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『みちくさ』第22号(2004年8月24日発行)

終刊のごあいさつ

大阪大学部落解放研究会

(文責:福嶋順)

 『みちくさ』21号でもお知らせしましたように、『みちくさ』を終刊することになりました。留学・卒業などで主だった編集メンバーが大学を離れるということが一番の理由です。

 『部落問題・人権問題情報誌 みちくさ』は、運動体に限らないさまざまな人とのネットワークを目指して、阪大解放研のメンバーが足かけ12年にわたって発行してきました。『みちくさ』が目指してきたことは、毎号の『みちくさ』の2ページ目の「はじめに」にあるとおりです(この部分は第1号からずっと同じままです)。終刊にあたって、あらためてふりかえってみようと思います。

(1)「送り手」と「受け手」が固定しないこと

 情報の一方的な発信ではなく、双方向のコミュニケーションを『みちくさ』は目指してきました。理想的には読者の誰もがライターであり、私たちはその手助けをするに過ぎない、と。

 残念ながらこれまでのところ、双方向のコミュニケーションが達成された、とまでは言えません。一つ一つの記事に対する読者の反応は全体としてはかなり乏しく、反論・異見の投稿や持ち込み原稿などもなかなかありませんでした。これは、編集側の企画力の問題や、反論しようにも次回の発行期日が不確定であることも大きかったと思われます。 結果的に編集を行う解放研メンバーのつながりの中から、毎回原稿依頼をし、それらが読者にどう受け止められたかはなかなか見えないまま、次回の『みちくさ』へ移る、ということの繰り返しに終わってしまいました。双方向のコミュニケーションの場へと『みちくさ』を育てることができなかったことは、終刊にあたっての心残りの一つです。

(2)議論を活発に

 (1)とも関連することですが、こちらも残念ながら、『みちくさ』紙上で活発な議論が交わされる、ということはほとんどないままに終わってしまいました。編集方針として、特定のテーマを設定し、それをめぐって複数のライターに異なる立場からの投稿を求める、ということ等をほとんどしてこなかったこともあり、またここでも発行期間の問題があったでしょう。議論を呼ばないような記事しかなかったとは思いません。ただ、それぞれの読み手に浮かんだであろう思いを、紙面に掬いきれなかったことは、反省として残ります。

(3)読者にとって役立つ情報

 読んでいて新鮮な響きをもつものであることを目指してきましたが、読者のみなさんにどのように受け止められていたかはわかりません。ただ、編集に携わってきた者として言うならば、毎号の『みちくさ』はそれぞれに、ここでなければ活字にならなかったであろう思いや、新しい視点を提供する記事などを含んでおり、読んでおもしろいものとなっていたと自負していますし、それらを提供してくれる書き手にも恵まれてきたと思います(もっとも編集を行う解放研メンバーも、毎回書き手の一部を占めてきたわけですが)。また、一読者としてみたときに、オリジナリティーのあるおもしろいものを作っているという実感が、編集作業の大きな励みであったことも事実です。

 特定のテーマを設定しない、発行予定日を守らない(必ずしも故意に、というわけではなかったのですが)、という編集は、双方向のコミュニケーションや議論の喚起のためにはマイナスだったでしょうが、一方でそれぞれの書き手に、自分の関心のあるテーマについてじっくり掘り下げて書いてもらうという点では、プラスの面もあったのかもしれません。『みちくさ』への投稿は、自分の考えを整理して形にする契機となり、読者にとってというよりむしろ書き手にとって、『みちくさ』は意義のある場となってきたとも言えます。

(4)差別の現実に根ざした情報

 阪大部落解放研究会とはいえ、会としての活動は『みちくさ』の編集以外にほとんどない中、まして大学生・大学院生が編集する『みちくさ』において、差別の現実に根ざした情報をどれだけきちんと伝えることができるのか、ということは、『みちくさ』が空虚な評論集となってしまわないために決定的に大切なことでした。編集方針として明確に定めていたわけではありませんが、単なる出来事の報告や解説よりも、そこにかかわる一人の人間としての体験や思いが中心となっているものが多かったように思いますし、そこに『みちくさ』の特徴があったようにも思います。

 他方、差別の現実やそれに反対する運動に、日常的にかかわっているわけではない編集メンバーもいる中で、「差別の現実に根ざした情報」の書き手と人間関係のあるメンバーが限られ、結果的に書き手が固定化する、広がらない、ことにつながっていた面も否定できません。

 『みちくさ』は、その目指すところを十分に達成することなく終刊します、と言わざるをえないかもしれません。しかし、12年22号を積み重ねてきた中で、さまざまな人やさまざまな思いとの出会いがありましたし、それらを情報誌という形でみなさんに届けてきたことには、大きな意味があったと考えています。『みちくさ』はもう社会的使命を終えた、とは思いません。『みちくさ』が目指してきた、差別の現実を踏まえつつ、異なる立場や見解を出し合える対話の場は、今後とも大切にされるべきものです。

 最後に、『部落問題・人権問題情報誌 みちくさ』をみなさんに暖簾分けします。阪大解放研の編集する『みちくさ』はいったん終刊しますが、どなたでもどこででも、ご自由に『みちくさ』を引き継いでくださってかまいません。あなたも『みちくさ』を編集してみませんか?

 長年のご愛読、どうもありがとうございました。


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