[戻る] [次へ] [目次] [ホーム]


国連子どもの権利委員会

国連人権小委員会マイノリティ作業部会報告から

阪大民受連(民族学校出身者の受験資格を求める阪大連絡協議会)

文鐘聲(ムン・シ゛ョンソン)

 去る5月18日から31日の間、スイス・ジュネーブにある国連欧州本部へ行って来ました。簡単に自己紹介すると、私は、幼稚園まで含めると14年間の民族教育を受けてきたなかで、医学部を志すようになりました。朝鮮大学校には医学部がなく、家計を考え国公立大の受験を考えたとき、愕然としました。受験資格を認めている公立大学を受験するには、各々の大学に許可をもらわなければならず、センター試験のあとに受験校を決定できません。国立大学の受験資格を得るためには大学入学資格検定(大検)に合格しなければなりません。しかし朝鮮中級学校も学校教育法上の「一条校」と認められていないので、その資格を得るため、公立の通信制高校に通わざるを得ませんでした。朝鮮高校の授業、クラブ活動、その後に通信制高校へ通う生活は、肉体的にも、精神的にもつらいものでした。支えは「大学へ入るぞ」という気持ちと、一緒に頑張ってくれた友達でした。そのような体験を持つ在日朝鮮人のひとりです。

 国連では、国連人権小委員会の下にあるマイノリティ作業部会と、子どもの権利委員会に出席しました。私は、民族学校に通うことによって持った誇り、大検を取得しなければならないなどの現状、戦後一貫して日本政府によるこのような政策が続いている、解決に向けて何らかの対応をとって欲しいということを英語で述べました。どちらの会議でも、大きな反応がありました。

 子どもの権利委員会は、子どもの権利条約を批准国政府が遵守しているかどうかチェックするための会議です。政府側は、文部省、法務省などから20余名の代表団を送り込みました。日弁連、子どもの人権連をはじめ日本のNGOも50人以上来ていました。日本の高校生達も報告のために来ていました。この会議は、公式には委員と日本政府に対する質疑なので、ロビー活動が中心になります。しかし委員は私たちのために昼休みを割いて熱心に聞き入り、会議でも7人の委員中、議長を初めとする5人の委員が民族学校問題を取り上げ、政府に質問してくれました。

 それに対する日本政府側、具体的には吉田和文・文部省国際企画課国際教育室長の答弁は「在日朝鮮人児童は希望すれば同等の権利を与えている。外国人学校のカリキュラムを見ると、日本学校と同等なカリキュラムを用いるのは不可能。従って違うカテゴリー、即ち、各種学校として扱い、彼らには自由に教育させている。しかし希望すれば日本学校へはいれるし、日本人と同等な教育をする事を認めている。そして自国の言語、文化を輝かせることを認めている。」とのものでした。委員も質問にきちんと答えていないと憤慨していました。この条約では、外国人の子供も居住する国で自国の言語を学ぶことが保障されているのです。

 国連子どもの権利委員会は、6月5日付けで出した日本政府への勧告書で、朝鮮学校の問題について初めて言及し,懸念される主要な問題の項で「委員会は特に朝鮮の子供に影響を与えている高等教育機関への進出の不平等や、一般の子どもたちが社会全ての部門に参加する権利(第12項)、特に学校制度へ参加する権利を行使する上で遭遇する困難さを懸念する」、提案と勧告の項で「朝鮮人やアイヌを含むマイノリティの子どもの差別的な取り扱いを、いつ何処で起ころうとも全面的に調査しかつ解消するように勧告する」と述べています。

 8月9日から仲間がまた1人、ジュネーブに飛んでいます。国連人権小委員会に出席し、現状を発表してきました。京大では大学院理学研究科の英断がありました。阪大民受連も40名を超す多くの賛同教員を得て、いよいよこれからが正念場です。ひとりでも多くの学生・教職員・市民による、共同のとりくみによって、阪大の自主的な判断として民族学校出身者の受験資格をかちとっていきましょう。

(『ヒューマンライツ』10月号に掲載の文くんの原稿を、脱稿後の情勢を踏まえて『みちくさ』編集部で要約しました。)


[戻る] [次へ] [目次] [ホーム]