企画立案を行うのは「同規則」に反しているとの指摘が教員からありましたが、校長は明確な答弁をしませんでした。 (ついでにいえば「教頭が校長の命を受け所属員の指揮監督する」のは、学校教育法および同施行令をおおきく逸脱していると考えられます)。
 
 12月25日前校長は同「管理運営規定」を職権で決定し99年1月1日より施行しました。

 
 それにともない1月20日の職員会議に前校長は従来の校内運営内規は廃止し、新たに「校内規定」を提示しました。

 そして、校外人事異動が内定したところで、「校内規定」の人事に関する条項の説明途中であるにもかかわらず、校内人事の希望調査を行い、調査用紙を提出せぬ者は校長に一任したとみなすとして、校内分掌・担任および教務・生徒指導・進路の各主任を決定し発表しました。 校長が定めた「校内規定」では、「主任は職員の意向を聞いて定める」 とあり、それに反する決定ではないかという追及が教員側からなされると、居直って「それではその条項は廃止します」と宣言しました。


 また、卒業式(3月12日)には「日の丸」を(教育庁通達に従い)始業時(8時30分)から終業時(12時30分)まで(4時間)掲揚すると前校長は決めました(95年度入学式から「日の丸」掲揚強行[正面玄関に9時30分から60分間]。以来、掲揚は60分間のみとなっていました)。


このように、前校長の権力的学校運営に対する危機感が高まり、このままでは組合運動は崩壊するのでは…という危惧を松村高太郎元教諭はもちました。

 松村元教諭はこのような状況の下、

==「教育委員会と校長の押しつけによって学校が運営されている」(「朝日新聞」4月1日朝刊)==成績特昇と校外人事異動で安食校長から差別待遇を受けているひとが数人いる、
==自分も99年度の強制異動で差別されるおそれ、「問題教師」として授業をもたされず、退職においこまれるおそれがあると、危機感をつのらせ、直接行動にでた(3月12日、都立三田高校に爆発物をおく)という趣旨を弁護士接見で話しています。

 現在、松村元教諭は爆発物取締罰則違反、殺人未遂で起訴され、4月30日、懲戒免職になりました。初公判は、6月8日(火)10時、東京地裁(地下鉄霞ヶ関、桜田門下車)開かれます。


 3月20日の広尾高校職員会議では、安食前校長の責任追及がなされ、成績特別昇給での差別待遇、12月から3月にいたる前校長の強権的学校運営が問題になりました。前校長は「私の責任は都教育庁が決めること」と述べ、自己責任については何も触れませんでした。安食校長は3月31日に定年退職。彼の責任は宙づりになりました。


4月23日、松村元教諭が拘留されている三田警察署に面会に行ったところ、「全都的に校長独裁体制が制度化されているのを自分ひとりの力で押し返すことが出来るという執念をもっていました」 という趣旨を話していました。

 都教育庁がすすめた校長独裁体制の制度化に対する都高教の反対にあって、ノイローゼになり休職した校長も出て、その校長は職務が遂行できないとして、平の教諭に降格されるという事態も発生しました。

1月より、都立高校では、校長が“リーダーシップ"をとるという名目で、独裁体制がしかれそのもとで、卒業式・入学式での「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱が教育庁の意のままに行われるようになりました。


「松村高太郎さんの問題を考える会」
代表 古澤英樹(都立広尾高校 ==150-0011 渋谷区東4-14-14)
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