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阪大理学部、授業料免除申請についての間題をめぐって

理学部学生有志・理学研究科院生有志

 この3月に、大阪大学理学部で授業料免除を出願しようとした学生・院生全員に、理学部厚生掛より以下のような文書が配布されました。

☆ 授業料免除申請される諸君へ ☆

 授業料免除制度は、経済的困難者で、かつ、学業成績優秀者であることが出願資格となっています。

 経済的困難者であるという理由だけで、安易に出願しないよう留意して下さい。

 諸君から提出された書類を審査の上、規定された成績基準に達しない者の出願書類は、返却します。

 該当者は、4月30日(木)までに掲示板に貼り出す予定です。なお、出願書類に不備、不足がある者も同時期に、返却の予定です。

 私たちは、この文書が授業料免除の申請を制限するものだと受け止め、抗議の立て看板を出した、理学部の学生・院生の有志です。私たちの抗議の結果、部分的な改善は得られたのですが、全面的には解決されていない中で、理学部厚生掛が私たちの立てた看板を一方的に撤去する事態が発生し、現在に至っています。ここで、私たちが抗議を始めてからの経遇について、また何故この文書を間題にするのかについて、説明させて頂きたいと思います。

 授業料免除制度とは本来、学ぴたくても経済的な理由でそれが難しい人を救済することで、全ての入に学ぶ機会を保障するものです。現在の日本社会では、大学レベルの教育を受けるのは特別なことではないのですから、経済的困難者にも平等に大学教育の機会があるべきです。たまたま経済的に困窮している為に、特に「成績優秀」であることを求められるのは不公平ですし、経済的に困難なほど「成績優秀」であることが難しいのは当然です。そもそも、勝手に「成績基準」を決めて、それに合わない者の学ぶ場を制約する権利など誰にあるのでしょうか。

 とはいえ、まったく無制限に授業料免除を認めるわけにはいかないのが現実でしょう。しかし、その申請まで制限する必然性があるのでしょうか。申請は受けても基準に合わない人には授業料免除を認めなければ済むことですし、申請が多くても処理しきれないということは考え難いことです。

 それなのに、「安易に出願しないよう留意して下さい」とは一体どういうことでしょう?それどころか、成績基準に達しない申請者は、わざわざ出願書類を返される上に、掲示板に名前を貼り出されブライバシーをさらされる目に遭わされるというのです。成績基準がどの程度のものかはっきりと示されていない以上、これでは申請者にかなりのプレッシャーがかかってしまいます。いや、成績基準に達していないことを個人的に連絡するだけで済むはずのところを、ここまで手間のかかる手段をとるからには、できるだけ出願ざせないことを意図した脅追だと理解するのが正しいのかもしれません。

 このような問題意識をたまたま同じように抱いていた私たちは、一緒に理学部に抗議してみようと思い立ち、まず4月20日に、埋学部の近くに立て看板『授業料免除の出願まで制限するの?!』を出しました。そこでは宮西埋学部長およぴ理学部厚生掛に対して、「出願段階での選別をせず、全ての出願を受理すること」と、「成績不良の者を掲示板に貼り出すというような、人権侵害行為をやめること」を求めました。(最後にこの看板の縮小版が載っています)偶然にも次の4月21日には、理学研究科院生協議会(院生による自治会)も独自に、授業料免除申請の制限を撤回するように理学部長に申し入れを行ったようです。これらの抗議を受けて、先の文書中の「該当者は、4月30日(木)までに掲示板に貼り出す予定です。」の一文を削除する旨の掲示が、理学部厚生掛によって4月21日中にすぐさま貼り出されました。

 こうして、私たちが求めたことのうち「成績不良の者を掲示板に貼り出すというような、人権侵害行為をやめること」という当然認められるべき要求はすぐに通り、少しほっとしました。また理学部長に申し入れを行った理院協の人の話では、今回のような文書が今後は配られることはないとの回答もあったようで、十分に満足とは言えないものの、この時の理学部長の対応はそれなりに評価できるものでした。

