トクナガさん事件のニュースクリップです。 有罪心証のもとの「無罪勾留」は外国人には当たり前になってしまいました。恐ろしいことです。高裁有罪判決の直後弁護団の語る「控訴審は、当時を知る元妻らを証人として出廷させず、事件について真摯(しんし)な検討を加えたとは言い難い」という見解は印象的です。 証拠調べをせず有罪判決をしている点も、ゴビンダさん事件と酷似しています。 |
3歳長女に暴行、死なせた父親逮捕
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トクナガさんに無罪判決去年長野県穂高町(ホタカマチ)で当時三歳の長女にせっかんし死亡させたとして、傷害致死の罪に問われているブラジル国籍の男に対して、長野地方裁判所松本支部は「捜査段階での被告の自白の信用性が乏しく、被告の犯行である証明がない」として、無罪の判決を言い渡しました。 この裁判は、去年六月、長野県穂高町に住むブラジル国籍の無職、トクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイタス被告(二十四)が、当時三歳の長女が自分になつかないことなどに腹を立て、長女に複数回にわたり殴るけるの暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死の罪に問われているものです。 トクナガ被告は、これまでの裁判のなかで「暴行は妻が行ったが、妻をかばおうと思って警察にうその自白をした」などと、一貫して無罪を主張してきました。 きょう長野地方裁判所松本支部で開かれた判決公判で、千コ輝夫(セントクテルオ)裁判長は「長女の遺体の状況から、死亡した二日前に被告が致命傷を負わせたとする検察側の主張には無理がある。また捜査段階での被告の自白とその妻の証言の信用性が乏しく、被告の犯行である証明がない」などとして、トクナガ被告に無罪の判決を言い渡しました。 この判決について、検察側は「判決は極めて遺憾である。控訴するかどうかはこれから検討したい」と話しています。 NHKニュース速報、2001年5月24日 |
穂高のせっかん死 一審無罪の被告を拘置
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一審無罪で拘置 異議申立て 穂高の女児死亡南安曇郡穂高町で昨年6月、3才の長女をせっかん死させたとして傷害致死罪に問われ、地裁松本支部で無罪判決を受けたにもかかわらず東京高裁の決定で拘置されている日系ブラジル人のアルバイト、トクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイタス被告(25)=東筑摩郡波田町三溝=について、同被告の弁護団は23日、拘置決定の取り消しを求めて東京高裁に異議を申し立てた。 トクナガ被告の拘置は同高裁で控訴審初公判が開かれた17日、検察側が「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」などとして申立て、中川武隆裁判長が認めた。同被告は同日から東京拘置所に収監されている。異議申立書で弁護側は「定まった住所がある被告には逃亡する意図はいささかもなく、すべての証拠は一審で提出済みで隠滅しようがない。一審の無罪判決を尊重しなければならない」としている。 信濃毎日新聞、2001年10月24日 |
一審無罪の拘置 高裁が却下 穂高の傷害致死被告南安曇郡穂高町での昨年六月の長女せっかん死事件で、傷害致死罪に問われ、地裁松本支部で無罪判決を受けたが東京高裁の決定で拘置されているブラジル国籍のトクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイタス被告(二五)=東筑摩郡波田町三溝=について、同高裁の高木俊夫裁判長は一日、拘置決定取り消しを求めた弁護側の異議申し立てを棄却した。 弁護側は「外国人差別ではないか。トクナガ被告の弁解を十分聞くなどの適正な審理をせずに安易に下した決定」として、憲法違反を理由に最高裁へ特別抗告する方針だ。 トクナガ被告は十月十七日、同高裁の控訴審初公判で中川武隆裁判長が検察側の申し立てで拘置を決め、東京拘置所に収監された。弁護側は「拘置の要件を満たさない」として異議申し立てていた。 信濃毎日新聞、2001年11月2日 |
