Q. & A.

このコーナは皆さんからの質問に対する回答のページです。

Q1)ハルリンドウとコケリンドウの違いを見分けるのはどうすれば良いでしょうか?
A)専門家は、萼裂片の形とロゼット葉の有無をキー形質として分け、この三者を独立の種として扱っています。萼裂片が卵形か倒卵形でロゼット状の根出葉があればコケリンドウ、萼裂片が披針形でロゼット状の根出葉があればハルリンドウ、また萼裂片が披針形でロゼット状の根出葉が無ければフデリンドウです。
しかし木更津周辺で観察する限りでは、この三者をそれぞれ独立の種として取り扱って良いものかどうか、多少疑問が出てきました。その理由は以下のようなものですから、皆さんも野外で機会があれば確かめ新しい知見が得られれば教えて下さい。

日本産リンドウ属の中では、この仲間はいずれも1または越年草。花冠の5裂片の間に副裂片があるグループで全土に広く分布します(コケリンドウは北海道に無いそうです)。木更津市波岡地区周辺では3月下旬、またやや内陸へ入った木更津市の真里谷キャンプ場では4月上旬、根出葉の無いフデリンドウ(型)が開花し、4月中旬 になると根出葉のあるコケリンドウ(型)が見つかります(写真参照)。

3月下旬に見られたフデリンドウ型個体(左)と4月中旬に見られたコケリンドウ型個体(右)。
左は君津市追原産、右は木更津市波岡産。

さらに興味深い事には、木更津市波岡地区の谷津田の”くろ”の同一面で、3月上旬に開花する個体はフデリンドウ(型)、4月中旬に開花する個体では根出葉が顕著な個体からはっきりしない個体への様々な変異があって、しかもこれらの個体の分布がわずか1メートル程の田の”くろ”の斜面で見られる事です。同様な根出葉の変異が内陸部の木更津市茅野七曲の谷津田の”くろ”でも見られました。(写真参照)

ロゼット状根出葉がはっきりしない個体と顕著な個体が左から右へ配列してあり、上は茅野七曲産で下は波岡産。

この野外での観察結果は、この仲間は生育地の微環境(湿度条件?)でロゼット状根出葉の発達が何らかの影響を受ける可能性がある事を示唆しているように解釈できます。また、1または越年草でありながら生育場所がかなり制限され、既に相当程度に雑草性を失っていると見られます。この観点からすれば、この三者の遺伝的背景は既に互いにかけ離れているかも知れません。いずれにしても、種分化の観点からは興味ある仲間です。

Q2) ハラビロトンボは体色変化するのですか?
A)最初に、先に示した写真の体色の黒いトンボを見たのは、2010/05/04でした。翌日、同じ場所へ行ったのですが、見つかりませんでした。次に、見つけたのは下の写真(左)の個体でした(10/05/09)。この日は成熟型も同じ場所に居ました。その後三日間続けてこの場所へ通いましたが黒色個体は見つかりませんでした。恐らく、この様な体色の変化は24時間以内に成熟型に完結するのではないでしょうか?(その後やや期間をおいて、この放棄田で二度黒色個体に出会いました)

写真(左)は体色が変化中と思われる個体、写真(中)は成熟オス、写真(右)は成熟メス

成熟すると上の写真ように、黒い色素に体全体が包まれていたとはとても想像できない、すっきりした体色になります。このハラビロトンボの体色の変化を承知していないと遠い目には、下の写真のシオカラトンボが居るのだと思い込んでしまうかもしれません。

写真(左)はオス、写真(右)はメス個体

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