ロザールさん冤罪事件

 1997年11月10日午前8時過ぎ、フィリピン人女性マナリリ・ビリヤヌエバ・ロザールさんは恋人と同居していた松戸市日暮のアパートのベッドで恋人が刺されて血みどろになっているのを発見しました。ロザールさんは発見前日、一人娘(当時3歳)がぜんそくで入院したため、別れた夫(正式には離婚していない)とともに娘に付き添ってY病院に泊まっており、翌朝家に帰ったのでした。Y病院はアパートから歩いて3〜5分のところにありました。

 被告人は、恋人を揺さぶっても反応しないのを見て、すぐにY病院に駆け込み、助けを呼びました。病院の職員はロザールさんと一緒にアパートに駆けつけ、救急車の手配をしましたが、恋人は既に死亡していたため、救急隊員は、硬直の状況等を多少確認しただけで警察に通報しました。

 その直後午前9時50分頃、ロザールさんは松戸署に連行され、その後逮捕状もないまま拘束され、二度と釈放されませんでした。 

 ロザールさんはその後逮捕状の発布のないまま警察に10日間拘束されました。その間ロザールさんはフィリピン大使館にも、友人にも、ましてや弁護士にも連絡を取らせてもらえませんでした。10日目、彼女は自分が犯人であると供述し、逮捕されました。その後、勾留質問や検察官の面前では否認しましたが警察官に責められて再度自白しています。けれども弁護士に面会してからは否認供述を維持し、起訴後裁判でも一貫して犯行を否認しています。

 事件は千葉地方裁判所で審理されましたが、自白に至る経緯の違法性、自白と客観的証拠の合致の有無、殺人の動機の有無、そして、そもそもこのような犯行がロザールさんに可能であったか等について激しい争いがありました。けれども、裁判所は、1999年9月8日、ロザールさんに対して懲役8年の有罪判決を言い渡しました。ロザールさんへの取調べが違法であったとは認めながらも自白の内容を全面的に採用したのです。

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