 とはいえ、私たちの要求が全て認められたわけではないので、私たちはこれまで通り看板は出したまま、事実経過の報告を付け加えようと考えていました。ところが、その矢先の4月23日に、理学部厚生掛が私たちの出した看板を勝手に撤去するという事件が起こりました。そして看板のあった場所には次のような貼り紙が残されています。

この場所にあった立て看板「授業料免除の出願まで制限するの?!」は、理学部厚生掛で保管しています。

 これは、私たちの予想だにしなかったことで、唖然としました。学生の出した立て看板を大学が勝手に撤去するなど、聞いたこともありません。

 私たちはこれを、大学が一般学生の意見を封じ込めようとするものだと受け止めます。確かに私たちが求めたことの一部は認められましたが、授業料免除申請の制限をしないというはっきりとした意志表明は得られていません。そうしだ状況で立て看板を撤去するのは、私たちの意見を封殺する以外の何ものでもありません。

 一般の学生が大学に対して意見を直接伝えようと考えた場合、大学院には理院協のような存在があるとはいえ、有効な手段といえば立て看板くらいのものです。その立て看板を、大学に対して多少批判がましいことが書かれているために撤去したのであれば、学生の自由な言論の場は奪われでしまいます。また、体面を保つ為に撤去したのならば、随分と姑息で情けないやり方ではないでしようか?

 この立て看板撒去を受けて、私たちは4月27日に「私たちは怒っている!前代未聞 大学による立て看板撤去事件」というビラを学内のあちこちに貼り出し、5月5日には「理学部はんはよ立て看かえしてね(ハート記号)』という立て看板をイ号館前に出し、撤去した看板を元に戻すように訴えてきました。この問題に関しては私たちとは別個に、寄せ場研究会などのサークルが抗議の看板を出したり、理院協が理学部長に中し入れをしたりということもありました。

 しかし5月11日付の理院協の報告によると、残念なことに理学部長に立て看板を元に戻す気はないようです。また、立看板を勝手に撤去するということは言論の自由の侵害にあたるのではないか?との質問に対して理学部長は

「この間題は、言論の自由云々とかそういったような観点から論ずべき問題ではない。」

と答え、正面からの議論を避けています。その一方で

「学生の要望はできるかぎり聞きたいと思っているが、今回のようなかみ合わない話ではなくて、もつと実のある話をしていきたい。」

といった発言をしているにも拘らず……

 私たちは、撤去した看板を元に戻し、学生が気軽に意見を言える環境にするようこれからも求め続けます。また、今後も、身近で起きるこのような問題には、できるだけ注意を払っていきます。

 このような形で大学に何かを求めることは、私たちにとって初めて経験することで、多くの学生にとってもなじみの薄いことではと思います。しかし、今回でもそれなりに成果を上げることかできたのですから、皆さんも何か、問題を感じたときには、声を上げてみるのもよいのではないでしようか。

♪♪♪♪♪

◇資料 ↓◆これが、撤去された立て看板を再現したものです。

授業料免除の出願まで制限するの?!

今年度、理学部で授業料免除を出願した学生全員に、以下の文書が配布されました。

☆ 授業料免除申請される諸君ヘ ☆

 授業料免除制度は、経済的困難者で、かつ、学業成績優秀者であることが出願資格となっています。

 経済的困難者であるという理由だけで、安易に出願しないよう留意して下さい。

 諸君から提出された書類を審査の上、規定された成績基準に達しない者の出願書類は、返却します。

 該当者は、4月30日(木)までに掲示板に貼り出す予定です。なお、出願書類に不備、不足がある者も同時期に、返却の予定です。

つまり

「成績の悪い者に、授業料免除を出願する資格はない」

「成績の悪い出願者は掲示板に貼り出す」

というわけです。成績の基準さえ明らかにされていないのに、これではほとんど脅迫です。このような暴挙を許しておいて良いのでしょうか?

私たちは、宮西理学部長および理学部厚生掛に

●出願段階での選抜をせず、全ての出願を受理すること。

●成績不良の者を掲示板に貼り出すというような、人権侵害行為をやめること。

を強く求めます。

1998、4/20

理学部学生有志

理学研究科院生有志


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