弁護人からのメッセージ
|
|
◆この事件は「作られた」犯罪
文責 弁護士・乘井弥生 2001.02
|
|
皆さん、こんにちは。
現在、朴さんの方の裁判は後藤、森下、竹下そして乘井の四人の弁護士で取り組んでいます。 一審の途中から加わったもの、控訴審から加わったものと様々ですが、本件が密室の違法の限りを尽くして採取された自白によって「作られた」犯罪であること、客観的証拠を精査するならば無罪の判決が言い渡されなければならない事件であると全員が確信して、弁護活動をおこなっています。 真実は必ず明らかになると信じて弁護活動を進めていますが、心に重くのしかかるのが、朴さん、青木さんがすでに五年以上もの長期間身体を拘束され、仕事を奪われ、家族と暮らす生活を奪われているという事実です。電気工の仕事に誇りをもっていた朴さん、子供との日々の生活を何よりも大事にしていた青木さんの気持ちを思うと、一日でも早く無実を明らかにするため弁護活動をしなければと痛感しています。 その意味でも、事件に取り組む弁護人だけではなく、多くの方が本件の真実を知り、朴さんや青木さんを支援してもらうことはとても大事なことだと思います。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
|
|
◆控訴審にあたって
文責 弁護士・斎藤ともよ 2000.09
|
|
5回目の9月11日(月)が、また、巡ってきた。
青木さんは、その前日である9月10日(日)の朝7時に、火災の被害者、最愛の娘を亡くした母親から、一転、実子放火殺人の被疑者として任意同行という名で警察に連行された。その日に、殺したという自供書を書かされたが、翌9月11日に私が接見して「あなたが(放火殺人を)やったのですか。」と聞いた時には、はっきりと「私、やってません。」「でも、いくらそう言っても警察官は信じてくれない。」と答え、私が、信じてくれなくても、本当のことを話さなければいけないと言うと、青木さんは、その日、検察官と裁判官にそのように答えた。
当時、私は17年目の弁護士であったが、自分の担当する被疑者がこんな不当な取り調べを警察からされるのは初めてであったので、塩野、河原林両弁護士に助けを求め、勾留や接見交通に関するに関する準抗告などを申し立てた。 交代で接見した三人の弁護士が、起訴後そのまま、国選として担当することは人数的に認められないと裁判所が判断したので、私選弁護人として、一審の審理に携わった。3年間の一審審理の間、検察が青木さん達の現住建造物放火、殺人、保険金詐欺未遂の証拠として提出した350近い証拠に対し、一つずつ反論して崩した上、自然発火の可能性が高いという技術士の意見書を提出した。 一審を終結する際、それまで、弁護団として、思いつく限りの仮定、仮説を検討し、その証拠を集めようとし、決定的で有効と思える6リットルのガソリンをまいた時の広がり方や、火の燃え方などの実験など、強力な捜査権限と科学捜査研究所などの設備とスタッフを持たない弁護士では不可能なことを除き、反論に成功したという想いがあった。 放火殺人の動機、物的証拠がないこと、共謀の無内容など、「疑わしきは、被告人の利益に」という刑事裁判の大原則からすれば、裁判官が、唯一共犯者である朴さんの自白を根拠に、それも、青木さん以上の暴行、脅迫、偽計、切り違えという違法な自白を根拠に、検察官の無期懲役の論告どおり、有罪とすることはできないはずだとも考えた。 しかし、一審判決は、無期懲役であり、結論は言うまでもないが、その理由はそれ以上に納得できない論理で埋まっていた。 無期懲役という一審判決を受けて、弁護団として、青木さんに率直に「一審では、考えられるだけのこと、やれるだけのことはしたつもりです。」「しかし、判決は何度も、青木さんが、繰り返し『やっていないのだから、裁判官はわかってくれるはずですね。』と言って、信頼を寄せていたのを全く裏切る内容でした。弁護団としても、今までとは違い、青木さんの事件を知らない多くの人に訴えて支援してもらうしかないと思います。また、新しい弁護士にも入ってもらって、新しい視点から控訴審に取り組みましょう。」と話しました。 「5年前の95年7月22日、火事で娘を亡くして以来、何で火が出たの、どうすれば助けられたのとばかり考え泣いてばかりいました。9月10日、犯人として逮捕されてからも、私が犯人扱いされるなんて、テレビの中の話のようだという気持ちがずっとありましたし、今でもあります。でも、娘を殺したという汚名だけは、どんなに時間がかかっても、どんなことをしてもそそぎたい。死んだ娘と、もう一度一緒に暮らせるかどうかわからない息子のためにも。私はやっていません。」という青木さんの声に応え、一審判決後に、下村幸雄弁護士、加藤高志弁護士、小川和恵弁護士が全くの手弁当で新たに弁護団に加わってくれました。また、支援のグループもでき、今回の通信を発行してもらえるまでになり、大変心強く思っています。 青木さんの無罪判決をえるために、お一人でも多くの方にご支援していただきますようお願いします。 |