控訴審中の拘置不当と特別抗告
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拘置特別取り消し特別抗告棄却 穂高の女児死亡当時三歳の娘をせっかん死させたとして傷害致死罪に問われ、地裁松本支部で無罪判決を受けながらも控訴審の東京高裁の決定で再び拘置されたブラジル国籍のトクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイタス被告(二五)側が拘置決定の取り消しを求めた特別抗告で、最高裁第三証小法廷(奥田昌道裁判長)は二十六日までに、この抗告を棄却した。 最高裁は、特別抗告での同被告側の主張を「単なる法令違反の主張」とし、刑事訴訟法が最高裁への特別抗告の理由に求めている憲法違反や判例違反に当たらないと、退けた。裁判長を含め裁判官四人全員一致の決定。この棄却決定に同被告の弁護団は「控訴審で再び無罪を勝ち取るしかない」としている。 信濃毎日新聞、2001年11月27日 |
穂高の事件 一審無罪の日系人再拘置
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せっかん死控訴審で元妻の証人申請却南安曇郡穂高町の長女=当時(三つ)=せっかん死事件で、傷害致死罪に問われ一審で無罪にとなったブラジル国籍のトクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイタス被告(二五)の控訴審で、東京高裁(中川武隆裁判長)は一五日までに、同被告の当時の妻を証人として出廷させるよう求めた弁護側の申請を却下した。 「真犯人は元の妻」と主張する弁護側は、昨年十二月十日に地裁松本支部で行った出張尋問の際に元妻を承認として出廷させるよう申請したが、中川裁判長は、一審で証言したーなどとして留保していた。 信濃毎日新聞、2002年1月16日 |
検察が一審無罪判決破棄求める 穂高の長女傷害致死南安曇郡穂高町で一昨年六月、長女=当時(三つ)をせっかん死させたとして傷害致死罪に問われ、一審で無罪になったブラジル国籍のトクナガ・ロベルト・ヒデオ・フレイタス被告(二五)の控訴審第3回公判が八日、東京高裁(中川武隆裁判長)であり、検察側は論告で一審判決の破棄を求めた。 論告で検察側は「(致命傷を与えた最後の暴行の時間について検察側主張の矛盾を指摘した)一審判決には医学的判断の誤解がある」と強調。弁護側が「真犯人は妻(当時)」と主張している点には「(ブラジルで出産した)長女を自己負担で日本に引き取ろうとした妻が、虐待をすることは考えられない」とした。 弁護側は、事件前に長女の監督、保護の権利をめぐって妻とトクナガ被告の両親(ブラジル在住)が争っていたブラジルでの訴訟で、「妻が長女を虐待していた」と両親が主張した書面を提出。医師の証人申請方針は「適切な証人が見つからなかった」として断念した。 信濃毎日新聞、2002年3月9日 |
穂高せっかん死事件 7月8日控訴審判決南安曇郡穂高町の長女=当時(三つ)=せっかん死事件で、傷害致死罪に問われて一審で無罪となったブラジル国籍のトクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイタス被告(二五)の控訴審第四回公判が一三日、東京高裁(中川武隆裁判長)で開かれ、弁護側が「検察は犯罪の十分な立証をしていない」と改めて無罪を主張して結審した。判決は七月八日。 弁護側は最終弁論で、長女に致命傷を与えた最後の暴行時間の医学的判断のほか、捜査段階での同被告の自白や当時の妻の供述の矛盾点なども指摘、「日常的に長女と一緒にいた妻が暴行を加えた可能性が高い」とした。 懲役六年を求刑している検察側は前回の公判で、一審判決に医学的判断で誤りがあったとの主張を柱に、無罪判決の破棄を求めている。 信濃毎日新聞、2002年5月14日 |
穂高のブラジル人長女せっかん死事件
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地裁松本支部 | 東京高裁 |
外傷性ショックは負傷から8時間くらいまでに発生するのが通常。 6月27日の長女の死亡の直接の原因となった傷害やぼうこう破裂は26日夜に発生した可能性が高く、被告が自白している25日の暴行と結びつけるのは無理がある | 太ももの皮下出皿は短時間の急激なものではなく比較的長い時間がかかっている。外傷性ショックは、死亡まで1日程度かかることもあり、6月12日から25日まで繰り返した暴行で徐々に衰弱し死亡したとする自白を裏付けられれる |
捜査段階の供述
地裁松本支部 | 東京高裁 |
致命的な暴行を受けた6月26日の長女の様子について、つらそうにしながらも、歩いたり遊んだりしていたとしたり、長女が立ったまま暴行に耐えていたとするなど、被告の捜査段階の供述には疑問の余地が大きい | 長女が懐かないので暴行を加え るようになったという経緯や心情、主な暴行の様子や長女の状態、死亡に気づいた時の動揺などが具体的に述べられており、捜査段階の供述は信用性が高い。当時の妻の証言とも基本的に合致している |
南安曇郡穂高町で一昨年六月、当時三歳だった長女をせっかん死させたとして傷害致死罪に問われ、一審の地裁松本支部判決で無罪になったブラジル国籍の父親トクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイクス被告(二五)の控訴審判決が八日、東京高裁で開かれた。中川武隆裁判長は一審判決を破棄し、懲役五年(求刑懲役六年)の実刑判決を言い渡した。弁護側は上告する意向だ。
トクナガ被告は、捜査段階で暴行を自白したものの公判では一貫して「暴行したのは当時の妻」と無罪を主張。一審判決で自白の信用性否定の根拠となった、外傷性ショクは負傷から約八時間までに野生するなどの「医学的知見」について、二審は、検察側証人として出廷した医師の証言を基に「支持できない」と退け、被告の自白の信用性を認めた。
また、控訴審での医師の証言から、長女が死亡する二日前の六月二十五日の暴行が最後の暴行だったと、被告が自白で認めた点についても「合理的な疑いはない」と判断。同被告の捜査段階の自白と妻の供述を採用し、公判での被告の供述は信用できないとした。
「原判決(一審判決)破棄する。被告人を懲役五年に処する」ー。八日の東京高裁の法廷で、トクナガ被告は中川裁判長が逆転有罪の判決を言い渡す間、青ざめた表情でうつむき加減に聞いていた。
同被告は昨年五月の一審無罪判決で自由の身となったが、同十月の控訴審初公判の際、一審無罪の被告としては異例の拘置決定で収監された。高裁への異議申し立ても最高裁への特別抗告も退けられ、顔を真っ赤にしてすすり泣きながら控訴審の公判に出廷していた。
今回の判決公判閉廷後、「また会いに行くから」と慰める三人の弁護士に、トクナガ被告は小さくうなずき、サンダル履きの足を引さずるように法廷を出ていった。
控訴審判決によると、同被告は二〇〇〇年六月十二日から二十五日にかけて、自宅アパートで長女に殴るけるなどの暴行を繰り返し、皮下出血やぽうこう破裂などの傷害を負わせ、二十七日朝、外傷性ショックで死亡させた。
今回の判決について、同被告の弁護人は閉廷後、「控訴審は、当時を知る元妻らを証人としてて出廷させず、事件について真摯な検討を加えたといは言い難い」などと批判。一方、東京高検の桜井正史・次席検事は「検察官の主張が認められた。量刑の点を含め適正、妥当な判決」とコメントした。
信濃毎日新聞、2002年7月9日(火)
女児の父親上告 穂高のせっかん死南安曇郡穂高町の長女=当時(三つ)=せっかん死事件で、傷害致死罪に問われ一審の地裁松本支部で無罪判決を受け、二審の東京高裁で実刑判決を受けたブラジル国籍の父親トクナガ・ロベルト・ヒデオ・デ・フレイタス被告(二五)の弁護側は十八日、二番判決を不服として最高裁に上告した。 弁護側は一審から一貫して「暴行を加えたのは当時の妻。被告は妻の身代わりになってうその自白をした」と無罪を主張。一審の地裁松本支部は最後の暴行時間と死亡時間の関係から、捜査段階の被告の自白の信用性を否定、無罪を言渡した。だが、今月八日、東京高裁は検察側証人の医師の証言を根拠に自白は信用できるなどとして、一審判決を破棄、懲役五年の実刑判決を言い渡した。 上告を前に弁護側は東京拘置所に収監されている同被告に接見。被告は通訳を通じ「(二審の)裁判はおかしい。(当時をよく知る元妻を証人として出廷させず)ちゃんと審理してくれなかった」と話していたという。 信濃毎日新聞、2002年7月19日 |